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元アラサー女子はスライムとして生きて行く(仮)   作者: おんじゃく
第一章 (スライムと少年)

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13 予想外の足止め

 朝起きたら魚のぬいぐるみを仕舞う。

 天井から落ちてくる水滴を溜めた皿から、空いているもうひとつの皿にちょっとだけ水を移し、それで口をゆすいでから顔を洗う。

 使ったお皿は錬成空間に入れて洗浄と殺菌をしたあと、水滴が落ちる場所に置く。

 横に避けていた水が溜まったお皿の上に葉っぱを乗せて蓋をする。


 『索敵』と『鑑定』を表示させて周辺のチェックを行いつつ朝ご飯の準備。

 本日は光茸とヤマを炒めた物を、潰したゾジャの実に混ぜ、両面をカリッと焼いたお焼き。


 朝ごはんを食べ終えたら錬成空間で湯を沸かしなが再び周辺のチェック。

 まるで朝刊を読むお父さんのようだ。


 ずいぶんと手際が良くなったと自分でも思う。

 そりゃそうだ。

 だってレベルが5に上がってから、既に3日も経ってるんだから。


 ふと、この3日間を思い出す。


「大変だった……」


 スライムの目に涙が浮かぶ。


 実は岩塩を採集した日の晩に大雨が降ったのだ。は? そんだけ? と思う人もいるかもしれないが、うちってほら、水漏れしてるじゃない?

 んで、大量の雨が降るとさ、そこからね……。

 しかも運の悪い事に壁の一部が崩れて大量に水が入ってきたのだ。

 幸いにも崩れたのは外側ではなく内側の壁だったので、今後も魔物の進入は防げるけど、とにかく泥水がすごかった。


 採集したものは咄嗟に『収納』に仕舞って事なきを得たが、一晩中灰色の石の上に避難するという目に会いました。

 雨は一過性のものだったらしく、朝には晴れて雨水ごと流されるなんて事はなかったけど、折角掃除した洞穴の中はベッチョベチョ。

 地面が若干斜めになっている事もあり水溜まりが出来る事はなかったけれど、次に雨が降った時のために急遽、雨水の通り道を作る事になった。


 雨のお陰で土が掘りやすかったヨ。ウレシイネ。

 それに地面の土を『収納』にごっそり収める事が出来ることも分かったヨ。ヤッタネ。

 そうそう、『収納』すると地面にいきなり穴が出来るんだヨ。オモシロイネ。


「……」


 洞穴内の一部に石を積み重ねていざという時にの為に避難する場所を作ったのだが、素人の上にスライムサイズなので細かな調節もできず、でこぼこして非常に居心地が悪い。

 他に良いとこも知らないから頑張って修復したけど、灰色の石ちゃん連れてお引っ越ししたいと修復しながら何度思った事か。


 そして全ての片付けを終えたのが昨日の夕方。天井からもやっと透明な水が染みでてきた。

 ただ、お皿に溜めた水に写った自分を見たとき驚いたね。

 だって汚れで水まんじゅうがおはぎになってたんだから。

 思わず「進化!?」って叫んだ。悲しい。


 グチグチ言っていたらお湯が沸いた。

 でも悪い事ばかりでもない。

 この3日間でスキルのレベルが幾つか上がったのだ。上がったのは、


『索敵(level3)』『収納(level4)』

『錬金術(level3)』『擬態(level2)』


 『索敵』と『擬態』はずっと使っていたからだと思うけど『収納』と『錬金術』は雨が降ったお陰だと思う。

 『収納』で土を掘る。その土を『錬金術』で乾かして戻す。を永遠と繰り返したせいだろう。


 ははは~と乾いた笑い声をこぼしながら、お皿に『収納』から取り出した茶色い粉を入れて錬金術で沸かしたお湯を注ぐと、ふわりと香ばしい薫りがたつ。


 ちなみにこれも雨のお陰といえるかも知れない。

 避難場所の石を取りに行った先に生えてたんだよね。タンポポが。

 『鑑定』しても名前が出なかったのでもしかしたら違うのかもしれないけど、毒の表示は無かったし試しに作って飲んでみたら美味しかったので私はタンポポコーヒーと呼んで愛飲している。

 前世では朝は必ずコーヒーを飲んでいたのでちょっと嬉しい。葉っぱとか花の部分も食べれるし。


 タンポポの存在でふと思ったのだが、『鑑定』で名前が出ないのは、もしかしたらこの世界の人がその存在を知らない、もしくは雑草としてしか認識していないのではないだろうか。

 だとしたらちょっとだけワクワクする。

 もしそうなら『鑑定』で名前の出ない草花の中に、地球の食材の代用品として使える物があるかもしれないからだ。



 タンポポコーヒーを飲み終わり一息ついた。

 『索敵』と『鑑定』にも問題ない。

 洞穴内もほぼ片付いた。天気も良い。


「そろそろ探しに行こうかな」


 大きな石と引っ越し先。

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