女神ちゃんの涙
「なんでもいいからとっとと転生するにゃ!」
「却下」
女神ちゃんの後ろで毛を逆立てているにゃんこは可愛いが、流石に自分の未来がかかっているのでスライム転生は却下させていただく。
「というか、もう転生しないでずーっと主神様にお仕えしたいなぁ……なんて……」
「却下にゃ!」
残念駄目でした。
さて、どうやって懐柔しようかと考えていると、意外にも先程まで私を説得していた女神ちゃんが味方になってきた。
「しかし主神様。流石にスライムは如何なものかと……。私のミスが原因でもありますし……」
悲しそうに俯く女神ちゃん。美人だからか女神ちゃんだからなのかは不明だが物凄い悲壮感が漂う。
グスグスと鼻をすすり始める女神ちゃん。
狼狽えはじめる主神様。
いいぞ。もっとやれ。
私は女神ちゃんに近づきそっと肩に手を置き、咎めるような視線をにゃんこに送る。
くらえ! 女からの『女の子泣かすなんてサイテー』の視線攻撃!!
「うっぐっ! わ、わかったにゃ……。けどスライム転生は俺様にもどうしようもないのにゃ……。泣くにゃ! そうだにゃあ……。俺様に出来ることといえば転生ポイントを使ってスキルを強化する位だにゃ」
うん? 転生ポイントとはなんぞや?
「しかしハルさんの転生ポイントは魂と世界との分離によって消滅していますが」
「別に転生ポイントを復活させなくても譲与すればいいのにゃ」
「その様な事が可能なのですか!?」
あ~あみたいな感じのにゃんこ。
多分女神ちゃんには知られたくない事だったんだろう、恐らくは自分の為に……。
取り敢えずにゃんこに『オイコラ』的目線をプレゼントしておいた。
目を反らすな! 受け取れ!
「にゃあ。ただ、譲与の場合、主神3名以上の承認が必要だにゃ。俺様入れてあと2人……。仕方ないにゃ、あいつら巻き込むにゃ」
そう言ってポシェットからスマホを取り出し操作しはじめたにゃんこ。
もうこの位なら驚きもしなくなってきたワタクシ。
(灰色のネズミの耳の付いたスマホケースか……。どこで買ったんだろ? あ、しっぽも付いてる)
「ハルさん! 良かったですね!」
ぼんやりとにゃんこのスマホケースを見ていると、まるで暗闇の中に活路を見出だした様に明るい笑顔の女神ちゃんに声をかけられた。
うん、良かったね。
じゃあそろそろ全く話に付いていけてない私に転生ポイントとやらの事を教えてくれるかな?
「お~い、トラ~なんか用か~?」
「トラ君! 怪我したってライン入ったけど大丈夫!?」
なんか動物二匹増えた。
【後書き】
まだしばらく転生出来そうにありません。
女神ちゃんが勝手に動き回るんです…。
次話、動物二匹追加します。
喋るアニマル好きさんはお楽しみに。