謝罪
「ハルさん、お待たせしました」
女神ちゃんがアニマルズを引き連れてやって来た、どうやら話し合いが終わったらしい。
「結論から申し上げます。……ハルさんにはイシュハンメルにスライムとして転生して頂きます。何故ならそれが世界の摂理だからです」
そこまで一気に言うと女神ちゃんはぎゅっと手を握りしめた。
「申し訳ありません。全ては私、リーハローゼスの過失」
そして深く頭を下げた。
顔は見えないけど体がほんのわずかだが震えていた。
「ここからは俺様が説明するにゃ」
そう言うとトラちゃんが一歩前に出てくる。
初めて見る真面目な顔だ。
「俺様からも謝罪するにゃ。ハルの魂が世界と解離しちまったのは俺様のミスだにゃ」
「……本当にスライムしかないの?」
「ないにゃ。ハルの魂は初期化されちまったのにゃ。これはイシュハンメルの主神である俺様にも変えられないのにゃ」
じっとトラちゃんを見つめたけど、トラちゃんは私から目をそらさなかった。
これは本当にどうしようもないみたいだな、と分かった。
勿論、嫌だ。
出来る事なら人間に、せめてもう少し強そうなモンスターが良かった。
でも、ずっと頭を下げたままの女の子に、こちらを真っ直ぐに見つめてくるにゃんこ、そんな二人を心配そうに見ているハリネズミとコツメカワウソ。
それらを見てもまだ『絶対、嫌だ! 責任を取れ!』と言えるほど私は子供ではないし『気にしないでいいよ』と言えるほど大人でもない。
だから、仕方ないから、私はため息混じりに頷いた。
「じゃあ了承してくれる……」
「条件がある!」
女神ちゃん表紙の雑誌をにゃんこの眼前に突きつける。
「ま、まぁ当然の権利だにゃ」
よし、ここからが本番ですよ。
「まぁ立ち話もなんだからみんな座って。女神ちゃんも、もう謝罪はいいからこっち来て。あ、お茶とお茶菓子追加して貰ってもいい?」
「え、あ、はい」
慌てて駆け寄ってくる女神ちゃん。
「え、お菓子?」
コツメカワウソが瞳をキラキラさせながら身を乗り出す。
「そうだよ~お菓子あるよ~」
といいながら笑顔でおいでおいでと手招きをする。
是非とも私の隣に座ってください。
まだなでなでしてないの君だけなんだよね。
【後書き】
シリアスは苦手です。