煙草を吸わない愛煙家、いざ異世界へ②
「まぁ、どっかで加減を練習するしかないか」
俺は一旦そう思う事で自分を納得させるのだった。
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煙草を吸わない愛煙家、いざ異世界へ②
取り敢えずその場に留まり魔法を練習する事にした俺は焼け野原になった大地を元に戻しては魔法を試しまた戻しては魔法を試した。
日が傾きはじめた頃、俺は夕方になっている事に今の今まで気付かずにいた。それほど迄に魔法に夢中になっていたのだ。勿論、加減をしないと危ないとか、実際に使用出来るのかとか色々考えてはいたが結局の所楽しくなりすぎて時間を忘れていたのだ。
「うわ、もう夕方やん えぐ〜。てか、女神様は何時くらいにこっち飛ばしたんやろ?」
俺は1人なのをいい事に独り言を吐く。今ここで使える魔法をある程度使いきったがやはり加減は無理なようだ。
無理と言えば語弊がある。加減自体は出来る様になったのだが結局魔法の規模が大きい為あまり変わらなかった。
「加減は無理やったけど、この魔法なら...!」
俺はあの巻物さえ吸えれば良かったのだ。だからある魔法を使いその問題を解決した。
「古代魔法:マギ・ジェスティー」
魔法名を唱えると俺は指先に魔力を集中させた。すると、その集まった魔力が小さく揺らぎ炎に変わる。
古代魔法マギ・ジェスティーとは魔力そのものを別の物質に変換する魔法だ。どうやらこの世界の魔法は魔法の大小に合わせて自身の魔力を消費するらしい。らしいと言うのは俺が練習中にそう感じただけで詳しくは分からない。
たが、魔法の加減があまり出来ないのもそれのせいじゃ無いかと考えてる。しかし、この魔法は自分の体に流れ、纏ってる魔力を直接別の物質に変換するのだ。過度な変換は出来ないが指先の魔力を火に変える位は容易だった。
「よし、やっと!一服タイム〜!」
俺は指先に灯った小さな炎を巻物の先端に近づけ火をつけた。
「-------------.....ふぅ〜〜〜〜」
俺は火がついた巻物をゆっくり深呼吸するように吸い込み少し肺にためゆっくり吐き出した。火がついた部分はパチパチと小さな音を立てながら元気に燃えていき、吐き出した煙はとても濃く視界を塞ぐほどだった。
「ゴホッ...ヴ...ゲホッゴホッゴホッ...。やっぱりコレエグイな!美味しすぎる!あぁ、女神様ありがとうございます!」
俺は疲れていた事もありスグにぶっ飛んでしまった。誰もいない平原で女神様に向けて感謝の言葉を叫ぶ。だが、これでいい。感謝の心を忘れては元も子もない。
巻物を吸い終えた俺はリラックスしゆったりとした時間を過ごしていた。街灯は一切なく自然と自分以外は何にも存在しないこの場所を照らすのは星と月だけだ。元居た世界では中々、いや全く見れなかった景色。
「これからどーするかなぁ〜。一旦、街とか行ってみたいけど無一文やからお金も稼がないとやしな〜」
俺は今後について考えていた。この先どうやって生きていこうかと。この世界に俺の知ってる人物は誰1人居ない。そんな中この世界の常識やルール、マナーなんかも知らない俺はどうしたらよいのかと。
「まぁ、何とかなるか!コレさえあれば一旦大丈夫やし!」
俺は腰に着いたポーチを軽く叩き深い事は考えないようにしようと眠りにつくのだった。