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煙草を吸わない愛煙家、異世界で生活④

煙草を吸わない愛煙家、異世界で生活④






俺の部屋で一服し時間を忘れ3人で寛いでいると部屋に騎士団の人が訪ねてきて魔竜の後処理の為アルベルトさんは連れ出されて行った。あんな状態で大丈夫なのかと心配したが部下達の前ではテキパキと指示し行動していたので多分大丈夫だろう。


そして部屋に残された俺たちは摂り損ねた昼飯を2人で食べるのであった。

(因みに初めてのマンチ飯でデリリルさんは2〜3人前を平らげていた。)


「ふ〜。食った食った!」


昼食は部屋まで運んでもらい食べる事にした。外食は住民達が怖いのでまたの機会という事にしデリリルさん達に作ってもらい部屋で2人で食べた。味は意外と日本人の俺に合う味付けでデリリルさんに聞いたところ元々この味なのだとか。


「デリリルさんありがとう!すごく美味しかったです!他の人達にもお礼を言っといてください!」


「いえ、勿体無いお言葉。他の者には私からお伝えしましょう」


デリリルさんは初めてのマンチ飯という事もあり鱈腹食べていた。なのに当たり前のように涼しい顔で膝をつき顔を伏せる。


「ご飯も食べ終わった事ですし食後の一服でもどうでs「いいんですか?いただきます」


「いや、食い気味やな笑」


俺が一服の提案をすると話の途中でデリリルが割り込んで承諾してくる。もしかして気に入ってくれたのだろうか?こちらを見ている眼差しがどこと無くキラキラ輝いている様に見える。


「・・・・・・・・・」


黙ってはいるが明らかによそよそしい。期待の眼差しを感じる。


「ほなら吸いましょうか!」


ジュボッ!


「デリリルさん、俺の横にジュゥゥゥー座ってくださいフゥゥーー」


喋りながら吸い込み吐き出す。デリリルさんはいつも膝をついて顔を伏せているので回しやすいように隣に来るよう促す。デリリルさんは少しの間も置かずにこちらに来ると俺から巻き物を受け取り吸い込みながら隣に座る。


「食後はやっぱりこれですよ あ、うすうす。ジュゥゥゥー」


「確かにこれは癖になりますね。控えめに言って最高の品物です」


これも女神様からの加護のお陰なのかこんなにも慣れるのが早いとは。見たことも無い喫煙物を女神様からの頂き物というだけで何の躊躇もなく吸引しもう馴染んでいる。女神様恐ろしや。


「使徒様はこれからどうなさるのですか?このまま王国にいらっしゃるのでしょうか?」


回しながら会話する。デリリルが俺にこれからの事について尋ねてくる。確かにこれからどうしようか考えなければ。魔竜は俺の魔力に引き寄せられ王国に来たかもしれない。それならこの王国に居座り続けるのは危ないかもしれなし国民に危害が及べばそれは取り返しがつかない。


「確かしに、考えてなかったですね。このまま王国に居座るのも良く無いですよね」


「なぜですか?」


「え?だって魔竜も俺の魔力で引き寄せられたんですよね?それって危なくないですか?」


「そうですね、魔竜が使徒様の魔力に引き寄せられたのは間違いないでしょうが魔竜クリスタルドラゴンという名称の竜は古来より一体しか存在しないのです。皇琉歴が始まって現在で1000年になりますが魔竜は皇琉歴以前から存在したとされています。」


「は?え、え?じゃ、じゃ殺した場合は?どうなるんですか?」


「さぁ?特段使徒様がお気になさることは無いことですよ。」


彼女の言っていることを信じるならこの世界に1体しか存在しない竜を殺してしまったらしい。正確には俺の魔力になったのだが。厄災とは言われていたがそんな竜を倒してしまったのなら何かしらの罰則があってもおかしくはない。


「そうは言ってもなぁ〜」


「この国を救ったのです、何も気に止むことなどありません。」


デリリルが宥めてくれる。いつも無感情な彼女のだが言動や行動から人の良さが滲み出ている。きっと優しい人なのだろう。


「まぁ、この先どうするかはまた考えます。」


そんなこんなで巻き物を吸い終えた俺達はデリリルさんの提案でお茶にする事にした。用意はデリリルさん達がしてくれる。何から何までお世話になってしまってこのままではダメ人間になってしまいそうだ。


「そういえば、デリリルさんと同じ格好の人達とデリリルさんてどうゆう何なんです?」


「??どうゆう何とは?」


俺は今までさらっと流してきデリリルさんと同じ服をきた人達について尋ねた。


「いや、あの人達とデリリルさんって同じ服着てるしやけに統率が取れてますしなんせメイド服が明らかに戦闘服っぽいですよね?何かの部隊とかかなって気になって」


「あぁなるほど。我々はこのベルシュリカ王国に仕える特殊部隊「鐘」メイド等の給仕から暗殺や戦争での出兵など様々なことに対応する裏組織です。しかし、現在は使徒様の安全を確保する為我々が身の回りのお世話をさせていただいております。」


「裏組織とかそんな簡単に俺に言って大丈夫なんですか?」


「はい、何も問題ありません。私も説明するのが遅くなってしまい申し訳ございませんでした。」


俺の疑問が晴れ俺たちは再びお茶を楽しむ。先程の話の続きで分かった事だがデリリルはその「鐘」と言う部隊の隊長らしく正しく統率者であったのだ。だからこその的確な指示だったのかと納得した。


〜数分後〜


「いや〜今日魔竜が来たとは思えない程落ち着いた空間ですね〜」


「はい、本当に最高でございます」


お茶を飲み終えると颯爽と「鐘」の人達が現れ片づけをしてくれる。俺たちはゆっくりと寛ぎ今の時間を噛み締めるように堪能する。そうしていると


ドンッドンッドンドンッ!!


扉を叩く音が聞こえる。「鐘」の人達は音を立てずに入ってくるので違う誰かだろう。


「はーい」


返事をすると扉は勢いよく開き外の空気が一気に流れ込んでくる。そこにはアルベルトさんでは無い騎士が立っていた。


「使徒様!国王陛下がお会いしたいとのことでお連れしています!」


「え!国王がここに?なんで?流石に言ったのに!」


「そ、それが」


「そんな無礼できませんんぞ使徒様。」


国王陛下が俺の部屋に入室する。何人かの棋士達もゾロゾロと入ってくる。中々良い部屋ではあるがこの人数は正直せなく感じる。しかも騎士達は鎧を着ているので余計にだ。


「使徒様、この度は我々をお救い頂き誠に有難うございます。このご恩は決して忘れません。この国の民達を代表して私から感謝を」


深々と頭を下げる国王に続き騎士達も兜をとり深々と頭を下げる。


「そ、そんな。俺も必死だったので。」


「そんな使徒様にはこの部屋では少々不便でしょう。一戸建てを用意いたしますのでどうぞそちらの方にお住みくださいませ」


「え!家ですか!それは嬉しいですけ、俺この国にいてもいいんですかね?」


「何をおっしゃいますか!勿論にございます!どうぞ「鐘」のもの達もよろしくお願いします。」


国王が家を用意してくれるらしい。そこにデリリルさん達を定住してくれるらしく一人暮らしでは無いようだが正直凄く助かる。身の回りのお世話に慣れない異世界での生活、1人なんて寂しいに決まってる。


王様とは今回の魔竜についてとどのように倒したのかを詳細に聞かれた。俺は全てを正直に話し事の顛末を説明した。最初こそ驚き周りの兵士達もどよめいていたが何とか納得してくれた。今回家をくれるのもお礼の意味もあるが国民達が騒いでここに入ってきても不味いので広く近寄りにくい一軒家に移動してもらおうと考えていたらしい。どうやら完全に家をくれるみたいで仮に俺がここを離れても維持管理はしてくれると言う最高高待遇つきだ。


話し合いが終わり今日は疲れているだろうからと国王達は帰って行った。また家が用意出来次第、連絡をくれるらしいのでそれまではここで過ごす。マイホーム生活が既に楽しみだ。



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