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009 1章 04「歪の終わり」



俺は蔓で編んだ籠に芋や木の実を入れて持って来た。


そして働いている3人がしばらく帰って来ないのを確認し家に戻った。



「ただいま戻りました」


そう言って籠を置くと、普段は動きもしないオルトが立ち上がってやって来た。


そして籠をのぞき込むなり


「これだけか!?」


と叫んだ。


「はい」


事実なのでそれだけ言う。


いつもならここで嫌味や文句の一つも言ってくるが今日は違った。


「荷物を纏めろ」


そう言った。


こいつがこのように命令してきたときナゼとか聞いてはいけない。


激怒して攻撃してくる。弱いが。


また、意味を取り間違えても癇癪を起す。餓鬼だ。


「はい」


俺は渡されていたナイフをテーブルに置いた。


オルトがそれを手に取り「空間収納」に入れ安堵した。

俺はオルトの首筋を叩き意識を刈り取った。


すぐさま俺はオルトから「超強奪」で権限・スキル・ステータスを奪い、首の骨を折った。


そして、準備してから3人を呼びに行った。




3人が疑いながらも俺についてくると、家の外に転がされたオルトの死体があった。


まずはアインがおっかなびっくり近づいた。


そして匂いを嗅いだり手を握ったり心臓の音を確かめたりした。


「死んでる。間違いなく死んでる」


そう宣告するとツヴァイはアインに抱き着いた。


そして、


「がああああああああああああああああああ!!!!!!!」


グラスが、雄叫びと共に首輪を引きちぎり、オルトの死体に拳を振り下ろした。


「死ね死ね!死ね死ね!死ね死ね!死ね死ね!死ね死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ねっ!!」


何度も何度も拳を叩きつける。


ステータスを奪っているうえ老人のため、オルトの骨の折れる音や皮が剥けたりする。


「死ねええええぇぇぇぇぇっっっ!!!!」


グラスの慟哭と共に放たれた身体強化された拳が、オルトを水風船のように粉砕した。





しばらくの間皆無言だった。


だがこのままでいる訳にもいかない。


「これからどうする?俺は森を出ようと思っている」


反応したのはアインとツヴァイの2人だった。


「森を出るって…」


「2人はどうする?」


戸惑う2人に自分は意思を変えないといった声色で伝える。


先に口を開いたのはツヴァイだった。


「私は森に残るわ。森の外でどう生きたらいいか解らないもの」


「そうだね。僕も遠慮するよ。僕はツヴァイの傍にいたいからね」


アインが惚気た。


夫婦仲がいいのは良いことだ。


俺は今も項垂れているグラスに目を向けた。


「グラス。あんたはどうする?」


「・・・どうする?」


次の瞬間、グラスがツヴァイに殴りかかった。


しかし、その可能性も考えていたため俺はグラスの拳を止めることが出来た。


「どうゆうつもりだ。オウトがいなくなった今、皆自由だ。なぜ態々戦おうとする」


「五月蠅いっ!!貴様に何がわかる!!!人間に騙され奴隷の身となり買われた先があのクズだ!!何度も辱めを受け何度も尊厳を踏みにじられた!!!死ぬことすら管理された!逃れられない絶望の中に捕らわれた!!その中でも特に屈辱的だったのが子を産まされた事だ!!見るだけで、存在しているだけで腸が煮えくり返る!!あいつの血を持つお前ら全員殺してやる!!!」


そう言って距離を取る。


「考え直す気は無いか」


「ありえん!!」


「そうか」


それは明確な拒絶。


ならば仕方がないだろう。


「風よ。刃となりて我が敵をきり「止まれ」!!」


俺の言葉と共にグラスの詠唱が止まる。


いや、それどころか身動き一つ取れなくなっていた。


俺はグラスに近づき手を取る。


そして「超強奪」を発動させた。


「実はあんたの奴隷刻印の権利は俺が奪っただけだったんだ。もし何も無ければ破棄してたんだけど、保険ってやつさ」


グラスの目が大きく見開かれる。


やがて奪えるスキルとステータスが無くなったので、グラスをオウトの遺体の上に投げた。


「あの世で仲良くしてくれや。{紫炎}」


その呪言によって生み出された炎が半径1mくらいで燃え上がり、3秒程で消えた。


森に燃え移らず、嫌な臭いも出さない素晴らしい魔法だ。


「・・・・・」


再び静寂が戻ってくる。


「飯にするか」


腹が減っては何とやらだ。



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