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元アラサー女子はスライムとして生きて行く(仮)   作者: おんじゃく
第一章 (スライムと少年)

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28/109

10 ≪岩塩≫を求めて

 よしっ! と気合いを入れて洞穴から出る。


 今から≪岩塩≫を採集しに行く。

 『索敵』のマップと『鑑定』をフル稼働させながら私は近くの木によじ登った。


 森の中は背の高い雑草が多く、獣道はあるが所々で無くなっていたりと目的地まできちんと繋がっている訳ではない。

 それではいざという時に逃げるのが難しい。なので、木の枝から枝へ移るように移動する事にした。

 幸いにもこの森の木々は枝が横に拡がるように伸びており、隣の木と枝が複雑に絡み合っている。これならば地面に下りずに移動する事が出来るだろう。


 地上から10メール程の高さの枝に到達すると辺りを見渡してみた。森の中はかなり暗いが問題なく見る事が出来る。

 おそらくスライムは暗闇を見通せるモンスターなのだろう、入口の僅かな光源だけで洞穴内でも問題なく行動出来ているのがその証拠だ。


 慎重に、けれど出来るだけ速く枝から枝へ移動する。周りの景色は全く変わらない。

 もし『索敵』のマップがなければ直ぐに迷ってしまい、目的地にたどり着くどころか洞穴に戻る事も出来ないだろう。


 途中下を歩くゴブリンを何匹か見かけたけどスルーした。

 どうやらゴブリンは常に2~3匹で行動しているようで、今の所一匹で行動しているゴブリンには会っていない。

 ゴブリンは『索敵』から身を守るスキルを持っていないから、それを補う為には仲間がいた方がいいのだろう。

 目が多ければ敵を発見する事も敵から逃げれる可能性も増える。

 昨日倒したゴブリンがなぜ一匹で行動していたのかは分からないが、かなり珍しい状況だったのかもしれない。


 それからヤートも見かけた。

 見た目は小型犬サイズのネズミだった。

 ただ、尾の先にトゲのようなものがいくつも付いており、ゴブリンに負けず劣らずの凶悪な顔をしている。

 HPはこの森の中では低い方だが『逃走』のレベルが高い。

 痺れ薬などで麻痺させてからならともかく、通常の状態で挑むのは止めた方が無難だろう。

 それに今回の目的は≪岩塩≫だ、しかもそこには確実に【ゾジャ】というモンスターがいる。余計な体力も気力も出来るだけ使いたくない。


 なので枝の上からでも採集可能な木の実や薬草を取りながら目的地へ進む。

 ちなみにこの世界にはモンスター以外にも虫などの生き物もいるが、それらは『潜伏』のスキルを持っていなくても『索敵』出来ないようだった。

 『鑑定』は出来るが『鑑定』した後も『索敵』のマップに赤い点の表示はされない。


 虫は好きではないがだからと言って叫んで逃げる程嫌いでもない。

 虫が苦手でなくて本当によかった。でないと虫だらけの森の中を動き回るなんて出来なかっただろう。

 毛虫が大量に発生している枝を遠回りで避けながらそう思った。


 何度かの小休憩を挟みつつ、目的地にたどり着いたのは洞穴を出発して2時間程たった頃だった。昼を少し過ぎた位だろうか。


 木の上からこっそり下を覗くともちろんいました、【ゾジャ】が。

 【ゾジャ】は植物系のモンスターで、見た目は食虫植物のハエトリグサに似ているが、とにかくデカイ。高さは2メートル近くあるんじゃないだろうか。

 それに鞭のような蔓が4本見える。もしかしたら【ゾジャ】の武器なのかもしれない。


 だが、≪岩塩≫は【ゾジャ】のすぐ後ろの土壁にあるようだ、遠目からでも土の色が違うのがわかる。


 どうしようかと悩んでいると突然【ゾジャ】が周囲の雑草に隠れるように身を伏せ始めた。

 モンスターなんだから動くに決まっているのだが、植物が動くのを目の当たりにするとやはりギョッとしてしまう。


 息を潜めじっと様子を伺っていると、カサカサと草を掻き分ける音と共に、木々の間から一匹のヤートが姿を表した。

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