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人類アンチ種族神  作者: 緑茶
人類アンチ種族神
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人類アンチ種族神Ⅴ《対決⑬ 大規模攻勢_5》

この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。


サーチが居城デスランドを飛び立つ少し前、後退していたベルガンの部隊1万9000体が待ち伏せている地帯に自衛隊が接近していた。


ベルガンは配下に低空飛行を指示。自衛隊の特殊弾による高熱から残った瓦礫に隠れるように分散して待ち構えている。


作戦は部隊を円形に散会、伏兵ふくへいとして、自衛隊の車列を円形の中心付近まで誘い込んでから、360度全方位から一斉攻撃を仕掛けるというものだった。


しかし、実際は自衛隊は円形の外縁付近で停止。隠れているガーゴイルを攻撃し始めていた。


ーーなぜだ。なぜ伏兵がわかる?


ベルガンは自衛隊の目、偵察ドローンの存在を軽視していた。もともとパワータイプのベルガンは小さいもの、弱々しいものを見ると油断する傾向があった。それは自身に対して無力で気を配るに値しないという認識に基づいた行動だった。


しかし、自衛隊の偵察ドローンは性能が高く、高度500mから容易にガーゴイル達を視認していたのだ。これは、戦闘が長引いて夜が明け始めたことも関係していた。


なすすべもなく、1体、また1体とガーゴイルは集中砲火を浴びて消えていく。


自信家のベルガンにも一筋の思考が走る。


ーー創造主に……指示を……いや、ヴァロンに作戦を……いや、駄目だ。。俺が弱気になるな!


ベルガンは敵がこちらの位置を把握していると認識を改め、陣形を変更した。


「残存兵は、ポイント120に集結、5000の集団を3部隊編成しろ。 残りは俺のところへ来い」


潜んでいたガーゴイルは一斉に動き出した。中には遮蔽物を飛び出して自衛隊に攻撃されてたどり着けなかったガーゴイルもいたが、なんとか陣形を立て直した。


◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆


同時刻 居城デスランド。 サーチが飛び出し、神は玉座に戻っていた。


「ヴァロン、ベルガンの戦況をどうみる?」


神はヴァロンの能力を試すように問う。


「良いとは言い難いですね。自軍の位置が把握されているというのは、作戦上致命的です。その原因を潰すことなく続行したところで劣勢は変わりません。しかし、部隊を集めたのは正解でしょう。これで人間も攻撃しにくい。警戒すべきは例のロングレンジレールガンですね」


神の笑みを見て、自分の能力を証明するかのようにヴァロンは饒舌じょうぜつに分析を進める。


「おそらくベルガンは、3部隊による連続的な正面突撃を狙っていると思います。これは恐らく全滅します。その間に左右に散った3000体程度が挟み撃ちでしょうな。この挟み撃ちで正面から敵の注意をそらし、ベルガンはファイアバレットを正面から最大火力で放つつもりです。3部隊の突撃はこのファイアバレットの時間稼ぎといったところかと」


「はははは、面白そうじゃない。ファイアバレットを最大火力まで溜め込むには相当なエーテル量が必要だ。練りこんで密度を上げるのには1時間はかかるだろう。間に合うのかー」


◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆


神とヴァロンの予想は的中し、ベルガンは5000体の部隊3体に、20分間隔で突撃するように指示をだしていた。


最初の部隊が自衛隊の車列に突入した。高度を上げている余裕はなく、なんとか数十メートル上昇して即座に攻撃に入った。


「光る玉に気をつけろ!視界を奪われた場合は直進、体当たりで敵の位置を把握し、破壊しろ!足を止めるな!また灼熱の雨にやられるぞ!」


ベルガンのげきが飛ぶ


指示を出し終えるとベルガンはすぐにファイアバレットの射撃準備に入る。体内にエーテルを練り込み、超高温の炎を育てていく。


◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆


10分前 自衛隊司令部。


R連隊の隊長、足立あだち昭介しょうすけと副長の仲原なかばらかおり三佐は、やや後方の耐熱装甲車に乗車し、ここを司令部としていた。


偵察ドローン部隊から報告が入る。


「UFBが前方に集結中。5000規模の集団を複数形成中。3個群」


仲原は直ぐに意図を読み解く


「こちらの偵察ドローンを無視?レールガンに撃たれないように短期間で距離を詰める損耗戦術ですかね?」


話の相手は足立だ。


「だろうな。UFBの指揮官は1900年代の戦争をしたいらしい。だがさすがに、あの数と距離だ。防げるか?」


「発光弾も、夜明けに伴い効果は落ちますが、それでも視界を奪う程度にはなるはずです」


足立はチラリと仲原を見るとトーンを落として話を進める。


「発光弾か。仲原三佐は前回と、今回でUFBの戦術に違いを感じないのか?」


予想外の会話に戸惑う仲原。


「まぁいい。前回は高低差をつけるなど工夫が見られた。これは兵の損耗を考慮した理性ある戦いとみていい。だが、今回は団子状に固めた兵の弾丸を感情的にぶつけている。これはつまり、理性が欠けている。だとすれば、発光弾で視界が奪われようがお構いなしに突撃してくる。これは全滅覚悟の玉砕攻撃に近い」


「全滅覚悟ですか。酷い時代錯誤ですね。ではプランC1でどうでしょう。もともと想定が大規模奇襲用なので適切かと」


足立は仲原の的確で素早い思考回路に、若さと才能を感じ、少し笑みを浮かべ


「君が味方でよかったよ。了承だ」


と答えた。


僅か5分でベルガンの作戦は看破され、対応策が講じられた。


「全車両に通達。前方からUFB15000接近。プランC1で迎撃する」


その時、シェルターにいる大仲防衛大臣から連絡が入る。


「足立隊長。大仲です。プランC1と聞き、急ぎ連絡をしました。作戦は君たちに一任するが、単なる大規模突撃だろうか?いや、何か懸念があるわけではない。だが、私も、ここにいる津田議員も、政治家としての勘が何かを警戒させるのだ。増援か、何か他の脅威か、正体は分からないが警戒を頼む。自衛隊を頼んだぞ」


ベルガンのファイアバレットの存在も知らない。それどころかベルガンの存在すら認識していない人類だが、長年駆け引きを行ってきた政治家は、その脅威を「勘」というあいまいなもので察知した。


「分かりました大臣。C1のあと、増援に備えプランA2も準備しておきます」


数分後、ついに両者は再び激突することとなった。



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