氷の芸術家
疲労困憊になりながらもなんとか宿に辿り着き、一息入れるために一階の食堂に集まったユクレステ一行。チラチラと揺れる暖炉の火によって部屋の中は温かく、上着を脱ぎ捨ててもいいくらいだ。
大きな丸テーブルに腰掛け、目の前に運ばれてきたものを見る。
「んー、冷たくておいしー!」
それは先ほど外で男性が言っていたように、かき氷だった。
宝石から出て来たマリンが美味しそうに頬張っている。いくらオススメ品とはいえ、この寒空でかき氷とはどうなのだろうか。いや、暖かい部屋の中で食べるからこその美味なのかもしれないが。
都合七つのかき氷を視界に収めながら、ユクレステがため息を吐いた。
「はぁ……。取りあえず、目的地までは来れた感じだけど……これからどうしよっか?」
メロンシロップの掛かったかき氷を突きながら窓の外を眺め見る。まるで除きこむようにして例の氷像がならんでおり、背筋がゾッとしてしまう。無言で視線を逸らし、カーテンを閉めた。
ユクレステに倣うようにしてスプーンで氷を崩しながらミュウが言う。
「氷の主精霊さまがいらっしゃる場所を目指すのですよね? 確か……アリティア、ですか?」
「おっ、ミュウちゃん良く覚えてたねー」
ザクザクと氷を口に入れながらユリトエスが感心したように声をあげた。そんな彼の皿には、赤と緑と黄色の形状し難い色となったシロップが乗っている。どうやら、三種のシロップを全部かけたのだろう。
「アリスティアが住んでいるのはそのアリティアって洞窟なんだけど、それがどの辺にあるのか詳しく知らないんだ。だからまずやるべき事は、それがどこにあるのかを調べることなんだけど……あ、おばちゃーん! かき氷もう一個! 今度はブルーハワイも一緒に四種がけで! ついでにアイスクリームも乗っけてー!」
「あんた良い食べっぷりだねぇ……じゃあちょっとサービスしちゃおうかしらね?」
「むっ、ならば私もお替りだ! ユリトと同じで頼む」
「おまえらな……大食い対決してる訳じゃないんだぞ?」
ユクレステの言葉など何処吹く風とばかりに、ユリトエスとユゥミィはスプーンに手をかける。ため息を吐きながらも運んで来てくれたおばさんに尋ねた。
「おばさん、アリティア洞窟ってどこにあるんですか?」
「アリティア? ああ、それなら割と近くにあるわよ。まあ、今行っても洞窟には入れないけどねぇ」
「そうなんですか?」
皿をテーブルに置いて手を頬に当てながら外を見る。その際、閉めたカーテンが開かれ、またも氷像と目が合ってしまう。一瞬、血の気が引いた。
そんなことを知るよしもないおばさんは、山の真ん中辺りを指差した。
「あそこに大きな滝があるんだけどね、アリティアはその滝の裏側にあるのよ。普段は流れが激しくて入れないんだけど、寒くなって滝が凍ると洞窟にも入れるようになるの。今はまだ川も凍っていないし、入るのは無理じゃないかしら?」
「なるほど……」
「じゃあ、いつくらいなら入れるの?」
ユクレステと入れ替わるようにしてディーラの声が飛んだ。
「そうねぇ……。毎年お祭りの日には洞窟に入っているから……一週間後くらいかしら。まあ、そんなに焦ることはないわよ。せっかく来たんだし、お祭りもゆっくり見て行きなさいな」
「そうですね、時間もあるようですし……すみません、お時間取らせちゃって」
「いいのよぅ、最近お客さんが来なくて暇してたし、たまにはおばさんも若い子と話がしたいもの」
カラカラと気持ちの良い笑い声をあげるおばさん。彼女の言葉に首を傾げながら、シャシャが口を開いた。
「お祭りも近いのに人が来ないんスか?」
「それがねぇ……なんでか知らないけど来てもすぐに帰っちゃうのよ。なんでかしらねぇ?」
「そりゃー、あんな氷像があればねぇ」
ピッとスプーンを外に向けるマリン。幸いおばさんには聞こえていなかったのか、なにも言わず厨房へと戻って行く。
半ば溶けてしまったかき氷を飲むようにして胃に収め、げんなりとした顔で皆を見渡した。
「そんな訳で、時間が余ってしまいました、と。これからどうする?」
「外に出ず暖かい部屋で冬眠する」
「却下で」
まず初めにダメ出しを食らったのは寒さが苦手なディーラ。彼女は砂糖水をかけたかき氷を早々に食べ終え、眠たげに机に突っ伏している。
「えー……寒いの嫌いなんだけど……」
「そう言わない。せっかく旅してるんだからそんなひきこもり生活、お兄さん許しませんよ」
口元を緩めて言うユクレステに続くように、マリンも笑う。
「そーそー、ディーラちゃんもまだ若いんだからお外で元気に遊ばなきゃ。良く言うでしょ? 子供は風の子ってさ」
「いつも引きこもってるマリンにだけは言われたくない。と言うか、僕もう五十三なんだけど? 少なくとも子供じゃないよね?」
「百歳超えてない悪魔ちゃんなんてまだ子供子供、せめてその十倍は年取ってから言いなさい」
「むっ……」
クスクスと子供をからかうような笑いに若干不機嫌そうにするディーラ。と、そこでおずおずとシャシャが手を挙げた。
「あ、あのー、今なんかスゴイ聞き捨てならないこと口にしてなかったッスか?」
「……? なにが?」
「なんのこと?」
ほぼ同時に首を傾げたディーラとマリン。えぇ、と呻いてユクレステを見る。
「あー、そうか。シャシャは知らないんだ。悪魔族や人魚族、それにミーナ族やダークエルフなんかは人間よりも長命なんだよ」
「そ、そうなんスか?」
それも種族によっては様々ではあるのだが。
例えば、この中でも特に長命なのがエルフ種と呼ばれる、エルフ族、ダークエルフ族だ。上位級の竜種と同様に五千年以上を生きるとさえ言われている。悪魔族や人魚族、ミーナ族も、人間と比べれば長命だ。それに伴い、外見と年齢が人間とは少し違っている。
「ちなみに私はまだピチピチの百五十一歳だよ」
「そうだね。マリンは魚だからね。新鮮そうだね」
「あはは、食べ頃ってことだよマスター? ご賞味あれ」
キャッキャッ、とはしゃぐマリンを軽くいなすユクレステ。
「えっ? ってことは、ミュウちゃんやユゥミィも……?」
ハッ、とシャシャは同年代っぽかった二人に視線を送る。傍目から見て、ミュウは十かそこら、ユゥミィでも十五、六にしか見えない。ジロー、と若干無遠慮な視線が二人を襲うが、気にすることなく苦笑した。
「そんな目で見なくても私はそう年老いてないぞ? 生まれてまだ二十年しか経ってないしな」
「あ、以外に近かったッス。って言うか、それでもだいぶ幼く見えるんスけど」
外見と言うよりも、むしろ内面のせいで幼く見えるのでは、とは流石のユリトエスでも言わなかった。
「へぇ、だいぶ若いんだね。ダークエルフ族でそれだけ若い子ってのも珍しいんじゃない?」
「そうかもしれないな。里では私より小さい者はいなかった。まあ、それでも良く一緒に遊びはしたがな」
それはダークエルフ全体がユゥミィのような思考なのでは、と一瞬考えるが、すぐに捨て去る。勝手に考えて置いてなんだが、もしそうだったとしたらとても残念な種族だなぁ、なんて思ってしまった。
葛藤するユリトエスをよそに、今度はミュウが控えめに手を上げる。
「えと……十二歳です」
「おぉ! こっちはそれっぽいッス!」
ようやく自分の答えが当たり、ちょっと嬉しいシャシャ。
「ちなみにシャシャは十四ッス!」
うん知ってる、とユクレステ。出会い頭にそんなことを言っていたのを覚えているのだろう。
「なので、ミュウちゃん。シャシャのことはさん付けしなくてもいいッス。年も近いし、呼び捨ててくれると嬉しいッスね。っていうか呼び捨てで読んで欲しいッスよ。シャシャ、同年代の友達って中々いなかったッスから」
ミュウとシャシャ、加えてマリンが楽しそうに話しているのをよそに、ユゥミィが外を指差して言った。
「私はお祭りとやらのことが知りたいな。外にあるようなものを作るのだろう?」
「もう少しまともなのがあって欲しいけど……でも情報収集ってのはありかな? 精霊のことも気になるし」
「そうだな。氷精霊が暴れていることについても、なにか知ってるかもしれないしな」
「だったら、分担しよう。僕はこの宿で情報収集してるから、ご主人達は外に行って来て」
「ディーラ、それただサボりたいってだけだろ?」
目を背けるディーラを睨みながら、はぁ、とため息をこぼす。
「仕方ない……じゃあ、ユリトとユゥミィ、一緒に来てくれ。ディーラ達はまあ、のんびりしててくれ。今日のところはな……」
最後の一言は聞こえていなかったのか、ディーラは嬉しそうに片手を上げる。それに気付いていたユリトエスは苦笑しているが、気にせず立ち上がる。
「僕もこの辺りは気になってるし、ちょうど良いかな」
「あ、ご主人さま。わたしも……」
「いや、ミュウも今日は疲れてるだろ? 今日の所はシャシャ達と休んでてくれ。また明日から無茶させちゃうかもしれないからさ」
「……わ、分かりました」
なにせ外にはあの悪魔像が多数配置されているのだ。これ以上体力と、下げてはならないものを消費させる訳にはいかない。
結局、多少耐性が出来てきたユクレステとユリトエス、そして初めから好意的なユゥミィで街を巡ることになった。
とは言ったところで、キツイものはキツイ。もし目の前で悲痛な表情を浮かべている氷像のタイトルを決めろと言われたならば、地獄からの呼び声とでも命名しただろうか。
「ほほう、これは喜びの表情で出来ているな。うん、良い出来だ」
……笑っているのだそうだ。
宿を出て十数分程で見つけた氷像の数は大よそ五十八。その内、例の悪魔のような氷像は二十二もあった。その他には人魚のようなものだったり、なにかのキャラクターのような像もあったりと、こちらは至って普通の出来である。
子供たちが雪だるまを作って遊んでいるのを尻目に、氷を削っていた男性と話を終えたユリトエスが帰って来た。
「お帰りー。なんか良い話聞けた?」
ユクレステの問いに首を振る。
「んーん。大体今までの話と同じかな。進展はなーし」
話の内容は宿のおばさんと同じようなものばかりだった。洞窟の場所も、そこに入れる時期のことも。そして肝心の主精霊の話だが、これがまた良く分からないものばかりだ。
曰く、絶世の美女であると同時に目も当てられない程の醜女である。
曰く、竜のような下半身でありながら、踏まれたいくらいの美脚である。
曰く、食事は三食アイスクリームであり、温かいものを供えると奇声を上げて街を氷漬けにしてしまう。
こいつら精霊をなんだと思っているのかと。
取りあえず彼らの言う精霊像は放置することにしたユクレステ。陽も傾いて来たため、宿に戻ろうと考え始めた時である。
「うん? あれは……」
視界の隅でなにかが蠢いた。その瞬間、地面から生えるかのように巨大な氷の塊が発生したのだ。
「なっ、なんだ!?」
「うおぅ、なんかたけのこみたいに生えて来たきたけど……これが街の人たちが言ってた現象?」
氷は家ほどの大きさに成長し、動きを止めた。クリスタルのような透明な輝きを放つ氷塊からは僅かに魔力が漏れており、自然に発生したものではなさそうである。
「ユゥミィ、これ……」
「うむ、間違いなく精霊の仕業だな。なんとなく、以前出会ったのと似た感じがする」
あの時も急に降って来たように見えたが、今のようなことが起こったのだろうか。今回は氷それ自体が動くようなことはないようだが。
もっと確認しようと手を伸ばし、氷に触れる――
「待てぇええい!!」
――寸前に怒声がユクレステの動きを止めた。
「こ、今度はなんだよ」
「ユッキー、あっちあっち」
振り向けばそこにはちょび髭の男性が走って来ているのが見えた。ベレー帽のような帽子を被り、ポンチョを着た怪しい風体の男性だ。
「うおぉおおお!」
トップスピードでやってきた男性はそのスピードのまま跳躍し、氷にしがみ付く。それを呆気に取られたような表情で眺めるユクレステ達。
やがて男性はと息を整え、キッと振り返る。
「これは私のもんだー!」
そして言い放ったそんな言葉。訳が分からない。落ち着かせようとユリトエスが宥めようとした。
「えっと、おじさん。別にそんなもの取るつもりなんてないんで……」
「ぬふぅううう!!」
「うひゃい!?」
男性の鬼のような形相にビビって咄嗟にユクレステの後ろに隠れる。
「ふんっ! どうせ貴様らもこの精霊様より与えられた聖なる氷をかき氷にして食べる気だろう!? そうはさせん! そうはさせんぞぉおお! この氷は素晴らしい氷像にして精霊様に捧げるのじゃからなぁああ!」
「あの、あんまり大きな声を出すと……」
「むぎゃっ!」
言い掛け、その途中で屋根から落ちて来た雪が男性を押し潰してしまった。だから言ったのに、と微妙な表情を向けながら掘り返す。
ゼーハーと肩で息をしている男性だが、それでも彼の手は氷の塊に触れていた。
「こ、このマイア・トーキー……芸術に、身を捧げた男の、意地を思い知れ……」
「氷像に芸術……まさか、あの氷の像はあなたが?」
「むぅ? なんだね、君……は……」
ユゥミィに視線を向けた男性の動きが止まる。同時にユゥミィ自身も動きを止め、なにやら真剣な眼差しをしていた。
「え、なにこの空気?」
「さ、さあ? 分かんない。ってか、え? あの悪魔像の作者がこのおじさんってこと?」
ユゥミィと男性の見つめ合いはその後数秒続き、どちらともなく微笑みあって終わりを告げた。そしてなにを思ったのか、お互いにガッシリと握手を交わす。
「分かるのか、私の思いが」
「無論。あなたのこの熱い思い、分からないはずがないでしょう」
「ふっ……。私はマイア・トーキー。この街一番のアーティストだ」
「マイア殿か。私はユゥミィ・マクワイア。ダークエルフの騎士……いや、芸術を愛するものに称号はいらないか」
どうやら通じるものがあるのだろう。それを眺めているユクレステ達にとっては、なんのこっちゃであるが。
氷塊に名前を彫り、一行はマイアを先頭に彼のアトリエへと移動していた。自宅の隣に作られた木造の簡素な建物で、その中には十以上の氷の彫像が置かれている。入っただけで異様な雰囲気が感じられる程だ。
「うぁ……これキツイ……」
「ミュウちゃん達を連れて来なかったのは正解だったかもね。こんなの見たら絶対気絶しちゃうよ……かくいう僕もちょっと意識が遠退き始めてるし……」
生気を抜かれたような顔になっている二人。そんな彼らのことを気にせず、ユゥミィとマイアはアトリエの真ん中にそびえる氷像の下で言葉を交わしている。
「これは今私が作っているものでな、タイトルは《夏の日差し》と言うのだ」
「なるほど、この眩しさに手を掲げている動作が確かに夏を思わせる」
「ふふふ、流石は同士ユゥミィ。私の作品をこれほどまでに理解出来るものはそうはいないだろう」
出来栄えを誇る二人とは反対に、ユクレステとユリトエスには冷や汗しか浮かばない。
「って訳みたいだけど……どう思う? ユッキーは」
「……無抵抗な人間に止めを喰らわせようとしてるようにしか見えない」
「うん、僕も似た感じ」
そもそも表情と言われてもブタがひん曲がったようにしか見えない顔に表情もなにもないのではないか、と言うのがユクレステ達の意見だ。どうにもそうではないのか、ユゥミィとマイアは細かな部分を指差して意見を交換している。
……もう少し微笑むと良いのだそうだ。
「笑ってるのかも分からねぇってば……」
「とりあえずユッキー、僕ちょっと外に行ってる。なんかここにいると呪われそうで怖い」
ユゥミィを一人残して俺も外に、とは流石に言えなかった。大きく吐息し、ユリトエスに手を振ってから彼女達に近づいた。
「ほう、つまりこの氷を使っての彫像が毎年の祭りの審査対象となっているのだな?」
「そうとも。前回はこの私の作った氷精霊の像が見事に優勝に輝いてな。優勝すればアリティアの洞窟に納められるのだ。氷の主精霊、アリスティア様は美を愛するお方だからな」
「なるほど、それは確かに芸術家にとっては名誉なことだ。それで、今回はこの氷像で優勝を狙うのか?」
「いや、確かにこれも素晴らしい出来ではあるが、これとはまた別のものを作成中だ。街の入り口にあったものよりも巨大なものを作っているところだ」
彼らの目の前にあるのは一メートルくらいなものだ。対して、街の入り口に鎮座していた二つの氷像は二メートルを超えていた。それより大きな氷像を作っていると言う。多分、あの精霊像だと思われるが……。
……完成しなければ良いのにと思う。
「あの、マイアさん?」
「なんだ凡人」
「ぼん……え、えぇとですね、この氷像って精霊様をモデルに作っているんですよね? もしかしてマイアさんって氷の主精霊を見た事があるんですか?」
若干傷つく一言だったが、非凡であるためにはあの像の良さを分からなければならないみたいなので、凡人でも良いかなと思い直す。
バカにしたような視線が一瞬こちらを向き、フイと逸らされた。
「知らん!」
「あ、そうですか」
取りあえず良かった。もしかしたらあんな化け物と戦わなければならないのかと、今まで内心怯えていたのだ。
「だが、ふふん。精霊様が私の作品を愛してくれているのは確かだろうな」
「それは、なぜ?」
「まったく、凡人にはそれすらも分からぬか……良いか? 精霊様は美しいものをこよなく愛する。ならば、これほどの美の集大成である私の作品を愛さないはずがないだろう?」
あまりに自身満々の答えに絶句する。ここまで自身があるのは芸術家として大物だとは思うが。
「そ、そうですね……」
苦笑よりもぎこちない笑みが張り付き、一歩下がって後をユゥミィに任せた。
ちょっと外の風に当たりたい。
「しかし、ふむ……こういう素晴らしいものを見ていると私も参加してみたかったな」
ため息混じりの言葉はユゥミィの言葉だった。
「それならば同士ユゥミィ、君も参加してみるか?」
「えっ? 出来るのか?」
「まあ、それも君次第だがね。基本的にこの祭りはだれでも参加できるのだ。まあ、私のような才能溢れる作品を見てやる気を失う凡人もいるが、同士ユゥミィのような才能ある若者ならば私に匹敵する作品を作れるかもしれないぞ?」
多分、やる気と言うよりもそれは……みなまで言うまい。
「君にならば先ほどの氷をあげても良い。あれならば良い作品が出来るだろう」
「ほ、本当か? ありがとう、同士マイア!」
そう言って、またもガッシリと両手を繋ぐ二人の芸術家。どうせ一週間はフリーになるのだし、それも良いかとユクレステ。
とにかく今は、この四方から感じる狂気の宿った目から逃れるのが先決だ。
質問――みんなの好きなかき氷のシロップはなんですか?
ユクレステ――メロン
ミュウ――イチゴ
マリン――メロン+練乳
ディーラ――すい(砂糖水)
ユゥミィ――基本なんでも
ユリトエス――甘ければなんでも
シャシャ――レモン
ちなみに私は練乳があれば大抵いけます! 子供の時は全部混ぜて変な色にしてましたねー。