003 序章03 「神々の判定」
俺は今、白い空間でソファーに座りながら読んでいなかったラノベを読んでいる。
肉体から解放されているため眠気も無く、腹も減らず、目も腕も疲れず、正に理想的な読書環境だった。
自分の買ってきたのを読み終わりパソコンを出してウェブノベルに手を出していると祟部さんが戻って来たので立ち上がった。
「ああ、まだいいですよ。ちょっと証言が欲しかっただけですので」
証言と言うことは自分も彼の上司に会うのだろうか?
そんな事を考えていた俺の頭上に蛍光灯の様な輪が投げられた。
それは大きくなると俺の頭から足までを3往復ほどして再び小さくなって祟部さんの手に収まった。
「それでは、失礼します」
そう言って消えた。
忙しい人である。
「あれがスキャナーかなんかだったんだな」
俺は再び読書に移った。
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それなりに時間がたって
「いやーお待たせしました!」
祟部さんが戻って来た。
やたら清々しい声だ。
「良かったらお話を聞かせていただけると嬉しいのですが」
そう言って俺は自分の向かいにソファーとコーヒーを出す。
好みがわからないので砂糖とクリープも。
「これはどうも」
そう言って座るとそのままコーヒーを飲んだ。
どうやらブラック派らしい。
「まず今回の件ですが、貴方は《神々のゲーム》に巻き込まれました。ですがこれは単純に運が無かったと諦めてください。それがあなたの為です」
コトリと、カップが置かれる。
「それについては諦めてるつもりです。競馬に闘鶏、ハブVSマング-ス。人だってやってることですからね」
俺もコーヒーに口を付ける。
少し苦く感じた。
「そうですか。では話を続けます。このゲームにも当然ルールがありまして、貴方を殺した神は不正を行っていたため資格は剥奪のうえ人間でいうところの終身刑になりました」
「そうですか・・・」
自分で考えていたよりずっと淡泊な声が出た。
ここで初めて自分が絶望しているのに向かい合った。
どうしようもないが。
「それで貴方の事なのですが、本来このゲームで1日を耐えたものは神々がベットした力を貰えることになってるんです」
思わず顔を上げる。
「いわゆる神々の試練ですからね。そこで今回は皆さんに力は返したうえで、あなたに犯罪を犯した神から力が支払われることになりました。こちらです」
それは水晶のようだった。
違うのは奥から無色の光が出ている事だ。
「純粋状態のちからです。摂り込んだら転生の話に移りましょう。それだけの力があれば記憶を持ったままの転生も可能ですよ」
その言葉を聞いた瞬間、ないはずの心臓が鳴った気がした。