煙草を吸わない愛煙家、いざ異世界へ④
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煙草を吸わない愛煙家、いざ異世界へ④
「我がベルシュリカ王国はここからそう遠くはありません。御足労いただき申し訳ありませんが少々我慢下さい。」
アルベルトと名乗る騎士団長が歩きながら説明してくれる。
「いえ、全然大丈夫ですよ」
俺は軽く答える。
後ろの方でザワザワと騒ぐ兵士たちの視線を感じて少し気まずい。
「私の兵が申し訳ございません。」
「いや、ちょっと気まずいくらいで...大丈夫です...」
「使徒様というのはこの世界に伝わる予言なのです。ですが、いつ現れるかという情報がほぼ皆無で分かっているのはこの平原で現れるという事だけ。我々は昨日この辺りであった無数の爆発や爆音の調査でここに参りました。そこで貴方様が空より舞い降りたのです。そこで私は確信いたしました、とうとう使徒様が現れたのだと。」
「ほぇ〜、そんないつ現れるか分からない予言とかやばいやん何それ」
「ははは!使徒様の言葉使いは面白いでございますな!」
急に爆笑された。
「え、バカにされてる?」
「いえいえ、とんでもないでございます。」
「この世界について少し教えて貰ってもいいか?」
「ええ、もちろんでございます」
俺はこの世界について色々聞いた。ここはミューゼリバ大陸というらしく他にも3つの大陸があり計4つの大陸で構成されている。この大陸だけでも25カ国あり結構大きいみたいだ。大昔は大陸全土を掛けて魔物や魔人と戦っていたみたいだが今はそこから魔物は魔物の人間は人間の大陸、国を築き争いは終結したらしい。
しかし、ここ数年また魔物や魔人との大陸、国を掛けて争いがまた始まり激化しているらしい。
「ですが、3年前に勇者が現れてから我々人間側に状況は傾きつつあります。」
そして、勇者が存在するという事が分かった。他にも剣聖や聖女など異世界にはあるあるな設定が本当に存在しているらしい。
「使徒様、見えてきました。あれが我が国、ベルシュリカ王国でございます。」
少し先に壁が見えてきた。話していると意外とスグだった。
広い平原に大きく街が展開していた。高さはそれほどでもないが壁が街を囲んでいる。
近づいてみると中々な壁の高さだった。門番らしき兵が2人入口の両側に立っていた。
「おかえりなさいませ!アルベルト様!」
「えぇ、ただいま戻りました。」
「それで、そちらの方は?」
「この方は使徒様です。今から陛下にあって頂きます。御無礼のないように。」
「し、使徒様!?な、なんとホントに現れるなんて!かしこまりました!失礼のないように細心の注意をはらわせていただきます!」
「いや、そんな感じでこられても困るんやけど...」
門番は分かりやすく態度を変えコチラをチラチラ伺いながら何度もお辞儀している。
「てか、陛下って王様?俺今から王様に会うんですか?」
「はい、陛下なら是非貴方様に謁見したいと言うはずですので」
「いや、逆でしょ笑 俺が今から謁見するんですよね?」
「使徒様は使徒様です。とりあえず陛下のところに参りましょう!」
押し切られる形で俺はアルベルトの後ろについていった。
〜王の間〜
「陛下、私はこの方が使徒様だと確信しコチラまで御足労頂きました。」
「ほぅ、貴方様が伝説の使徒様か」
俺はベルシュリカ王国の王の間に居る。アルベルトに連れられ入るなり俺の事を紹介した。
「初めまして、北下 定というものです。」
俺はできるだけ丁寧に挨拶しようと心掛けた。
「私はベルシュリカ王国、国王 ゼルメアス・ベルデア・ベルシュリカであります。使徒様、お目にかかれて大変光栄でございます。」
ベルシュリカ国王は赤いローブに身を包み王冠を被った王様という風格が歩いているような存在だ。
「使徒様、良くぞこの世界に来てくださいました。しかし我々の世界では既に勇者様が現れ戦ってくれいています。使徒様には自由気ままにお過ごし頂きたいと考えておりますがもしもの時もありますのでその時はご協力頂きたいと考えております。」
王様は低い物腰で俺に対してどうして欲しいかを語った。どうやらアルベルトも言っていたがこの世界は勇者が現れてから少しずつ平和になっていってるみたいで俺の力はそこまで必要では無いらしい。
「それは、全然大丈夫なんですが俺戦闘経験とかも全然なくて それで魔法の練習をあの平原でしていたんです。」
「なるほど、そういう事でしたか。それなら少しの間この国に滞在されてはいかがでしょうか?この世界について何も知らないままでは何かと不憫だと思いますし知識と力をつけるまでは安全かと。それに我々が全面的に支援もさせていただきますので」
アルベルトが提案した。たしかに行く宛ても無い俺にとっては有難い話だ。
「今のところ行く宛ても無いしそれやと有難いかもなぁ〜」
「はい!住居等は私どもにお任せください!何かお困り事があればスグ対処いたしますし!」
中々の熱量で押し切られた俺は一時の間このベルシュリカ王国にてお世話になる事になった。