煙草を吸わない愛煙家、いざ異世界へ③
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煙草を吸わない愛煙家、いざ異世界へ③
俺は空中で寝ていた。流石に平原で生身野宿は危険だと思ったので空中の魔物などが手助け出来なさそうな高さまで飛び眠りに着いた。
空中に浮く魔法は古代魔法の中に存在した。ということはこの世界の人間は飛ぶことができないのかもしれない。
あと、魔物を警戒して空で寝たのはいいが普通に空飛ぶ魔物が居たらアウトだよな。てか、この世界に来てから魔物が存在しているのかもまだ分かっていない。
だが、そんな事は杞憂だったらしく目が覚めると昨日と同じところで寝たいた。太陽の光が眩しすぎて目覚めてしまったと言うべきか。
「はぁーーーんむ」
大きく欠伸をした俺はすっと直立しそのまま平原に向かい下降した。
下降して行くと何やら群がって居るように見える。魔物かと目を凝らして見るとそれは無数の人であった。
「え、めちゃ群がってるやん何あれ」
大体の目算でいうと50~60人以上はいそうだ。鎧を着た騎士みたいな見た目だ。
俺はそのまま声が聞こえるくらいまで降下した。
俺が下降しているのに気付いたのか兵士達は指を俺に向かって指しながら慌てていた。
「お、おい!空から、空から人が降ってきたぞ!!」
「な、なにがどうなってんだ!」
兵士達の大き声が響く。俺は空を飛ぶ魔法が古代魔法であり今この世界の時代には無いかもと予想していたのに何も気付かずに降りてしまったのだ。
「あ、あなた様はい、一体何者なのですか?」
降り立った先で恐る恐るある1人の兵士が声を掛けてくる。
「俺は北下 定、色々あって空から落ちてきた。」
俺は無理がある意味のわからない言い訳をした。
「い、いや、色々あって落ちてきたって...」
「色々あって落ちてきた!」
俺が再び言い直す。兵士達のざわめきは未だに落ち着かないなか、一人の落ち着いた面持ちの兵が俺に近づいてきた。
「はじめまして、私はベルシュリカ王国 騎士団団長のアルベルト・ミッシェルと申します。もしや、貴方様は使徒様では無いでしょうか?」
その落ち着いた面持ちの男は訪ねる。
「し、使徒?」
俺は意味がわからなかったので頭の上にハテナを浮かべた。
「はい、貴方様は女神様の加護をお持ちではありませんか?」
「あ、はい。女神メリエル様から御加護を頂きました。」
そう答えると周りの兵士たちは先程の比にならないくらい騒ぎはじめた。
「やはり、貴方様が使徒なのですね!取り敢えず、こんな所ではなんですし我がベルシュリカ王国に1度来ては頂けませんでしょうか?」
アルベルトという騎士団長は俺の前に屈みお辞儀した。
「たしかに、飯とかなんも食べてないし1度街でゆっくりしたいかも」
俺はこの世界に来てまだ、何も口にしておらずお腹が空いていた。しかも、行く宛ても無い俺にとってはまたと無い話だ。
「それでしたら、尚のこと我が国に参りましょう!お聞きしたいことも色々ありますし使徒様もそうでしょう。」
アルベルトがそう言うと兵士達に指示を仰ぎ王国へと出発する準備をしはじめたのだった。