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聖霊使いへの道  作者: 雪月葉
セントルイナ大陸編
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巨人の暴力

 片膝をつき、ユリトエスに仕えるように無言でそびえる白銀色の機体。ボンヤリと赤と黒の文様が淡く輝き、その度に魔力が揺れる。

 突如として現れたその存在に、ユクレステ達は驚愕に染まった表情を浮かべる。あのマイリエルでさえ目の前の存在が放つ威圧感にたじろぐ程だ。

「これは……一体なんなのですか!?」

「機械人形……? いや、最早そんなレベルじゃないね。精霊以上の圧迫感……とんだ物を隠してたものだね」

 マイリエルとディーラが驚き、感嘆の声をあげている。一人ユクレステは、別の場所に驚愕をしていた。

「これ……まさか、鍵なのか?」

 見えたのだ。鍵が形を崩し、巨体に姿を変えた瞬間を。それは、ユゥミィの鎧のように一瞬で変化していた。

 ユリトエスは不敵に笑い、その通りだと頷く。

「そうさ。ユゥミィちゃんの持つ非晶流体金属。それの元となった代物だよ。非在神晶物質、変動率はもはや異常。さらに自己修復機能つき。ロスト・テクノロジーの極みとも呼べる存在。それが、現在鍵と称された、喪神具ロスト・アイテムと呼ばれる物なんだ」

 キートゥを優しく撫で、ユリトエスは当然のように玉座へと腰掛ける。

「そして、このジルオーズから届いた最後の鍵……オメガ・キーはまた特殊でね。この機械人形を内包した、正真正銘オーバースペックの機人兵器なのさ。不思議に思わなかったかい? 外にある機械人形程度がゼリアリスの堅牢な城壁を破った、なんてことをさ」

 卵の形をした人形兵器は、決して攻撃能力が高いものではない。むしろ、対人用の装備であるために城壁破壊などはとてもではないが不可能だ。ゼリアリスも、このアーリッシュも、たった一機の巨人に敗北したのである。

「それじゃあ、ルイーナに攻め込ませているのも……」

「当然、ブラフさ。当然だろう? あんなのに国を一つ攻め落とせる訳が無いじゃん。多少は時間稼ぎにはなるけどさ、それまでだ。……でも、それで十分」

 チラリとマイリエルを見て、口元を歪めた。

「君を待っていただけだからね。マイリ」

「ユリト……! 貴方は、一体なにを狙っているのですか!?」

 ユリトエスの狙いが分からない。国を攻める気も、治める気もない。ではゼリアリスへの復讐かと問われれば、どこか違うような気がしてならない。

 マイリエルは胸の内の不安を押し隠す様に鋭く睨みつけた。

「はあ……いつまでも君はお転婆だね。……ねえマイリ、ちょっと話は変わるんだけどさ。上見てみなよ」

「上?」

 突然の話題転換に頭が一歩遅れ、不審そうに壊れた天井から覗く空を見上げる。青い空が視界に映る。その瞬間、

「ポチっとな」

「……えっ?」

 マイリエルの足元が消え去った。浮遊感、次いで落下していくのが分かる。あまりに一瞬で、反応する暇がなかった。

「なっ! ユリトー!?」

 なにかを喚くが、空いた床がすぐに塞がり、彼女の声もシャットアウトする。呆気に取られるユクレステ達を横に、ケラケラと笑っているユリトエス。

「いやいや、相変わらずのイノシシっぷりで安心するよ」

「ユ、ユリト! マイリ落ちて行ったけど大丈夫なのか?」

「あれ? ユゥミィちゃん今マイリって……。んーまあいっか。で、ここなんだけどさー」

 手持無沙汰に玉座に備え付けられたボタンを弄りながら、ユリトエスは言った。

「元々遺跡の上に城が建てられたってのは知ってるでしょ? この城、実は結構当時のままの仕掛けが多くてさ。さっきの落とし穴なんかが良い例だね。ここから遺跡への直行便になってるんだよ。そしてもちろん、ユッキーの足元とかね」

「えっ!?」

 慌てて一歩下がる。

 穴に落ちた。

「ユリトおまえー!?」

 落とし穴が出来たのは、先ほどまでユクレステがいた、ほんの一歩後ろの場所。簡単に誘導された彼の姿に、今度こそ大爆笑である。

「あっはっはー、見事にホールインワンだー。……それで、キートゥ」

 一言。

 ユリトエスのそれに反応しキートゥは巨大な拳を地面へと叩きつけた。衝撃は床を突き抜け、落とし穴を無理やり塞いだ。即座に向かおうとしていたディーラは短く舌打ちをし、炎の槍を出現させる。

「ブレイズ・ランス」

 キートゥへと向かう槍は、その体に重なる前に消え去った。

 それを当然のように受け止め、苛立たしげにユリトエスを睨みつける。

「……いくらユリトでも、ご主人に危害を加えるつもりなら容赦しないよ?」

 見れば、ミュウやユゥミィも武器を取り出し、戦闘態勢を整えている。少し迷った瞳なのは仕方ないが、明確な敵意を持っている姿は素直に好感が持てた。

「良いね、やっぱり戦うならキチンと敵意を持ってもらわないと。色々足りない王様にご教授願いたいものだけど……まあ、もう遅いけどね」

「……ユリトさん、ご主人さまは、どこへ?」

「あはは、心配しないでミュウちゃん。ちょっとご招待しただけだから。あそこを目指すユッキーなら、見に行った方がいいだろう?」

「あそこ……もしかして」

 ハッとなにかに気付いたのか、思わず下を見るミュウ。なにかに気付いた様子に、へえ、とユリトエスは感心したような声をあげた。

「ミュウちゃん、気付いたんだ。やっぱり学習能力高いよなぁ、この子……。そうだね、この下には扉が……秘匿大陸への扉が眠っているんだよ」

 やはりと得心の行った表情のミュウに語りかけるように、さらに続ける。

「元々、アーリッシュ城地下の遺跡は扉を守護するのが役割だったんだ。でも当の扉は壊れていて、起動すらしなかった。だから、別の扉を求めてゼリアリス王はルイーナに戦争を仕掛けたんだね」

 だが、彼は思い違いをしていた。別の扉を求めたとして、それだけでは扉は開かないのだ。むしろこれは、ユリトエスが意図的にミスリードを誘ったのだろう。

「安心しなよ、ユッキーに危害を加える気はないから。少し余の昔話でも聞いてもらおうかなーってさ。君たちはそれまで、この子の遊び相手をお願いするよ。なにぶん、起きたばかりの子供みたいなものでね。たまにはお外で遊ばせないと癇癪を起こして大変なんだ」

 ピ、と指を上に向け、チラリとキートゥを見やる。瞬間、その灰色の目に光が現れた。

 ――ォォ、と低い魔力の唸りが発生し、凄まじい暴風が白銀の機体から発せられる。

「くぅ、なんて魔力……精霊が悲鳴を上げているぞ!?」

 石壁が剥がれ、玉座の間が瓦解する。ユゥミィの悲鳴交じりの声が魔力の渦に掻き消された。

「それじゃあ、ガンバってねー。一応、殺さないようには言ってあるけど……割かし大雑把だからね、その子。気をつけてよー」

 無茶を言う。ディーラの視線に気づいたのかヒラヒラと手を振るユリトエス。玉座が下にスライドし、彼もまた地下の扉へと向かったのだろう。結局彼の思い通りになっているのがムカつくが、今は、

「……せっかくだし、目いっぱい遊んであげるよ。木偶人形」

 最上の喜びを得るために、凶暴な笑みを浮かべた。




「うわぁあああー! いでっ!?」

 ドスン、と尻から着地したユクレステは、いててと呻きながら周りを見渡した。

「ユクレステ様も落とされたようですね」

「マイリエル様? え、ええ」

 なんの汚れもない彼女の姿を見て、普通に着地したのだろうなと当たりをつける。

 痛む腰を擦りながら立ち上がり、グルリと当たりを見渡した。石畳で出来た一室だろうか。壁には苔がびっしりと付着し、その苔が僅かに光り輝いている。

 落ちて来た方角を考え、どうやらここが噂の地下遺跡なのだろう。

「……凄いな。時間があれば是非とも見て回りたいところだ」

 感嘆の声を上げるユクレステ。彼も一人の冒険者として、こう言った遺跡には惹かれるようなものがあるのだろう。遺跡探索に命を賭ける者たちの事が少し理解出来た。

「しかし、なぜユリトは私たちをこんな場所へ送ったのでしょうか?」

「戦力の分断……って訳ではなさそうですけど……。それならマイリエル様だけで十分だろうし……うん?」

 言葉の途中、部屋の奥に鎮座する物体を視界に入れて意識をそちらに向ける。

 灰色の石で造られた、四角いものがそこにあった。中をくり抜かれ、様々な装飾が施されている。特に目を引くのが、上部に設置された骸骨の装飾だ。さらにその周りには幾つもの文様が光を放っている。

「……なんだ、これ? って言うか、これどこかで……」

 思考の隅で引っ掛かるなにかを払い除け、もっと良く見ようと近付いた。と、その時、

「ぎゃん!?」

「ユクレステ様!?」

 なにかに弾かれるように、派手に後ろに転げこんだ。

「いっつぅ……なんか、壁のようなものが……」

「壁?」

 ユクレステが倒れ込んだ場所から一歩踏み込むが、マイリエルには特に変化はない。腕を伸ばして確認するが、やはり同じだ。だがユクレステが腕を伸ばせば、バチッ、と音を立てて弾かれる。

「障壁……いえ、結界ですか。ですが、なぜ私だけ?」

「それはもちろん、君が余にとってのお客様(ゲスト)だからさ。マイリ」

「ユリト! ……って、なんですかその登場」

 天井に穴が空き、そこから玉座と共に降りて来たユリトエス。その陳腐な仕掛けに呆れた表情を見せるマイリエルに、ムッとして反論する。

「失敬な。格好良いじゃん? これ」

「そうか?」

 思わずユクレステも冷めた目を向けてしまう。個人的に一番気に入った仕掛けだったのだが、この二人には不評だったようだ。ユリトエスは玉座から立ち上がりながら、やり直すように声を発する。

「さ、て……。ようこそ、マイリエル、おまけでユクレステ。世界の入り口の間へ。歓迎するよ、この、城主と一緒にね」

 手元のボタンをカチリと押す。すると、ユクレステ達と同じようにだれかが降って来た。

 ボロボロの服とマントに身を包んだ、一見すると端正な顔立ちの男性。高い場所から落とされたからか、苦悶の表情を浮かべている。

 それがだれかを確認し、マイリエルは声を上げた。

「レイサス様!?」

「つぅ……いきなりはキツイよ、ユリトエス。せめて、呼び出ししてからお願いしたいね」

 後ろ手に縛られ、ユリトエスの後ろからむくりと起き上がる。その様子を確認し、ユリトエスはニコリと笑って言った。

「これで役者は揃ったね。それじゃあ、開いちゃおうか。この――秘匿大陸へと続く扉を」

 その言葉に、ユクレステは表情が固まるのを感じた。




 その頃、地上では暴力が嵐となってアーリッシュ城を蹂躙していた。

「おわっ、と……くっ、これでは変身チェンジが出来ないではないか!」

 薙ぎ払われる巨腕、その一つ一つがミュウ達にとって脅威だ。例え、それが無造作に行われた行動だとしても。

 崩れる瓦礫から逃れるように城の外へと飛び上がる。ユゥミィと目が合い、眼光が一瞬大きくなったような気がした。

「うわぁ……」

 同時に、ドン、と衝撃が走り彼女に向かって城壁の一部が投げられる。馬小屋程もある巨塊が降って来るのを視界に入れ、慌てて伏せる。頭の先をなにかが掠め、次いで城が崩れる音を聞いた。

「むっ、無茶苦茶にも程があるだろう! 流石に!?」

 立っているだけで瓦礫の上にいるユゥミィよりも大きい。八メートルはあるであろうその攻撃範囲は、まさに脅威と呼べるものだ。さらに言えば、防御力。

「ザラマンダー・ファランクス」

 ディーラの魔法が装甲に着弾すると同時に掻き消えた。先ほどから何度も見たこの光景。装甲が厚いとかのレベルではない。いや、もちろん装甲自体も驚異的なものではあるのだが。

「厄介……って言うか、ダメージ喰らってるの、これ?」

「顔に出さないだけで我慢強いだけであれば良いのだがな」

 機械人形の一種である以上、表情を読み取るのは無理難題だ。

「魔法ダメージは、あんまり期待できないかも。ユゥミィ、ミュウは?」

「さあ? さっきなにかを取りに行くとか……あ、いた」

 トン、と瓦礫の上に立ったミュウの肩には、一人の老人が担がれていた。以前、ダーゲシュテンにいた時に顔見知りとなったエイゼンだ。縄でキツく縛られており、一人取り残されていた所をミュウに救助されたようだ。もしあのままならば、今頃瓦礫の下で潰されていたことだろう。

 縄を解きながら、控えめにミュウが言った。

「お、お待たせしました……」

「うん、お待ちしてました。……で、わざわざ取りに行ってたの、それ」

「そ、それとはなんじゃ悪魔っ子め! クッ、ユリトエスめ……よくも置き忘れおったな」

「まあまあ、ご老人。あまり怒ると体に障りますぞ。とにかくほら、今はあっちに突貫すれば良いと思います」

「ああ、それはご丁寧にどうも……って、それは流石にもうやらんぞ!?」

 ナチュラルにキートゥへの道を譲るユゥミィ。流石の彼女でも、あの機人兵器とやり合うのはごめんなのだろう。一度完膚なきまでに敗北しているエイゼンはすぐに首を横に振った。

「……そう言えばこのジイさんって強いの?」

「むっ、なんじゃ悪魔っ子め。当然じゃろう、わしをだれじゃと思っておる」

「良し、じゃあ参戦決定。行って来い」

「いやいやいや! 流石のわしも無手で挑むのはどうかと思ってじゃな……」

「あ、あの……剣も落ちていましたから、拾っておきました」

「…………心遣い、感謝します」

 傍若無人なディーラと違ってミュウは善意十割での言葉だ。一人の騎士として、突き放す言い方は出来ない。諦めて剣を手に取ったエイゼンは、キートゥへと向き直る。

「雪辱戦だと思えば……」

「……一回やりあったの?」

「うむ、あの時は手も足も出んかった……だが、今回は負けん!」

 鞘から剣を抜き放つ。ギラリと鈍く光る老騎士の剣が、物言わぬ機械の巨人へと向いた。

「一応確認じゃが、あの巨人には魔法の類が一切効かん。それを忘れぬようにな」

「ああ、やっぱり?」

 なんとなくそうではないかと思っていたディーラが、納得の表情を浮かべる。いや、あれは効かないと言うよりは――。

「……消滅、かな? ご主人の同列キャンセル魔法みたいなものだよね?」

 打ち消された魔法の数々を見て思ったのが、まずそれだ。だが、障壁ではないのならばまだやりようはある。

「でしたら、わたしが前に出ます。剣なら、少しは戦えると思いますから」

「それが妥当じゃな。ではそちらにはわしも入ろう。老いたとはいえまだまだ現役、姫様の剣術指南役としての矜持、お見せしよう」

 剣を持つ二人に頷き、ディーラはバサリと翼を動かした。

「わ、私はどうしたら良いと思う?」

「魔法も効かないんじゃねぇ……あの鎧じゃあ早く動けそうもないし……その辺で見てれば?」

「仲間はずれは嫌だい!!」

「なら自分で考えなよ。ユゥミィの力なんて、僕には分からないんだし」

 素っ気なく言い、ディーラは詠唱を開始する。魔法は直接相手にぶつけるものだけではない。それを主から教えて貰ったのだ。

「さあ、再開するよ」

 ディーラの呟きと共に、ミュウ達が突貫した。


「いき、ます――! 混濁の双脚ハオマ!」

 出し惜しみをする余裕はない。即座に強化魔法を両脚に付与し、跳び上がる。ちょうど今までいた位置にキートゥの腕がめり込み、鋼鉄の肘部分に着地する。そのまま駆けあがり、肩の装甲部分に大剣を振り下ろした。

「――っ、硬い!?」

 ぶつかり合う音が鳴り止み、そこには少しのダメージも受けていない巨人の姿があった。キートゥは頭を動かし、ミュウと睨み目を交差させる。

「ぬぅん!」

「あっ、エイゼン様……!」

 老人とは思えない素早い動きでキートゥの背後に回り込み、足へと斬激を繰り出した。だがそれも大したダメージは受けていない。しかし僅かに気は逸れたのか、ミュウは急ぎ跳躍する。

「混濁の双腕ソーマ……剣気――地崩!」

 強化を腕に回し、大剣の重量を最大まで引き上げる。その一撃は、あのマイリエルすら膝をつかせたものだ。それを頭のてっ辺に叩き込んだ。その衝撃に、巨人の頭が僅かに揺れる。

「おおっ、なんと素晴らしい一撃! やりますな、ミュウ殿」

「あ、ありがとうございます……。エイゼン様が、隙を作ってくれたおかげ、です……」

 足場の悪い瓦礫の上に着地し、エイゼンが声をかけてくる。照れたように微笑む少女の姿に、いつの日のマイリエルを幻視した。

『――――ダメージ確認。第一セーフティー解除。初期武装を解放』

 キートゥから機械音声が流れた。その声に反応して剣を構え直し、言葉の意味を確認する。

 第一セーフティー。そして、初期武装の解放。つまり、

「ちょっと本気出すよってことか」

 頭上からかかるディーラの声。彼女の手には炎の巨槍(ファランクス)が握られていた。

「むっ? 魔法は奴には効かぬはずだが?」

「分かってるよ。だから、こうして……」

 エイゼンの問いに答えるように、ディーラは瓦礫の塊を槍に突き刺した。槍に貫かれた塊が魔力によって強化され、即席のハンマーとなる。得意気にそれを見下ろし、ニヤリと笑った。

「これなら多少は戦えるかな? まあ、試してみるよ」

 ぐっ、と巨大ハンマーを持ち上げ、巨人へと向かう。瞬間、キートゥの腕に非在の物質が掻き集められる。

「むっ……」

 なにかが一閃された。

 ハンマーを呆気なく両断され、不満顔のディーラはそれを見て警戒の色を強める。

 大剣。言葉通りの代物だ。巨大過ぎる、巨人の剣。目算六メートル程度の剣を片手で操り、睨み目が鋭く光を放った。

「それが武装? 随分と、ゴツイね」

 さらに振られた刃を避け、チラリと見る。そこへ、ユゥミィの声が響いた。

「チャンス! ユグディア・オルレアン!」

「ユゥミィ? 魔法は効かないって……」

 聖縄が駆け、キートゥへと向かう。だが、彼女が狙ったのは巨人本体ではない。剣だ。

「ふふん、やはりな! 先ほど斬ったのが瓦礫だったからもしかしたらと思ったのだ! ミュウ、エイゼン殿!」

「はいっ!」

「承知!」

 二人は剣気を高め、グッと力を込めて大剣をキートゥの胴へと叩き込む。一瞬、グラリと揺れる機械の巨人。だが、

『ダメージ――軽微。支障無し』

 大きなダメージに至っていないようだ。

 さらに大剣を持っていない方の腕に、白銀の銃が現れる。

「……っ!」

「くそっ、間に合え――解放アンロック! 変身チェンジ!」

 銃口がミュウへと向けられ、それを遮るようにユゥミィが前へと出た。盾を装備する時間はない。ならば、この身を盾にする。

 轟音と共に、凄まじい衝撃が空気を震わせた。


巨大ロボVSファンタジー世界の住人。

ファンタジー好きとしては大好物過ぎる展開です! 

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