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元アラサー女子はスライムとして生きて行く(仮)   作者: おんじゃく
第一章 (スライムと少年)

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12 次にすべき事とゾジャの実

 なんとか無事に洞穴に戻ってこれた。


 灰色の石の隙間のベッドにしている場所に潜り込み、深いため息をつく。

 体はヘトヘトだったが心は軽い。

 とりあえず『鑑定』を自分にかけてみる。


【名前】横山 ハル

【種族】スライム

【年齢】1

【レベル】5

【HP】23/23

【スキル】

『索敵(level2)』『逃走(level5)』

『鑑定(level10:最大値)』

『収納(level3)』『錬金術(level1)』

【モンスタースキル】

『擬態(level1)』『自動回復:小』

【特殊スキル】

『ノーダメージ0/1』


 レベルが5になりHPが23になっていた。嬉しい事に『収納』のレベルも上がっている。

 強さ的にはレベル3のヤートと同じ位だろう。でもだからといって戦えるかどうかは別問題だ。


 今日見たヤートとゾジャの戦いを思い出す。

 あんな戦い、私には無理だ。

 そもそもスライムの私にはヤートの牙やゾジャの散弾銃のような武器がない。

 それにはっきり言って怖い。

 死を覚悟のうえで向かってくる敵なんて怖いに決まってる。もし私がスライムではなくもっと強いモンスターであったとしも、私は怖いし戦いたくないと思っただろう。


 ならどうするか。

 決まってる、今日みたいに安全な所から攻撃するしかない。

 ターゲットはゾジャ。

 今回のように他のモンスターと戦った後になら、あの散弾銃のような攻撃が私に向けられる可能性は低い。それになによりも、その場から動かないゾジャは、石を落とすしか攻撃方法のない私にとって格好の獲物だといえる。

 それにやっている事が同じなのは分かっていても、やはり血肉を持っているモンスターを殺すのは精神的にきつい。


 けれど、ゾジャを狙うとしてもまだ不安要素はある。

 今回はゾジャがヤートに攻撃を受けてHPが減っていたために一撃で倒せたが、毎回そうなるはずがない。戦闘によるゾジャの損傷が少なかった場合、石では止めをさせない可能性もある。

 それに石が命中しない事もあるだろう。

 いま使っている石はレンガサイズ。攻撃力と命中率を考えるともう少し大きい石を用意した方がいいと思う。


 武器となる石がある場所は『索敵』のマップで確認済みだ。

 少し遠いがマップの端、右上の方に川がある。もしたどり着いた川の周辺の石が小さくても、上流にいけば大きな石は必ず見つかるはずだ。


 次の目的地は川、目標は武器(いし)


 よし、そうと決まれば。


「掃除しよ」


 そう呟いて洞穴内を見渡す。

 まずは『収納』から木のお椀のような物を取り出す。これは移動中に手に入れた物で、何かの植物の種が半分に割れた物だ。少し汚れているが『錬金術』で洗って煮沸消毒すればお皿として使える。


 早速、錬成空間を作成して拾ってきた8枚全て放り込む。

 洗浄と殺菌をしている間に小さな箒状の植物で洞穴内の土埃を外に掃きだす。

 この世界の『錬金術』は術者が一定の距離にいれば他の作業をしていても発動し続けるのでとても助かる。

 灰色の石の埃も丁寧に落とした。

 出来れば拭いて磨きたいが、さすがに布は落ちてなかった。

 水で洗い流してもいいがちょっと時間がかかりそうだし今回はパス。


 掃除があらかた終了した頃に錬成の作業が終わった。

 ひとつは水滴が落ちてくる場所にセット。

 即席の雨漏りバケツだ。すぐにいっぱいになって漏れるだろうけど、地面が水浸しになったままの状態よりましだろう。


 一度外に出て大きめの葉っぱを5枚と≪光茸≫を土ごと採集する。

 葉っぱは洞穴の奥の地面に敷いて、土ごと採集した≪光茸≫は、種のお皿をひとつ使って即席のランプにした。

 暗闇でも見えるので別になくても問題はないのだが、やはり気分が違うし光源が多いと更に明るく感じる。


 少し離れて入口側から出来上がった洞穴内をみてみる。

 葉っぱを敷いて光茸を飾っただけだけど、暖かみのある空間になった。


「うん、なかなかいい感じ」


 ゆっくりでもいいから色んな物を集めて住みやすい空間にしたい。


「掃除は終わり、次はご飯だ」


 『収納』から取り出した≪岩塩≫は壁際の葉っぱの上に。移動中に採集した錬金術の材料となる木の実や野草なんかも全て取り出す。

 『収納』に残ったのは≪ゾジャの実≫≪魔石≫≪石(武器)≫≪魚のぬいぐるみ≫≪ポーション≫≪痺れ薬≫だ。


 魔石を食べたいが今日は我慢。

 その代わりに新しい食材の≪ゾジャの実≫を『収納』からひとつ取り出す。


 めちゃくちゃ硬い。中央が膨らんだ楕円形の茶色い貝のようだ。

 錬成空間にひとつだけ入れて焼いてみる。

 表面に焼き色が付いてきた頃、横にある細い溝から小さな泡がプツプツと出てきた。本当に貝みたい。蛤の網焼きを思い出す。

 見た目は美味しそうだけど食べて不味かったらどうしよう。

 期待が膨らむだけに不味かった時が怖い。


 暫くして、パカッと蓋が自動的に開いた。

 殻の中には外見からは想像も出来ない程綺麗なエメラルドグリーンの豆のようなものが入っていた。空豆に似ているが大きさは空豆の三倍はある。


 お皿に取り出して匂いを嗅ぐと、ほんのり甘い豆の様な香りがした。

 まずは味付け無しで一口。


「お、おいしい……」


 味は枝豆っぽい。

 食感はホクホクとモチモチの間くらい。じゃがいもと枝豆で作ったニョッキって感じだ。

 ボリュームもあるし腹持ちが良さそう。色んな具を混ぜて焼いて、お焼きなんかにも出来そうだ。


 その後、小さく砕いた岩塩をかけて食べてみた。


 必ずまたゾジャに会いに行く。

 そう心に誓ってしまうくらい美味しかった。

【後書き】

ゾジャの実の表現に凄く迷いました。

架空の食べ物を美味しそうに書くって難しい。

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