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煙草を吸わない愛煙家、異世界で生活②


「さぁ、どこまでやれるか試してみよか」


俺が1人でそう呟くくと同時に竜の周りに大きな電撃の塊が5つ6つと形成されていき、次の瞬間その電撃は俺を通り過ぎ背後の王国に向け放たれるのであった。

煙草を吸わない愛煙家、異世界で生活②






「え、コイツエグいって!!!!」


電撃の威力は見るまでも無く王国を破壊するのに十分だろう。俺は今王国を守れる方法をフル回転で考えた。


「神代魔法:エル・フルスフィア!!!」


王国の方向に手を向けバッと開き魔法名を唱えたその瞬間王国全土に光が降り注ぎ襲い来る電撃の塊は王国の空中で霧散していくのであった。


「聖なる光の障壁、中々エグイな。けど、何とかなって良かったマジで。でも問題は....」


俺は前方に向き直り再度その姿を視認した。6本の大きな翼はボロボロの海賊船の帆の様になっており隻眼。その巨体は山をも覆い尽くす程で一目で歴戦の化け物だと言うことがわかる。


「存在感も然る事ながら攻撃の威力まで桁外れやな、当たったら死ぬって考えた方がええな」


俺は覚悟がある訳でも怖くない訳でも無い。だが、無力ではない。対抗できる力があり戦う理由もある。なら後は全力でやるしかないと思い飛び出した。だが、


ギィィギャアァァァーーー!!!


竜の鳴き声が響き渡る。それは次の攻撃の合図でもあった。

魔竜の顔付近に大きな魔法陣が形成され竜は顔を後ろに反らせ大きく空気を吸い込んでいく。


「こいつ!!まさかっ!」


次の瞬間魔法陣は光りを放ち竜は大きな口を開けその魔法陣に咆哮する。それは空気をも切り裂き大気をも焦がす息吹となった。


雷、炎、風。3種類の属性が混ざったそのブレスは王国諸共俺も消す勢いで放たれた。


ギャアァァァキュィーーン!!!


「古代魔法:ラグナ・マキオン!!!」


俺はそのブレスに対抗するべく魔法を放った。ブレスと魔法は衝突し空の色が変わる程の熱と魔力が一帯を覆った。

雲は晴れ、ぶつかり合った衝撃は果てしなく空の彼方へと広がっていく。


ギュギュギュビリィーーーン


「こ、こいつ!!マジかよ!!!」


竜の口が更に開きブレスが更に威力を増す。


「いや、、ヤバイヤバイ!!」


徐々に押されはじめる。ブレスの威力は際限なく増していくばかりで弱まる気配が全くない。それに俺の力がドンドン抜けてるように感じる。魔法の威力も落ちてる気がする。


「コイツ、、、まさか、、、」


魔竜:クリスタル・ドラゴン。それは魔を食らう厄災の竜。

その本質は魔力を食い自身の力とする事。魔力を宿すもの全てが捕食対象であり魔竜の力を持ってすれば王国全土の人間の魔力を一瞬にして全て抜けとる事も可能だ。しかし、魔竜と同等若しくはそれ以上の実力者にはその力に抵抗出来る。

魔竜は目の前の人間から放たれる魔力に関心を持つと同時に貪り食う事を決めたのだ。


「俺の魔力を、吸って自分の力、にしてんのか...」


ギィィギャアギュイーン!!!!!


俺が放った炎の魔法はみるみる萎んでいき俺自身の魔力もどんどんと吸われていき押し負けそうになる。


「や、やばい やばい やばい!!死ぬ!」


魔竜の攻撃は更に威力を増した。次の瞬間押し負けた俺はブレスに焼かれるのであった。


「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」


肌は焼け全身の感覚が無くなっていく。正に消滅している様な感覚。死ぬ程の激痛は終わりが見えずただ身を焼かれる。


「神代魔法:パーフェクト・キュア!

古代魔法:マギアナ・エクスチェンジ!」


2つの魔法を同時に発動させる。唱えるよりも前に頭に浮かび気が付けば発動していた。焼かれた肌や激痛は嘘かのように全て消え全身を完全に癒す。そして魔竜のブレスは全て消失し俺の魔力へと変換された。


「マジで、、、、、、」


俺は半べそをかいていた。死ぬ瞬間を痛みを感じながら待つなんてもう二度とごめんだ。でもこれで死なない事が分かった。女神メリエル様の加護は絶命しないらしい。逆にいうと死ねないからさっきみたいな事になると。


「それ、、それよりも、まだ終わってない」


随分、体力を消耗したらしく息切れが激しい。勿論、攻撃を受けた事による体力の低下をそうだろうが大きな原因は魔力の消費によるものだと考えた。何せ今まで魔力という概念すら無い世界から来たのだ。初めて感じる気だるさ、脱力感、息切れ、それも徐々に落ち着きはじめる。


「ふぅ、大分楽になってきたな!ん?え、えぇ!」


目の前に居た恐ろしい魔竜。その姿は変わり果て今は半分も姿がない。声も出せずただ、塵になるのを待つしかない。

マギアナ・エクスチェンジにより体の8.9割が魔力でできいてる魔竜は為す術もなく 定 の魔力になるしかなかった。


「こんな、呆気ないとか.....許されへんな」


俺は怒りの感情を表に出しながら魔竜が魔力になっていく様を見届けるのであった。


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