第三話 向こう先は
バスラから情報を集めた後、アリアとアルタインはアサシンギルドを後にする。
その際、アルタインはバスラからいくつか装備をもらい、新調したのであった。
「これから一体どこに行くんだ?」
「友達からメールが届いているので、そこに行くつもりです」
あの出来事から数時間が経過。
通りに他の冒険者の姿は見えない。フレンド機能は有効なので、遠くの友達にメールが送ることができるこの状況。なので、互いに連絡を取り合い、情報収集を行っているのだろう。
「踊りの都 ブロードに行ったことはありますか?」
「たしか……アリアのギルドがあるところか?」
踊りの都 ブロード。いたるところに劇場が存在する鮮やかな都市。。
吟遊詩人ギルド本部が存在し、歌手や踊り子の副業を得ることができる都市である。
「そうですね。日本の吟遊詩人のギルドはそこにあります。行ったことがあるなら、ゲートを使用しますが?」
都市と都市つなぐ、ワープゲートというのが存在する。
しかし、行った事のない都市にはいけず、微妙に不便だったりする。
また、使用する際は自身の魔力を使用するので、低レベルな冒険者だと遠い都市にワープすることは不可能となっている。
「わ、悪い……行ったことはねえや」
「仕方ありません。ラスランはたくさん都市がありますから、関係のない都市には近寄らないですよ。では、切符を使いましょう」
無数に存在する都市。数が多すぎるため、自分と関係のない都市には普通行くことはない。
プレイするうちに行きつけの都市は決まっていき、最終的に片手で収まる程度の都市しか行き来しなくなるのだ。その分、その都市において、冒険者の縄張り意識は高くなったりするが。
「切符か……俺お金ないや」
「二人程度なら出せますから、問題ありません」
切符。都市間をつなぐ馬車や飛行艇に乗るために必要なもの。
ワープ以外だと、徒歩や切符を買い移動するのが基本。しかし、切符の値段は高すぎるので、一般の冒険者は徒歩で移動することになっている。
馬車と飛行艇だと、後者のほうが早く着くが、値段は数倍以上も高くなる。徒歩以外にも馬やドラゴンいった騎獣を得れば、それを使って移動することもできる。
「それに、飛行艇の切符ならフリーで持っているので大丈夫です」
「ふ、フリー?」
「十回分使用可能です。イベントの景品ですね」
「ご、豪華だな……」
十回分の飛行艇切符で、中級者の装備一式が揃うほどの値段。
この景品を貰えるイベントとなると、やはり上級者向けとなっているはず。
「飛行艇か……初めてだな……ん? アリアはワープして、俺だけ飛行艇乗ればいいんじゃないのか?」
「貴方は私の護衛です。分かっていますか?」
「あっ! そうだな。そうだった。そんなクエスト受けてたな」
早速アリアの護衛を忘れるアルタイン。アリアはそんなアルタインは見て、ため息をついた。
「何だよ、悪いか?」
「特にはありません。護衛といっても今現在の私は偽装によって、私の友人でも私を見分けることは不可能です。ですから、護衛といってもあまり気にせずに……危なくなったら期待しています」
「偽装ってマスターのか?」
「そうです。暗殺者の上級スキルで偽装されてます。バスラは高レベルなので、その偽装を一目で見破るのはほぼ不可能」
「その……アリアって、そんなに有名人なのか?」
アルタインはふと、気になっていたことを口にした。
アリアほどの高レベル者なら、有名になっていてもおかしくはない。職業自体もある意味ラスラン一有名な吟遊詩人。
アルタインはそこらへんの情報は詳しくはなかったので、アリアという名に聞き覚えはなかった。
「……気にしなくて、結構です。それに、実際に飛行艇に乗るとブロードまではかなり時間が掛かるはずです。貴方を待っている間、暇になるので一緒に行動した方が良いはずです」
アリアはアルタインの問いかけに答えなかった。
そして、二人は都市の外側にある飛行場へと向かうのだった。




