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聖霊使いへの道  作者: 雪月葉
セントルイナ大陸編
63/132

番外編 わんこ会議と男の娘の恋ばな

今回は二本立てで、後半に男の娘の話があります。男×男の娘はNLだと思う方推奨。苦手な方は飛ばして下さい。本編には支障ありません。

 三風狼会議


 パチパチと火が音を立てて燃えている。たき火の火を眺めながら、三匹の風狼は夜の見張りに立っていた。側には主である白髪の剣士、ウォルフとシーフ兼魔法使いのアミルが眠っている。一匹狼ロンリーウルフと呼ばれていた主が他人と旅をすることになって数週間。初めは戸惑いもあったが、今ではそこそこ上手く立ち回っているのではと思う。

 と、それはともかく。三匹の風狼は円陣を組みながら顔を突き合わせている。一匹は姿勢を正し、もう二匹は伏せの状態をしていた。

(それでは、今回もいつものやつを行う。良いな?)

 風狼達は元は一匹。なのでこうして声を出さずとも意思を伝達することが出来る。最初に発言したのは、三匹の中でリーダーとして常にウォルフの側に控えるヒュウだ。残りの二匹、フウとロウが視線をヒュウへと向けると、言葉を続けた。

(では、第1153回、ウォルフ定例会議を始める!)

(わーどんどん)

(わふわふ)

 ヒュウの気合の入った言葉とは反対に、気の抜けた声で合いの手を入れる二匹。気にした様子もないヒュウは、最初の議題をあげた。それはズバリ、

(最近のウォルフの様子について、おまえ達はどう思う?)

 主である少年の近況についてである。

(そうですね……近頃グッと寒くなってきましたから風邪を引かないか心配です。明日は薬草を探してきましょう)

(んあー? まー、いつも通りだと思うけどねー? あ、でも最近はちょっと睡眠時間が減ってるからもう少し僕らで夜の見張りをやった方が良いんじゃね?)

 主とは言え、むしろヒュウ達にとって見れば息子や弟のようなもの。その視線は自然と親的なものになってしまう。

 ヒュウはふむ、と一度頷いてから、ハッと首を振る。

(いや、今回はそうではなく……あのアミルと言う女との事だ。最近やたらとウォルフにベタついているが、どう思う?)

 どうやら話題はつい先日ウォルフの仲間になった、アミル・カートリッジと言う少女についてだった。正確には、彼女とウォルフとの仲についてだが。

 チラチラと寝入っている彼の姿を盗み見ながら声を潜めるヒュウに、呆れたような態度でフウが応える。

(貴方はまた……その話題を出すのはこの数週間で三度目ですよ? どれだけ心配性なんですか……)

(なっ! き、貴様は心配ではないのか!? どこの馬の骨とも分からない小娘に私のウォルフが骨抜きにされるかもしれないのだぞ!?)

(いや、ないでしょう? 今朝だって……)


 回想、朝食時。

「ねぇウォルフ?」

「なんだ?」

「せっかくだからあたしが食べさせてあげる」

「いや、意味が分からん。オレは病人じゃないぞ? 一人で食える」

「まぁまぁ、良いから良いから。はい、あーん」

「…………」

「あーん」

「ふん」

 スパッ。

「あーっ! あんた食べ物を粗末にするなんてサイテー!」

「……ロウ、食べて良いぞ」

「わふっ!」


(素気無くあしらわれていたじゃないですか。それもこのところ毎日。あそこまでやられてめげない様は、むしろ好感が持てますけどね)

 朝のことを思い出しながら苦笑するフウに、うっ、と呻いて押し黙る。ならばとロウへと視線を向けた。

(で、ではロウ。貴様はどうだ? あの女の嫌な所が一つくらいあるだろう?)

(そこで僕に聞くんだ? そーだなー)


 回想、戦闘時


「ふん、雑魚か。ヒュウ、一気に片付けるぞ!」

「グルゥウ!」

「あ、あのー。あたしはどうすれば良いのかしら?」

「その辺で草でも摘んでいろ」

「戦力外通告!? 酷い! あたしだって戦えるのよ! 魔術学院にだって通ってたし!」

「だが中退だろう?」

「…………」

「…………」

「うわーん! 覚えてなさいよー!?」


(その後本当に野草を沢山持って帰って来てウォルフも野菜を取れたから結果オーライだったよね?)

 美味しかったし、と満足そうである。

(……おい、私は嫌な所を聞いたはずだが? なんだその、あの子もちょっとは頑張ってるし、と言いたげなエピソードは!)

 食い意地の張っている同僚の姿をジト、と睨み、心の中で吠える。

(でもヒュウだって美味しそうに食べてたじゃん。同じ穴のムジナー)

(うるさい!)

「んぅ……?」

 ケタケタ笑うロウに苛立った声を上げた。思わず声を上げてしまい、ウォルフが身動みじろぎをする。ハッ、とそちらを見る。

「……んむ」

 再度眠りにつくウォルフ。ホッと息を吐き出し、それならばとヒュウ自身が思い出しながら話し出す。


 回想、仕事


「だーかーらー! この依頼でこの金額は絶対おかしい! 報酬と労働の対価が間違ってるの! なに? あんたこんな金額設定で依頼こなしてたの? バカなの? 死ぬの? 金欠になって栄養失調で死ぬわよ!?」

「だ、だが、以前の依頼では……」

「その時と今では時期も違うし、その際に掛かる労力が違うの! 夏場に入る海と冬場に入る海くらい違う! どこの世界に雪山に薄着で入るバカがいるのよ! 山に登るのにも費用が掛かる、それを込みで料金設定しないと結局二束三文のお金しか入らないの! あーもう、あんた本当に今まで冒険者としてやって来たの? よく今まで生きて来れたわね?」

「そう、なのか? いやまあ、確かに毎年冬になると金もカツカツになって馬小屋で夜を明かすことになっていたが……もしかして、それが原因か?」

「もしかしてもなにもないわよ! ……あー、あんた世間ズレし過ぎ。ちょっとこっち来なさい。あたしが冒険者として必要なスキルを教えたげるわ。万年金欠でいられちゃ仲間であるあたしが困る」

「ま、待て! その手に持った算数ドリルをどうするつもりだ! オレは二桁の足し算までしか出来ないぞ!?」

「あんた今までどうやって依頼料確認してたの!? 絶対どっかでぼられてるわよ!?」


(…………助かっては、いるかもしれない)

 今までの暮らしを鑑みながら、深いため息と共に吐き出した。確かにうちの主人、計算が出来ないから不思議と安い依頼料で満足していた節がある。そのせいで基本、宿なんて取れずに野宿か馬小屋生活であったし。最近では九九を七の段まで言えるようになったと自慢げに言うウォルフを温かな目で見ていたっけ。

 うーん、と低く唸り、ポツリ。

(……悪い人間では、ないとは思う)

(そうでしょうね。悪い人間はあんな明け透けな態度は取れないでしょうし、ちょっとがさつな所を除けば良い子だとは思いますよ?)

(だねー。たまに甘いお菓子とかくれるし、僕は結構好きかな。あの子)

 好意的な解釈の二匹。もちろん、ヒュウとて彼女は信頼に値すると思っている。元気だし、彼女の存在はウォルフにとっても良い傾向だろう。だが、それでも不満は尽きない。

(私は! 私のウォルフがよその女になびくのが我慢ならんのだぁ!!)

 結局、そういう事らしい。母であり、姉である彼女からすれば、溺愛している息子ないし弟を横から掻っ攫われた気がしてならないのだ。

(とは言いましても、それを伝えればどれだけ狭量なと思われるかもしれませんし)

(まーしょうがないよ。人間は人間とつがいになるのが普通だし。よっぽどの変態さんでもなきゃね)

(う、うちのウォルフは変態なんかじゃない!)

 必死の訴えのヒュウに対して、他の二匹は冷めている。若干涙目のその反論に、ロウは笑って応えた。

(なら諦めなよ。それが出来ないまでも、あの子達の仲を認めるくらいはしても良いんじゃない? せっかく出来た人間の友達なんだしさ)

(うー、うぅー!)

 三匹の風狼会議、これにて終了。

 生真面目過保護なヒュウが彼女と折り合いをつけるのは、もう少し後のお話。




 

 男のの気持ち


 セントルイナ大陸の中央に位置する、王都ルイーナ。そこには王立の研究機関や魔術学園など重要施設が立ち並ぶ、セントルイナ大陸でも有数の大都市である。

 そこにアリィという一人の少女がいた。いや、正確には少女のような少年、だが。

 彼は商業区のフリーマーケットで定期的にぬいぐるみの店を開いており、今日も今日とてお得意さん達とに自分が作った自信作のぬいぐるみを披露しているのだった。


「こんにちは、セイレーシアンさん。なにかお探しですか?」

「ち、違うわよ? 私はセイレーシアンって名前じゃないわよ? ただの通りすがりの騎士だがら、その辺間違えないように」

「はいはい分かりました。それで、なにをお探しでしょうか? ちなみに最近の新作ですとこちらの百分の一ブラックドラゴンなんかがオススメですけど?」

 黒眼鏡サングラスにフードを目深に被った、傍から見たら怪しさ満点の女性が客として来店した。彼女こそがこのルイーナ国でも有数の実力者、セイレーシアン・オルバールその人であった。以前に彼女がアリィの店に来て以来、熱心なファンになったのだ。

「い、いえ、別にそのぬいぐるみが悪い訳じゃないんだけど……今日は例のものを……」

「……貴方も好きですね。では、こちらを」

 店の一角を占領したぬいぐるみの中から一点を取り出し、ニヤリと笑いながら見せる。モンスターや動物達をモチーフにしたぬいぐるみの中でただ一つ、人間の形をしているものだ。

 ブラウンの髪、白いローブに身を包み、長い杖を持った可愛らしいぬいぐるみ。それを手にし、セイレーシアンはほう、とため息を吐いた。

「……相変わらず、素晴らしい出来ね」

「ありがとうございます。ちなみに今回の新作はもう一点……水着です」

「買いでお願いするわ」

「まいどあり」

 まるで密約を交わすようなやり取りに周りが若干引いている。そんなことは気にも留めず、二人の美少女(片方は男だが)が怪しい笑みを浮かべていた。


 店仕舞いを終えたアリィは、終わるのを待っていたセイレーシアンを自宅へと招待していた。一つの共通点を持った彼女達は、なんだかんだで仲良くなりこうして家に及ばれする程度には仲が良くなっていた。

 今日呼ばれたのは、アリィがなにやら見せたいものがあるからだとか。

「で、それがこれなの?」

「ええ。どうです? いい出来でしょう?」

 ぬいぐるみが多数置かれた、随分とファンシーな一室には、それとはまた異なるタイプの人形が置かれていた。いわゆるフィギュアと呼ばれるものだ。そのモチーフというのが、今までぬいぐるみで散々モデルにして来た人物、ユクレステ・フォム・ダーゲシュテンだった。

「……凄いわね。ユクレの特徴が良く出てて、本人が縮んだみたい。ぬいぐるみとはまた違った完成度……流石ね、アリィ。でも良いの? これまだ途中なのに私になんか見せて」

「ふふふ、将来のお姉さまになるんだもの。これくらいは構わないわ」

「……なんか複雑ね」

 マジマジと見つめながらセイレーシアンがふと顔を上げた。

「ねえ、本当に貴方、ユクレの事好きなの?」

「もちろん。それ以外なにもいらないくらいに、愛しているわ」

「男同士なのに?」

 彼女の一言に一瞬言葉が止まる。

 確かに、アリィは性別上、ユクレステと同じ男だ。付いているものは付いているし、無いものは無い。それでも彼自身、自分を男だと思ったことはなかった。

「……私は自分のことは女だと思ってるから。ずっと……あの人と出会ったその瞬間から」

 そうしてポツポツと語られる過去の思いが今も鮮明に映し出されていく。

 セイレーシアンは静かに話を聞き続けた。



 三年前、王都ルイーナ。

 アリィという少年は、一言で言えば変な人物だった。

 剣や槍よりもぬいぐるみを。動きやすい服装よりもフリルやレースの付いた可愛らしい服装を好み、剣の訓練よりも裁縫の練習の方が好きという、年頃の少年達と比べればその趣味嗜好は少女のそれだった。

 幼い頃から少女のような容姿に声。背も低く、一見すれば美少女と間違えてしまいそうな華奢な体躯。さらに彼女の瞳は赤と青のオッドアイで、神秘的な雰囲気を醸し出していた。アリィはその外見に最も似合う格好を探し、結果として少女が着るような服装に落ち着いたのである。特に気に入ったのがゴスロリ服で、その服でぬいぐるみを持っている姿が良く目撃された。

 幼少期をそのようにして育ってきた彼は、いつの間にか自分が男であることに疑問を持つようになっていた。むしろ女だと言い聞かせた方が不思議と納得してしまう。それを異常だと思う事もなく、彼は美しく成長していった。


 彼が十一歳になった日。その日もアリィは近所の男の子達から心無い言葉を浴びせられていた。男のくせに気持ち悪い。そう言って石を投げる彼らの言動も、既に慣れたものだった。心だけが成熟していき、冷めた目でその行為を見つめる。それが気に食わなかったのか、一人の少年がアリィの持っていたぬいぐるみを引ったくった。

「か、返して……!」

「やーだね! こんな女みたいなもん、こうしてやる!」

 放物線を描く様にして投げ捨てられた猫のぬいぐるみは、背の高い木の枝に引っかかったしまう。いつも子供たちが木登りをして遊ぶ木よりも高いもので、簡単には登れそうにない。少年はしてやったりと笑みを浮かべ、得意気に言った。

「頭下げてお願いしますって言ったら取ってきてやるよ! ほら、さっさとしろよ!」

「うぅ……!」

 嫌だった。自分をバカにするだけならばまだ良い。大切な物を乱暴に扱う奴に頭を下げるのなんて、アリィのプライドが許さなかった。だから、彼は少年からフイと顔を背け、木に跳び付いた。自分で取り戻そうとしたのである。

 後ろで騒ぎ立てる少年達を無視し、涙を引っ込めた瞳で上を睨み、必死にへばり付く。お気に入りの服がささくれに引っかかってビリ、と破け、白い肌が露出する。それでも頑張って手足を動かした。しかし、

「あっ……」

 三メートル程登った所で力尽きた。ぐらりと体が傾き、重力に引かれて頭から落ちていく。ぬいぐるみを投げた男の子の悲鳴が聞こえた。恐怖に目を閉じる。

 瞬間、

風よ(ウィンド)

 ふわりと、心地の良い風が舞った。その風がアリィを一瞬だけ浮かび上がらせ、再度落下する。その時にはもう恐怖の感情は抜け落ちており、次いで来る柔らかな感覚を感じるのに必死だった。

「よっと。ふぅ、危な」

 だれかに抱き止められた感覚。恐々と目蓋を開いて見れば、視界一杯に優しげな微笑みがあった。ブラウンの髪に、魔術学院の制服を着た、魔法使いの少年。年の頃は十代の中頃か。華奢に見えた肉体も、鍛えているのか割と引き締まっていた。

 後ろでなにか喚いている子供達の言葉を無視して、魔法使いの少年はチラリと頭上の木を眺める。それから杖をそちらへと向け、一言。

破砕ブラスト

 空気の衝撃がぬいぐるみの近くで生じ、枝から落ちてくる。危なげなく拾い上げ、アリィへと手渡した。

「はい。これは君のだろ?」

「え、あ……あり、がと……」

 ぬいぐるみを腕に抱え、小さな声で礼を言う。魔法使いの少年はアリィの姿を見て、苦笑しながら上着を脱ぎ、肩にかけた。

「えっ?」

「流石にその格好はダメだろ? ま、子供なら気にはしないかもしれないけどね」

 先ほど引っかけた時に破いてしまったのか、アリィの服は胸元が大きく破けていた。それに気付き、顔を赤くして胸元を閉じる。

 二人のやり取りが気に食わなかったのか、ぬいぐるみを投げた男の子が叫んだ。

「なにやってんだよ! そいつは男なんだぞ!?」

 それは、アリィにとっては言われたくなかった言葉。一瞬にして血が凍るような感覚が襲い、ビクリと肩を震わせて少年を見上げる。彼はまじまじとアリィを見詰めた後、感心したように言った。

「へぇー。そうなんだ、良く似合ってるじゃん」

 屈託なく笑う少年の笑顔に、アリィは顔が真っ赤になるのが分かった。今までバカにされこそすれ、褒められた事など皆無に等しい。昔、母親には可愛いと言われた事はあったかもしれないが、同じ男にこう言われたためしがなかった。絶句している子供達をよそに、少年はポンと頭に手を乗せた。

「でも、女の子目指すんならもうちょっとお淑やかにならないとな?」

 俺の周りの奴はお転婆が過ぎるから、とげんなりした一言が付け加えられるが、その時にはもうあまり聞こえていなかった。

 その後、慌ててどこかへ走って行った少年を見送りながら、アリィは熱くなった頬に触れていた。

 この日、この時。アリィは恋をしたのだった。



「で、あれがその時の制服です」

 洋服屋に置いてあるような木で出来たマネキンを指差し、見覚えのある制服を眺める。セイレーシアンはなにかを思い出す様に視線をくうに向けた。

「……ああ、確かに有ったわね。制服なくしたー、って言ってた時が。そっか、あの時に出会ってたのね。……と言うか、お転婆って一体だれのことかしらねぇ?」

 若干負の面が滲み出るセイレーシアンだが、アリィには見えていないのか熱い吐息で過去に思いを馳せる。

「今思えば、あの時から本格的に女の子を本当に目指し始めたのよね。男連中から完全に離れて、女の子達とぬいぐるみや服の話で盛り上がったり。そっちの方が楽だったわ」

 それを一番残念がったのが、ぬいぐるみを投げた男の子だったという。どうやら、子供の頃には良くある、気になる子には意地悪しちゃう子だったようだ。それから何度もアプローチするのだが、その件もあってか完全に嫌われてしまった。ざまぁ見ろと内心思うセイレーシアン。理由はどうあれ、一人を虐める性根は彼女的には完全にアウトらしい。根がその辺の男よりも男らしいからなのかもしれないが。

「まあでも、ユクレはあんまりそう言う事気にしないかもしれないわね。劇とかでそういう内容の話を良く見てたし。……主に、アランの奴が引っ張って」

 それでなにを刷り込もうとしたのかは知らないが。

「ふふ……。なら、まだ私にもチャンスはあるのね? クスクスクス……あぁ、早く私の体にあの人の証を刻まれたい……」

 ウフフフフ、と暗い笑みを浮かべるアリィを見つめ、一足先にユクレステに気持ちを伝えた少女は苦笑する。この恋は成就するのだろうかと考えながら、嫌な予感に一筋の汗が流れた。

 なにせ、ユクレステ・フォム・ダーゲシュテンは――――まごうことなく、変態なのだから。

番外編です。四月中にもう一本上げたかったので急ぎ執筆しました。番外編は基本的に、サブキャラやモブキャラにスポットを当てていきます。

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