偶然の出会い
「じゃ、夜まで各々自由な」
言い終わると同時に屋根無し高性能ログハウスを出る十六夜。
「了解」
「うん」
「了解っす」
天心、流星、容静も続いて出る。
十六夜は森林深くに歩いていき、天心、流星、容静も別々の方向(四方)に向かった。
十六夜は体感で一時間程歩いた後、少し開けた(と言ってもほんの少しだったが)場所で能力を試し始めた。十六夜、天心、流星の三人はステータスの概念はあったが、メニューの概念は容静だけにあった。
ステータスは基本的に物理や魔法の攻防力、速度、能力・スキルが表示される。が、メニューには現在時間やマップ、アイテムボックスの欄があり、どちらが便利かは一目瞭然だ。無論、メニューにも幾つかの制約はあるが。
「さて、やるか」
十六夜は能力を一通り確認しながら実験をしていた。その結果、支配は特殊な超常現象も使えたが、超常現象は自分と相性がいい能力しか使用出来なかった。支配、これらの能力はまた今度に説明。他にもいろいろあったが、知識不足なものもあり、実験は終わった。昼頃。アカシックレコードの時に事件は起こった。アカシックレコードを使用した瞬間、膨大以上の知識が脳に入ってきた、脳の一部が甲高い音を発した次の瞬間気を失った。
「此処はどこだ」
いきなり気を失った挙げ句、別の場所にいたらこうもなるだろう。窓を見れば、日がくれてきている夕方の時間だ、現在は普通の家(ログハウス内)に居るようだ
「キュ」
「ん、何だこの鳴き声」
といいながら周りをみる十六夜。だが何もない。
「キュ」
「ん、…なんだこいつ」
そこにいたのは、猫と兎にリスの尻尾を併せた混合生物だった。詳しくいえば猫の体に兎の耳と足、リスの尻尾が組み合わさった感じだ。
「・・・」 観察する事数分間。
「あ、起きましたか」
「誰だ?」
いきなり現れた女性は、初めて見るエルフだった。容姿は、金髪青眼(瞳は青より深い深海の色)の、緑と白い上下に青色と黒色が入った服を着た美女エルフで、胸がかなりでかかった。
「私はここに住んで居るエルフです、あなたを運んで来ました。それと、そこの魔物?が私を呼んだんですが、従魔では無いのですか」
「いや此奴は知らないし、従魔でもない」
すると突然体にのぼってきた、頭にうつ伏せに寝ころびながら、「キュ」と鳴いた。混合生物改め、サリネと名付けた。
「仲がいいんですね」
「いいといわれてもな、起きて会ったばかりだぞ、あんたともな」
多少皮肉を込めて言う。
「あ、そうでした。私の名前はフェルシアといいます。ハイエルフと人間のハーフです」
「俺は、黒陰十六夜だ。それより、俺にハーフとばらしていいのか、独りで住んでるってことは里から出たか、追い出されたんだろ」
互いに自己紹介の後、いきなり爆弾を投下した十六夜。
「はい、純血のハイエルフと、人間のハーフということで。でも十六夜さんは、大丈夫な感じがしましたからつい」
と言いながら小さくなっていくフェルシア。ついでに爆弾を見事に受け止めた。恐らく独りが寂しかったんだろうと十六夜は考えていた。(ハイエルフと人間のハーフ、ねぇ)。
「一つききたい。「はい」フェルシア。それは本名か?」
「いいえ、厳密には本名ではないです。「厳密には?」はい、この名は母さんから貰いましたから。「ふうん」ですが里の本名はもう、追放されたので使わないですし、十六夜さんにはフェルシアと呼んでもらいたいですし」
頬を少し染めながら言う。
「俺何かより俺の仲間の方が気に入ると思うけどな」
と皮肉げに自称する十六夜。だがフェルシアは否定した。
「いいえ。十六夜さんの方がいいです。十六夜さんは、私と似ている境遇のような感じがしますし」
昔の記憶を瞼の、目の奥で思い出しているような、悲しい目で言うフェルシア。
過去を喋る事がない十六夜は少し不快になり、言葉に多少の怒気が宿ったが直ぐに消えた。
「何でわかった」
「魔法の力と感覚で」
「・・・」
「お前は魔法はどうなんだ」
「基本はだいたい網羅して、特殊な治癒魔法が使えます。それで十六夜さんを治療しました」
「治療?。何を治療した」
「十六夜さんが倒れていたときには、脳の一部分が欠けていたので」
「脳。まさかお前の治癒魔法は外面じゃなく、内面。精神面も治療する系統か。「はい」なら逆もできると、「はい」ふむ」
少しの間思考する十六夜。思考の途中にフェルシアが話しかけてきた。
「でも心のほうは、あんまり得意じゃないんです」
「だが使える」
「はい」
率直に聞く十六夜にフェルシアは反論出来なかった。全て事実であることには、変わりないのだから。
「まぁいい。治療してくれた事に変わりないしな、サリネも」
「キュ」
「…いいんですか。「ああ、じゃなきゃ色んな意味でまずかったしな」 (アカシックレコードはまた後でだな)ありがとうございます」
「こっちこそな」
「はい」
嬉しそうに返事を返すフェルシア
「行くか」
「キュ」
外を見れば、かなり暗くなってきていた。
「行くんですか。同行は、その」
「…ふむ、同行したいなら明日、またくるから考えておいてくれ」
「わかりました」
言葉ではこういったが、心のなかではついて行く気満タンだった。十六夜は頭にサリネを乗せながら、屋根無し高性能ログハウスに向け帰路に着いた。




