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元アラサー女子はスライムとして生きて行く(仮)   作者: おんじゃく
第一章 (スライムと少年)

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5 料理

 魔石と触手を側の池でサッと洗い洞穴に戻る。

 自分が『発生』した場所だからなのかやっぱりこの洞穴内は安心する。


 とりあえず『収納』の中身を全部出して確認してみた。あるのは≪光茸≫≪ヤマ≫≪石≫≪ゴブリンの魔石≫そして、


「良かった、無くしてなかった」


 ≪魚のぬいぐるみ≫


 ゾフル君から貸してもらったぬいぐるみだ。

 初めて『収納』を使った時に気付いてはいたが、あの時は余裕がなかった。ちゃんと確認出来て良かった。

 貸してもらった時は手の平サイズだったのに、スライムになった今では自分とほぼ同じサイズに見える。

 暫く眺めてそっと『収納』に仕舞った。

 ≪石≫も続けて仕舞う。これが今、私が使用出来る唯一の武器だ。

 ≪ヤマ≫は後でポーションを作るのに使うので一束だけ残して残りは『収納』に仕舞う。

 ≪光茸≫は半分、≪ゴブリンの魔石≫も今は調べる気持ちにはならないので仕舞う。


 手元に残ったのは≪ヤマ≫と≪光茸≫。


 何をするのかって? 勿論料理ですよ! どちらも地球には存在しない食材! あと単純にお腹すいた、発生してから何にも食べてない。

 『鑑定』のお陰でどちらも食用可能と判明済みだし、是非とも美味しく頂きたい。


 モンスターの食料は魔石だが、だからといって他の物が食べられない訳ではない。モンスターは魔力で発生するので魔力の塊でもある魔石の方が食材として適しているというだけだ。

 他のモンスターについては分からないがスライムはそうだ。

 なぜ分かるのかと問われてもなんとなくとしか言えないけれど……。本能?


 まぁそれを確認するためにも今から≪ヤマ≫と≪光茸≫を使って料理をするのだ。といっても調味料が無いので今日は焼くだけなんだけどね。


 まずは≪光茸≫を錬成空間に入れ、じんわりと焼き色が付いてきた辺りで取り出して食べてみた。


「うまっ! 何これうまっ!」


 ≪光茸≫は想像以上の美味しさだった。

 見た目はオレンジ色の椎茸だけど食感はコリコリしてエリンギっぽい。でも肉厚で噛めばジューシーな旨味が溢れてくる。そして何よりも食べた後にピリッとした唐辛子のような辛味がある。


 これ絶対お酒のつまみになる!

 レモン汁が欲しい!


 あまりの美味しさにもう1つ口に放り込み、うまうま言いながら≪ヤマ≫も焼いてみる。

 葉っぱなので直ぐに焦げるのでサッと炙る程度にして食べてみた。


「お、これもなかなかイケる」


 ≪ヤマ≫の独特の香りがふんわりと香る、ヨモギみたいな香りだ。ちょっと苦味があるがそれがまたいい感じ。

 ただ、焼くだけでは少しアクが強い。茹でれば更に美味しく食べれそうだ。

 調味料が無いのが本当に惜しい、茹でた≪ヤマ≫を醤油や味噌で和えたらもっと美味しく食べれるのに。


 転生して初めての食事を堪能しながら、いつか必ず調味料を手に入れようと心に誓った。



 その後、外から採ってきた雑草を灰色の石の隙間に敷き詰め、ゾフル君の魚のぬいぐるみを枕に眠る事にした。

 美味しい物を食べたお陰で胸の奥にある生き物を殺したという暗い感情が少し薄れた気がした。


 やっぱり生きる事は食べる事、食べる事は生きる事だ。


(だよね、ゾフル君)


 声に出さずにそう呟いて目を閉じた。

【後書き】

焼き椎茸にはタレよりレモン汁派です。

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