第2話
出来ました(≧∇≦)
「…………よいしょ!ふぅ……やっぱりスカートって動きにくいなぁ………」
そんな事を呟きながら僕は今、村唯一の路地裏にある井戸から水を汲み上げている。
なぜこんな事をしているのかというと今日の朝気が付いた事なのだが、貯めて置いた飲み水が底を尽いている事に先程気が付いたからだ。
ちなみに今日の着ている服は前の誕生日に父さんに貰った白いワンピースに同じく白いカーディガンの組み合わせで自分でもなかなかいい組み合わせなんじゃないかな?と思っている。
「はぁ………なんでもっと早くに気が付かなかったんだろう………」
井戸から紐を括り付けた桶で汲み上げる水は重く、先程からペースも落ち気味だ。
しかしこの水がなければ仕事から帰ってきた父さんの喉を潤すものが無くなってしまう。
それは汗をいっぱいかいて頑張る父さんにはあまりにも酷い仕打ちである事である。
だから僕も父さんの為に農作業を手伝いたいのだけど畑のある場所がね……………
断崖絶壁の山の中腹にある平地を利用しているのはどうかと思うよ父さん…………
確かに畑泥棒なんかは来ないだろうけど登るたびに指一本分くらいしかない隙間に指を入れて腕の筋力だけで登っていくのはちょっと……………
たまに父さんが本当に人間なのか疑わしい事が結構あるしね。
「よいしょ…………これで終わりだね」
そんな事を考えている間に井戸から水を汲んだ桶が上がってきた。
僕は汲んだ水を用意していた手押し車に載せた瓶に入れていく。
あとはこれを家に運ぶだけ。
「……よ~し………てりゃ!よいしょ……よいしょ……」
僕は自分で掛け声をかけて手押し車を押していく。
瓶は結構大きいので中に入っている水をこぼさないように気をつけなければならない。
「おととと………危ない危ない……」
少しでも勢いが尽き過ぎれば中の水はおじゃんだ。
焦らずゆっくりと…………
そんな感じで手押し車を押し続けて路地裏から大きな通りに出る。
このまま反対側にある我が家の場所まで安全に運べばOK。
「よいしょ………よいしょ………」
ゆっくりとだが着実に通りの真ん中まで来る事ができた。
この時僕は水をこぼさないように集中していたのだけど、今回はそれがいけなかった……………
「…………………そこの者止まれぇぇぇぇぇい!!」
「ひゃう!?」
突然響き渡るそんな怒声
驚いた僕は声のした方向を見るとそこには…………
豪華な真紅の馬車に周りを囲む数多くの護衛。
そして上空にはアストレイスフィアの姿を確認できる。
何よりもっとも注目しなければならないのは、その真紅の馬車の屋根にはためく真紅の旗の存在だ。二本の剣が重なり合い、それを囲むように金色のラインが描かれている。
………………間違いない。
この旗の示す国は……………
「…………貴様ぁぁぁぁぁぁぁ!!我らがバイアス帝国 皇帝 ジャンハイド・ルミナ・バイアス様と知っての狼藉かぁぁぁぁぁぁぁ!!」
先程怒鳴った人と同じなんだろう。
紫色の甲冑を身に纏った凛々しい感じのする黒髪の女性にまた怒声を浴びせ掛けられる。
「い、いえ………そのようなつもりは………」
僕は急いで手押し車から離れてその場で膝をついて頭を下げた。
こうしなければ恐らく僕は首を撥ねられるだろう…………
ひとまず向こうの許しがあるまで頭を下げよう。
そう思ってそのままの姿勢を保っていると
「そのくらいにしなさいアンドラ」
「閣下!?すぐに馬車にお戻りください!御身に何かあったらいかがなさるのですか!?」
突然馬車の方から扉の開く音が聞こえてそんな話声が聞こえてくる。
閣下と呼ばれた方……………つまりバイアス帝国 皇帝 ジャンハイド・ルミナ・バイアスが馬車を降りてあの甲冑を着た女性………アンドラと話をしているようなのだけど…………
妙に皇帝の声が高く聞こえるのだ。
「…………そこの者、顔を上げなさい」
「ッ!?は、はい!!」
そんな事を考えていたら声をかけられて顔をあげるように言われた。
突然の事に戸惑いながらも顔をあげた僕は……………その場で固まってしまった。
何故ならそこには……………
自信に満ち溢れた笑顔を浮かべた長い赤髪の美少女がこれまた髪と同じような真紅のドレスを着て立っていたからだ。
身長は恐らく僕と同じくらいでスタイルは…………見事なまでのモデル体型だね。
多分スタイルの事を言ったら本当の意味で首が無くなりそうな気がする…………
とにかく、今まで見たこともないような美少女が僕の目の前にいたのだ。
そして……………
「……ふ~ん……なかなかいいわね………あなた…………
私の妾になりなさい」
「「え?」」
皇帝閣下からの突然の妾宣言に僕とアンドラさんは固まりました。
なんで?
ご意見ご感想待ってます。