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元アラサー女子はスライムとして生きて行く(仮)   作者: おんじゃく
第一章 (スライムと少年)

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25 少年と私。4

 それからの私の生活は、朝は川原で食事の準備をして少年を待つ。昼に少年の食事中に少しだけ話をしてその後は食材を探しに森に入る。この繰り返しとなった。


 一応食事を提供する代わりにこの世界の事を色々教えて貰っている。四季があるとか一週間は7日だとかの基本的な事だけど。


 初めは戸惑っていた少年も、毎日川原で食事の準備をして待っている変わったスライムを徐々に受け入れていった。まぁ、タダで食事が出来るので黙認した感じだろうけど……。


 けれどどうしてもポーションだけは受け取って貰えなかった。


 まだ警戒されているのかとしょんぼりしていたら、面倒臭そうに「怪我が突然治ったら怪しまれるだろうが」と教えてくれた。

 あと「お前は絶対こっちに来んなよ」と自分が帰っていく森を指差しながら言われた。

 おそらく私が盗賊達に捕まるのを心配してくれたのだと思う。嬉しくてニマニマしてたら握り潰されそうになった。このツンデレめ。


 初めて会った日から5日が過ぎ、私のレベルも上がった。



【名前】横山 ハル

【種族】スライム

【年齢】1

【レベル】12

【HP】72/72

【スキル】

『索敵(level4)』『逃走(level7)』

『鑑定(level10:最大値)』

『収納(level5)』『錬金術(level5)』

【モンスタースキル】

『擬態(level5)』『自動回復:小』

【特殊スキル】

『ノーダメージ0/1』



 なんとレベルが4も上がったのだ。

 それもそのはず、ここら周辺のゾジャは私が全て狩ったといっても過言ではない。狩り方は今までと同じ頭上からの石落としの攻撃だ。

 ただゾジャの実も欲しいので、まず『擬態』を解除してゾジャの攻撃範囲ギリギリまで近付く。そこから人間に『擬態』してスライムサイズの石をゾジャの攻撃範囲に投げる。

 ゾジャが勘違いして石に向かって攻撃している間にスライムに戻って木に登り、ゾジャの上に石を落として止めを指す。

 これの繰り返しだ。


 石は川原にある『収納』に入るギリギリのサイズをチョイスしたのでほぼ一撃で倒せる。

 いやぁ石って凄い、石最強。


 それから魚も捕れるようになった。

 けど釣竿はやっぱり無理だった。釣竿っぽい物はなんとか再現出来たのだけれども、釣りなんてした事のないド素人には無理でした。なので他の方法で捕った。

 どうするのかというと光茸の粉末を池や川の上流から投げ込む、そして麻痺した魚を網に『擬態』した手でゲットするという方法だ。


 邪道である。


 でも少年に栄養のあるご飯を食べさせる事の方が大事だ。なのでヤル。

 捕れた魚の中には魚系のモンスターもいたので、それらは魔石を取り出して私のご飯に。捕れる魚系モンスターは弱いが、毎日5・6匹は捕れるのでこれも私のレベルが上がった要因のひとつだと思う。

 普通の魚は焼いたり煮付けにしたりして美味しく頂く。


 ちなみに≪ポラ≫という醤油に似た味のする草の種を見つけたので重宝しております。見た目はゴマだけど、味は醤油。

 そのままだとちょっと薄味だけど、乾煎りして磨り潰すと香ばしさがプラスされ、味も濃くなる。十分調味料として利用出来る。


 というわけで本日のメニューはポラの実のソースをかけた焼魚。

 魚の骨から取った出汁に、ゾジャの実と≪マビタピ≫という平茸に似た茸を入れた水とんもどき。それから≪クレッテ≫という木の根の炒め物。このクレッテは牛蒡みたいな味がする。

 それから≪フートゥ≫の蒸し焼き。名前は全然違うけど、実はこれ筍なのです。竹藪があったのでまさかと思ったんだけど、ありました。お陰で竹で食器も作れた。

 素人の加工だから見た目はあんまり良くないんだけど、無いよりましだ。


 ちなみに食べるのには竹で作ったお箸を使う。

 少年はかなり器用で、最初は使いづらそうにしていたが、直ぐに問題なく使いこなせるようになった。


 食事の準備が整った頃に『索敵』に少年が表示される。

 ちなみにこの『索敵』に表示される点の色を変える事が出来る事が分かった。少年と盗賊達を一目で見分けれないかと色々画面を弄っていたら出来たのだ。

 ちなみに少年の表示を青の点に、盗賊達は黄色の点にしている。魔物は今まで通りの赤。


 多分これもチートな『鑑定』のお陰なのだろうと思う。

 『鑑定』さんありがとう、と改めて感謝していると森の中から少年が姿を現した。


 あれから顔の腫れも引き痣が少し気になる程度まで回復した。足ももう引き摺ってない。


「おはよ」

「……はよ」


 挨拶も最近してくれるようになりました。

 初めの頃は“?”みたいな顔をされた。恥ずかしがるとか嫌がるとかではなく、少年は挨拶自体を知らなかった。


 少年は川を越えると、用意してある料理の前に座り、手をあわせて「いただきます」と言ってから食事を始める。これも私が教えた。


 不思議そうな顔をしながらも、私が「食事の前の挨拶みたいな物」だと言ったら従ってくれた。


 いつも不機嫌そうな顔が食事をする時だけ緩み、年相応の顔になる。それを見るのが最近の私の楽しみだ。

 それに一生懸命作った料理を美味しそうに食べて貰えるのは単純に嬉しい。


 少年が食事をしている間に私は少年が持ってきた洗濯物を『錬金術』で洗う。

 洗濯の仕事は私が強制的に奪った。ゆっくり食事をして欲しいし、今までと洗濯する時間に変化があると盗賊達に目をつけられるかもしれないからだ。


 初めは渋っていた少年も、盗賊達の事と「『錬金術』のレベルが上がったら料理の種類が増えるよ~」の私の一言に黙った。


 美味しいご飯万歳。


「あ、そうだ」


 少年が焼き魚を頬張りながら“なに?”という風にこちらを見る。


「何時までも“君”って呼ぶのもなんだしさ、私が勝手に名前つけてもいい?」

「……別に良いけど。……無理だろ?」

「?」


 無理? 何で? 名前付けるなんて誰にでも出来るじゃん? まぁ、つけてもいいって言ってるし勝手に呼ぼう。


「“(ソラ)”なんてどう?」

「……」


 唖然とした顔でこちらを見る少年と目が合う。


「何でお前名付けできんだよ」

「?」


 何でって。え? ……何で?

【後書き】

少年の名前やっと出ました。

次話は“名前”についてです。

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