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プロローグ

 『ラスト・ランド』


 略してラスランと呼ばれている。

 VRシステム……五感に作用するヘッドギアを着けることで、実際にゲームの世界に入り、まるで自分の体を動かすように遊ぶことができる機能。その機能を前面に使った初のオンラインゲーム。

 オーソドックスなファンタジーゲームだが、上記の通りの画期的なシステムのため、情報が出た途端一気に注目を受けた。


 発売から三ヶ月が経過。全世界合計百数十万人が遊んでいる。

 職業システムを採用し、全部を合わせると三十種類以上もある職業を選ぶことができる。戦闘職以外に副業で商人になったり、鍛冶師になったりすることも可能。

 遊び方は人それぞれ、 幅広く遊べるようになっている。



《クエストをクリアしました》


 世界に響く無機質な声。そして、視界に映るテロップ。


 砂漠に存在する迷宮都市ラビンス。

 土造りの家々が並び、人やヤギなどの動物達が忙しく通っていく。

 ラストランドの各都市は実際にある世界各地の街並みを再現している。このラビンスでは、中世のエルサレムをモチーフにしているのだ。


「よっしゃーっ! これで、転職クエスト完了っ!」


 黒髪に平凡な容姿の青年は、嬉しそうにガッツポーズをする。


「これで、貴方も暗殺者の一員です。そして、これからが貴方の冒険の第一歩。アルタイン、前へ進むのです」


 暗色のローブを着た老人はアルタインに転職の証を授けた。

 老人は転職クエスト専用のNPC。転職クエストを受けるためには職業ごとに色々と存在するが、暗殺者の場合老人を探すことが受ける資格を得る条件になっている。


《暗殺者に転職しました》


 ファンファーレ音と流れるテロップ。無事にアルタインは暗殺者に転職することができた。

 それとは、別にパチパチと拍手が聞こえることにアルタインは気付いたのだ。振り向くとそこに、灰色のローブを着ている人物が経っていた。

 拍手の主はその人らしく、頭までフードを被っているので顔までは見えない。


「アンタは一体? もしかして、転職を受けに?」


「いえ違います。貴方がここに入ってくるのが見えたので……まさか、地雷職の暗殺者になろうとする人が今でもいるとは思わなかったので見学を」


 透き通った綺麗な声。小柄な体格なので、女性だとアルタインは決め付ける。


「こっちの勝手だ」


 女性の話を聞いてムッとするアルタイン。

 戦士に属する転職職業の暗殺者。三十種類以上も存在する職業の中で地雷とされる……要するに使いにくい職業。類似職業で忍者というものが存在し、そちらの方が使い勝手が良く、強力である。なので、大部分はそちらに流れてしまっている。暗殺者自体劣化忍者といわれる始末。

 そのため、暗殺者の数はグッと少ない。正式オープンから早三ヶ月。情報が多く流れてる中、暗殺者を選ぶ人は皆無といってもいい。

 女性はアルタインが暗殺者の転職クエストを受けた事に気がついて、興味本位で後ろからついてきたのだろう。

 

《ただいま百万人目の転職者が誕生しました。転職百万人目を記念に、クエストが発生します》


《クエスト内容は世界を救え》


 レベルアップ等を知らせる無機質な声ではなく、人の声。

 今の声はプレイヤー全員に知らせる公式なアナウンス。

 こういうアナウンスはかなり珍しい。普段なら都市の告知掲示板等で知らせているからだ。


 そういえば、つい二週間前にあった三ヶ月目節目の特別イベント、都市防衛戦の告知もこれと同じように知らせたことをアルタインは思い出した。

 今回もそれと同じだろうとアルタインは考えるのだが。


「世界を救え? なんつーアバウトな言い方」


《カウントを始めます。5……4……3……2……1》


《クエスト開始》


 ぐにゃりと一瞬画面が揺らぐ。

 そして、何もなかったように画面が……視界が戻った。


「へっ? 何だこれ……ログアウトできない。ヘッドギアが取れない。何だ……」


 VRシステムは五感に作用する。

 しかし、それは寒いところにいると少しだけ冷たく感じる程度。

 ラビンスは砂漠のど真ん中に存在するため、少しだけ暖かく感じる。

 なのに、今は砂漠特有のカラッとした暑さをアルタインは感じている。推定気温は三十半ば程度。

 そもそも、ログイン画面を開くことができない。いや、手の感覚は半分程度現実にあるのだが……コントローラーを握っている感触がないのだ。


 ここが、リアルに感じられる。

 現実からゲームの世界に行ってしまう。そんな、どこにでもありそうな設定がアルタインの頭の中を過ぎったのだった。

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