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人類アンチ種族神  作者: 緑茶
人類アンチ種族神
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人類アンチ種族神Ⅴ《混乱と天才⑥_神の兵_前編》

この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。


【ここまでのあらすじ】

ある私有シェルターの代表、日本有数の実力者・大荻山おおぎやま剛三郎ごうざぶろうは、私兵と要人・愛人のみを連れてシェルターを出て東京脱出を試みていた。

神が作り出した怪物ガーゴイル(通称 UFB)の中でも特別にチューニングされた個体、武闘派ベルガンと支援型サーチは、神の気まぐれな命令で兵も連れずに、大荻山の率いるタラメア製の最新兵器と戦うことになった。

ベルガンはタラメアの戦車 YA-24 と装甲車 DD-24 に搭載された SUB11F(全方位対ドローン迎撃機構) に苦戦。ベルガンをかばい、サーチは負傷してしまった。


傷ついたサーチを眼下に置いたベルガンの表情は、かろうじて知性を保っていたが、怒号に満ちた猛獣のようでもあった。

残された理性は多くない。だがベルガンは、自分が冷静さと判断力を欠いていることだけはギリギリで理解していた。


ベルガンは即座にヴァロンへ呼びかける。


「ヴァロン。すまない、サーチが負傷した。——また俺だ。俺に策がないばかりに。策をくれ、ヴァロン!頼む」


神の居城「デスランド」の王座。ヴァロンは神と二人、サーチの〈視覚共有〉で現場を眺めていた。


「創造主様。たしか、ベルガンやサーチが求めれば私の参戦は許可されていましたが……」


ヴァロンは、迂闊に口を挟むと不機嫌になる神を横目でうかがう。


「ああ、もちろんだとも! あのプライドの高いベルガンが、自分の欠点を分析してヴァロンに助言を求めるなんて面白い。ヴァロン、好きに手助けしてやれ!」


「私が策を与えれば、必勝となりますが——本当によろしいのですね?」


「くどい! “必勝”とやらにも興味がある。ヴァロン、お前の知性を見せてみろ!」


「では」


ヴァロンの口元が、不敵に緩む。本来は軍師——参謀型の特殊個体。これまで神の気まぐれとベルガンの暴走に振り回されてきた衝動が、解放宣言で一気に爆ぜる。


「ベルガン。視覚共有のマップを見ろ。黄色が敵の位置。小円がドローン、大円が戦車と装甲車、点滅は雑魚車両だ。赤い円が見えるな? そこがドローン陣形の“穴”だ。やつらは 8 機の“目”を立体的に使ってこちらの座標を正確に割り出している。まずは陣形を崩す。——サーチ、損傷は見えている。シールドと飛行は問題ないな?」


傷ついたサーチが応える。


「ええ、やられたのは腕と脚。翼・胴体・頭は硬化を強めて守ってあるわ。加速は厳しいけど、その程度なら」


ベルガンが割って入る。


「サーチ、強がるな! たとえ飛べても、戦闘には耐えられない!」


ヴァロンが冷静に指示を重ねる。


「わかっている。落ち着け、ベルガン。サーチはそのまま隠れて、まずシールドを 100% まで展開。展開できたら、その位置から西へ上昇——高度 1000m までだ。その後はシールド維持。最初は狙われるが、数分で終わる。シールドに専念しろ」


「了解。30 秒もあれば、ベルガンのエーテルも借りてすぐ展開できる」


「よし。ベルガン、サーチが上昇したら 5 数えろ。隠れている瓦礫を破壊して、最短距離で“赤い円”へ直進。可能な限り高度を上げ、同じく 1000m を目安に接近。次の指示はすぐに出す」


30 秒後。サーチはシールドを完全展開し、上昇を開始。


「……1……2……」ベルガンのカウントも始まる。


再び射線に入ったサーチに SUB11F が即反応する。幸い、先ほど吹き飛ばされた位置関係の影響で YA-24 主砲の射程からは外れていた。


「ドドン!」


サーチのシールドに着弾。しかし 100% まで硬化したシールドは SUB11F の副砲程度では大きく損なわれない。


「……4……5!」


「バカン!」と分厚いコンクリ壁をぶち抜き、ベルガンが指定座標を目指して上昇。数秒で到達。


ヴァロンの次の指示が飛ぶ。


「右下のドローンを視認。エーテル滑空で追え!」


サーチの視覚共有により、小さな標的でも最速で捕捉できる。急降下するベルガンに、横方向への回避では逃げ切れない。5 秒で捕獲、破壊成功。


「よし。あのドローンは本体から離れるのを嫌う。エーテル干渉を警戒しているんだろう。サーチが注意を引いた瞬間に“DD-24”と”ドローン”の間へ割って入れば判断を誤る。——読みどおりだ。次! 左・後方のドローン。創造主からもらった飛び道具、ファイアアロー で貫け!」


ベルガンは掌にエーテルを集中させ、線状の熱線を放つ。「ドン!」即爆散する。

ヴァロンが畳みかける。


「相手は AI。初見の攻撃には対応が遅れる——当然だ。次! 爆散方向へ上昇。視覚共有で次の“円”を示した、そこへ」


◆◆◆  ◆◆◆  ◆◆◆


(数分前)大荻山陣営。


「SUB11F 正常稼働、命中率 75%。すごい……魔法のような予測射撃だ」


私兵の声に、大荻山が汚く笑う。


「わはは。化け物どもは夜目も利かん。せいぜいドローンを見つけても AI 制御の回避で接近すら不可能。所詮は化け物だ。人間様の知性の前ではサル同然よ」


「先生、まもなく YA-24の主砲の射程に入ります!」


「AI 射撃管制に優先タスク設定。“突撃馬鹿”から始末しろ!」


「後方の女型は後回しで?」


「最強の“矛”と“盾”。どちらかを先に壊せるなら“矛”だ。盾は所詮盾、こちらへの脅威は薄い。まして女型。矛が死ねば逃げ帰るさ。わはは」


AI は確実にベルガンを誘導し、YA-24の主砲の射線へおびき出す。


「先生、射程に入りました!」


「よし。砲撃システムを SUB11F にリンケージ、タイミングを譲渡!」


数秒後——


「ロックオン……!? 女型が急降下、射線に割って入ります!」


「化け物にも同族愛か? くだらんロマンスだ。構わん、リンケージ継続!」


YA-24 の主砲が火を吹く。独特の低い砲声。

着弾——


「命中!……いえ、まだ活動中……嘘だろ……」


大荻山は一瞬だけ目を疑いながらも優勢を崩さない。


「西へ逃がすな。遮蔽物が増えると SUB11F の射線が取りにくい。東へ追い込め!」


数秒、緊張が張り詰める。


「先生、敵は東側の建物残骸に隠れました。射線取れず。ドローンの光学カメラもロスト、迂回ルート計算中」


「いらん! これ以上 DD-24 からドローンを離すな。ジャミングされたら失速してしまう。隠れているならそれもいい。SUB11F を冷却モードへ、予備弾装填、次に備えろ」


1 分後——


「冷却 25% 完了、予備弾装填完了!」


大荻山が SUB11F を即座に射撃モードへ戻す——その瞬間。


「敵、上昇。西です!」


「逃がすな。射線に入り次第、撃ちまくれ!」


「ドドドン!」


SUB11F が西に逃げた個体を正確に叩く。


「ロックオン。高度750m、緩やかに上昇中。命中率 90%!」


攻勢を強める大荻山——その時。


「建物からもう 1 体出現! 上昇しつつ接近! AI がドローン回避モードに自動スイッチ!」


「駄目だ、それでは横回避になる。手動に戻せ! 距離を取れ、DD-24 から離れてもいい!」


「了解——なんてことだ……先生、ドローン 4 号機シグナルロスト!」


「くそがああ!」


「先生、続いて 3 号機もロスト!」


大荻山の計算が崩れる。


「3号機? 二機墜ちた? なぜだ、報告!」


「1号機の光学映像。レーザーでしょうか、敵から発射された線状の何かに貫かれています」


「まずい、飛び道具……! あいつは接近特化ではないのか?!これ以上ドローンを失うな。回避優先! 西側は砲撃続行。ただし YA-24 への誘導は中止、こちらの防衛を最優先!」


私兵が慌てて AI の命令を組み替える——刹那。


「先生、5号機・6号機、シグナルロスト! 4D 移動予測精度が 50% まで低下!」


「何だ、何が起きている。なぜ急に AI の演算を超えてきた? 読まれている? いや、違う……再計算……そうか、“意図的な状況の高速変化”で AI に再計算を強要し、その隙で精度を落とす——そこを突いているのか? しかし、そんな頭脳戦を——」


「先生! 8号機、落ちました!」


大荻山から血の気が引いていく。


◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆


同時刻 ベルガン


ヴァロンからの通信が入る。


「よくやった。残りのドローンは放置でいい。もう目としては数に劣る。戦車と装甲車を落とすぞ!」

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