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プロローグ
グラウンドから漏れる大声、体育館で響くボールのバウンド音、すれ違う同級生のジャージ姿にユニフォーム姿。
それらすべてを見ないように、ヘッドホンをして俯きながら歩く。
オレはスポーツが大嫌いだ。
ボールを追いかける張り叫んだ声が、かつて自分を追い込んだ罵倒に聞こえる。
ボールとシューズの軋む音が、人為的につけられた傷を疼かせる。
同じ服装で同じことを行い、同じ目線で同じ歩幅で同じ方向に進む。
最初の頃はうまくできていたが、徐々に隊列が乱れ、遅れをとり、いつの間にか後ろが分からなくなるほどに突き放された。
オレはスポーツを一生好きになれない。それでも良かった。そんなものが好きであろうと嫌いであろうと、人生にはなにも影響しない。
だから、教えてほしかった。
麻雀は、スポーツの部類に入るのかと。
「ねぇ、キミ暇? よかったら麻雀部来ない?」
学校一の問題児、江川ななみが手渡した一枚のチラシから、オレの人生が狂いだした。




