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煙草、中→外

私の名前は煙草。苗字と住所は昨日捨てた。小学五年生の夏休みが終わらないまま6年が経つ。


空を眺めて本を読むの繰り返しで6年があっという間に過ぎた。当時の友人は少しずつ大人になった。彼等が私を見たらきっと哀れむだろう。しかし、彼等は大切なことを忘れている。大人になるということは子供でいることをやめてしまうということ。大人になってしまったら二度と子供には戻れないということ。これがこの世界のルールだ。ルールを守ってしまった愚か者達。私が見たらきっと哀れむだろう。


6年間続けていた生活は残念ながら幕を降ろすことになった。無職の私に何一つ文句を言わずに養い続けてくれた両親が失踪したのだ。いつも思うが終わりは呆気ない。何か理由くらいは話してくれても良かったのに。しかし気がつく。私に何か理由を話したところで何も変わらないのだ。何故か無性に腹が立った。


苛立ちの中でふと思い出したのは、昨日の夜中に見た映画。子供達が実弾の入った銃を片手に歩いて死体を探す映画。友人はいないし、銃も持っていないが、私も冒険がしたくなった。タバコと数千円しか入っていない財布をポケットに詰め込み外へ出る。久々に外から眺めた家は想像よりも小さかった。もう此処へは戻ってこれない気がした。

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