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川口家 ー孤独な少女ー

作者: 森ハム

内容としては出来れば多くの人に読んで貰いたく思います。が、楽しい内容ではないと思いますので、過度な期待は御遠慮下さい。

清流高校三年生。出席番号8番 川口かわぐち わたる

全国模試では常に上位。校内一の頭脳を持つ。

清流高校一年生。出席番号6番 川口かわぐち 沙織さおり

空手、柔道、テコンドー全国一位。人並み外れた運動神経を持つ。

知の兄、武の妹。そんな二人のお話。

ある日二人はいつもの様に登校すると何やら校内がざわついていた。

『屋上で誰かが飛び降りようとしてるってさ』

廊下で誰かが言っていた。

『お兄ちゃん行こう?』

沙織に手を引かれ二人は屋上へ向かった。

屋上に着くとギャラリー達の向こうで教師達が説得をしていた。

『危ないからこっちへ早く来なさい』

『まだ人生これからじゃないか。命を粗末にしちゃいけない』

「コイツラはその生徒の事なんて心配しちゃいない。ただ学校で死なれたら困るってだけだ。所詮自分が可愛くて仕方がないろくでなし共の集まりだ。中身の無い言葉で誰かの心が動くかよ。」

そう渡は思った。

『来ないで!それ以上来たら私本当に飛び降りるから!』

騒ぎを起こした生徒はどうやら女子らしい。

「こっちはこっちで構ってちゃんかよ!」

渡はウンザリしていた。

『お兄ちゃん』

『ったく、仕方ない』

渡の袖を掴んだ沙織の目は助けてあげよう?と訴えていたので渡は行動に移った。

『ちょっ、君待ちなさい!』

渡を止めようとする教師達。しかし渡はお構いなしに少女に近づいていった。

『来ないでって言ってるでしょ?本当に飛び降りるから!』

『行っても行かなくてもどうせ飛び降りるつもりなんだろ?だったら良いじゃん。それと…』

渡は屋上から下で騒いでいる野次馬を見下ろして言った。

『下の人達からスカートの中身が見えちゃってるんじゃない?』

『きゃっ』

スカートを押さえて女子生徒は座り込んだ。

『はい、捕獲っと』

渡は無事保護する事に成功した。

教師達は一斉に集まると生徒指導室へと女子生徒を連れて行った。

勿論、渡も職員室へと連れて行かれた。しかし成績も良く見事解決したので今後は勝手な行動を取らないよう注意を受けるだけですんだ。

その日の放課後、帰ろうとする渡の元へ沙織が急いでやってきた。

『待ってお兄ちゃん。あの子の事なんだけど』

「またお節介か」そう思ったが大事な妹が悩んでいるのは放っておけない。仕方なく付き合ってあげる事にした。

二年三組小林こばやし 美里みさとそれが少女のクラスと名前。彼女はイジメられているという噂を耳にした。

とりあえず彼女の家へ行く事にした。

インターホンを鳴らし応答するが話をしようとはせず、家に上がる事はできなかった。

それもそのはず、自殺を邪魔した張本人に会おうだなんて思わないだろう。

『お兄ちゃんどうする?』

『少しだけ待つとするか』

そういって彼女の家の前に座り込んだ。

しばらくすると

『うちに何か用でも?』

彼女の父親らしき人物が帰ってきたのだ。

『学校の屋上から飛び降りようとした所を阻止した者です』

夜8時を回っていた。そう簡単に見知らぬ高校生を家に入れてくれる訳がない。そこでありのままを告げた。

そうして彼女の家へ上がる事が出来た。しかし彼女は部屋から出ようとはしなかった。

なので彼女の携帯の番号とアドレスだけ聞いて家へ帰った。

電話に出ない。メールの返事も来なかった。

次の日彼女は学校を休んでいた。再び彼女の家へ向かった。母親が家へ上げてくれたが相変わらず部屋から出ては来ない。

仕方がないので部屋の前で話し始めた。

『君がイジメを受けていると聞いた。』

『………』

『少しで良いから話しを聞いてくれ』

『帰って!』

それがやっと彼女から聞いた声だった。

『俺達が力を貸してやる』

『帰ってって言ってるでしょ!私の事はもうほっといて!!』

少し沈黙が続いた後、彼女がボヤいた。

『どうせ誰も真剣に私の話しなんて聞いてくれない。先生だって見ようとしてなかった。』

この時、親等の家族に纏わる単語は出てこなかった。それと、先生は「見ようとしてなかった」と言ったのだ。つまり、先生には言えていないのだ。

きっと多くのイジメを受けている者がそうだろう。家族には心配掛けたくない。だから相談出来ない。友達はイジメの連鎖を避ける。学校で頼れるのは先生だけ。しかし先生に言えば家族に知られる。仮に言ったとして、家族に秘密だったとしても下手すればイジメがエスカレートするだけ。だから自分からは相談出来ない。だから周りの人間が気付いてあげなければ。そして、手を差し伸べてあげなければ。

『俺達が聞いてやる』

彼女はその言葉で少しだけ心を開いてくれた。

話を聞かせてくれた。

渡は考えた。そして必ず救うと心に決めた。


次の日彼女は学校へ向かった。

教室に入ると早速始まった。

『あれ?死んでなかったの?』

『死ねばいーのに』

そんな心無い言葉が飛び交った。

彼女は耐えた。渡をただ信じた。

更にイジメはエスカレートしていった。

カバンの中身を床にバラ撒かれたり、机にゴミを置いたりと様々な行動をとっていた。

イジメていた者達は教師が教室へ入ってくる頃、何事も無かったかのように振る舞った。

しかしこれは渡の思う壺だった事をイジメた者達は気付かなかった。

ICレコーダー:安い物で3000円程。高校生のお小遣いでも十分に買える額だろう。これをカバンに忍ばせていたのだ。イジメをただ見ているだけの人物の。

その人物は前のクラスで中の良かった人物だった。朝のうちに話をして協力してもらっていたのだった。

携帯(スマホ等):イジっているフリをしてムービーも撮らせていたのだ。

これで証拠は揃った。これを教師に提示した。イジメていた者達の親が学校に呼び出された。

『うちの子に限って』

とか言う馬鹿もこの証拠を前にそんな事は言えなかった。

変わりに

『これは盗撮だ!盗聴だ!犯罪だ!』

そんな事を言っている。

本当に馬鹿だ。出るとこ出て重要視されるのは証拠として提示した物品ではなく、イジメていたという【事実】なのだから。

渡の助言通り美里は物怖じせず堂々としていた。するとどうだろうか、先程までうるさくしていた馬鹿共が大人しくなったではないか。

そしてイジメていた者達は退学処分となった。

『ありがとうございました。お陰で救われることが出来ました』

『まだ終わっていない』

そう、【復讐】だ。

退学させられた事により腹を立て学校外で行動を起こし始めるのだ。

学校でのイジメを受けなくなった美里は前と同じ様に友達と過ごす事が出来る様になった。そして必ず外では一人で行動しないこと。もし、一人で行動する時は必ず携帯をすぐに電話で自分に知らせる事(着信のみでも可)が出来る様に手に持つ事。

しかし、美里は知らせる事も出来ず車に乗せられ拐われてしまうのだった。

今回はたまたまだが渡はイジメていた者が一人でファーストフード店に居るのを見かけた。どうやら誰かと話しているらしい。しかし店内は騒がしくよく聞き取れなかった。

ラジオ:ご存知だろうか?近くなら電話している人の声を盗聴可能なのだ。

どうやら仲間が拉致したらしい。

GPS:居場所を特定して向かうが携帯が落ちていた。念の為のもう一台持たせていたのでそちらを見ると移動をしていた。

沙織と合流して美里の元へと急いだ。

美里はガラの悪いゴミ共に囲まれていた。

ゴミ共は殴り掛かってきた。

『正当防衛成立!沙織、出番だ』

『了解!』

待ってましたと言わんばかりにゴミ共を片付けていく。

『あまり派手にやるなよ過剰防衛に成るからな』

ゴミ共は警察に捕まり美里は保護されたのだった。

それから何日かたった。

美里は語った。

『イジメは一人で悩んでいても中々解決しません。誰かに助けを求める事は勇気が要ります。誰かに手を差し伸べる事も勇気が要ります。助けを求める側は孤独です。でも、誰かが手を差し伸べ、その手を取った瞬間孤独ではなくなるのです。どうか気付いてあげて下さい。手を差し伸べてあげて下さい。生きる勇気を与えて下さい』と。

自分にはまだ小さな子供が2人居るのですが、子供達が大きくなった時に人を思いやり強く正しく生きて欲しいと思い今回の作品を書きました。今作品はイジメが題材となっているのですが、この機会に一人一人がイジメに対して考えて頂ければと思います。

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