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元アラサー女子はスライムとして生きて行く(仮)   作者: おんじゃく
第一章 (スライムと少年)

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17 逃走2

 一瞬迷ったが覚悟を決めてピエルの縄張りの森に飛び込む。

 ラグノーは私を認識しているが、ピエルは『擬態』をしている私にまだ気が付いていない。ならラグノーよりピエルの方がいい。気付いている敵よりも気付いてない敵だ。


 それに、もしかしたらピエルが自分達の縄張りに入ってきたラグノーを攻撃してくれるかもしれない。

 ピエルの縄張りに入り『索敵』で確認する。

 ラグノー達がピエルを恐れて私を諦めるかもしれないと期待したのだが、残念ながら私を諦める気はないようだ。

 ラグノー達にとってもピエルは敵のはずなのに少しも迷う事なく追いかけてくる。

 もしかしたらあのカチカチという仲間を呼ぶ音にはラグノーを興奮状態にする効果でもあるのかもしれない。


 ぜえぜえと呼吸が荒くなる。

 もうかなりの時間を走っている。

 それにピエルの縄張りの前で躊躇してしまったせいか、ラグノー達との距離が更に縮まっていた。

 『索敵』でマップを確認すると、ピエルも異常に気付いたのかマップ上の赤い点が活発に動き回っていた。


(こうなったら一か八かやるしかない)


 覚悟を決めて私はさらに上の枝へと移動した。

 さすがに『擬態』を解くまではしないが、敢えて音を立てながら移動する。ピエルを呼び寄せてラグノーと戦わせる為だ。

 もちろん私が狙われる可能性もある。最悪の場合、私VSラグノー&ピエルの可能性もある。


 だがこのままでは私は確実にラグノーに追い付かれ殺される。

 音をたててピエルを呼び寄せて混戦に持ち込んだ方が生き残れる可能性は高い。


 音に気付いたピエルの赤い点がこちらへ移動してくるのがマップに表示された。

 後ろからラグノー達のカサカサという足音も聞こえる。


 もうマップは見ない。見ても私の回りは真っ赤になっているだろうし見る余裕もない。

 私に出来るのは何も考えずに死ぬまで走る事だけだ。


☆ ☆ ☆


 自分の呼吸音がうるさい。


 後ろでピエルとラグノーが戦っているような気もするし、すぐ後ろにラグノーがいるような気もする。どちらにせよ確認する余裕はない。


 振り返ったら、立ち止まったら終わりだ。

 しかもバッドエンドだ。


 とにかく走って走って走りまくる。すでに自分が何処にいるのかももう分からなくなっていた。もしかしたら同じ場所をグルグル回っているのかもしれない。


 走りすぎて目の前がクラクラする。


(もう無理走れない!)


 そう思った次の瞬間。


 私の足元の枝が消失した。


 いつの間にか私はピエルの縄張りを抜け、当初の目的地である川にたどり着いていた。

 だがピエルの縄張りは崖の上にあり、川は崖の下にある。


 足元は消失したのではない。

 私が足元のない崖の上に勢いよく飛び出したのだ。


 スローモーションで景色が流れる中、振り返った私は一匹の大きなラグノーの姿を見た。おそらくレベル6のラグノーだろう。続いて青空に舞うピエルの姿。


(お坊さんの上に落ちた水まんじゅうの景色ってこんな感じだったのかな……)


 そんなどうでもよい感想を抱きながら、私は先日の雨で増水した川にレベル6のラグノーと共に――


 落ちた。


 濁流にのまれながら自分のレベルが上がったのを感じた。おそらく一緒に落ちたレベル6のラグノーが死んだのだろう。

 私は勢いを着けて飛び込んだので崖の壁にぶつからなかったが、ラグノーは落ちる直前に踏ん張ったため壁に体をぶつけダメージを追ったのだろう。

 おそらく私のレベルが上がった理由は、私的には偶然一緒に落ちただけだか、見方を変えれば私がラグノーを罠に嵌めたとも捉えられるからかもしれない。


 私は『収納』に放り込んでいた木の枝を取り出し、それに触手を絡ませ必死にしがみつく。

 容赦なく迫る濁流に成す術もなく、私はただ流れに身を任せるしかなかった。

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