煙草を吸わない愛煙家、異世界へ飛ぶ。
第1章
-煙草を吸わない愛煙家、異世界へ飛ぶ-
俺の名前は北下 定。何処にでも居る様なしがないサラリーマンだ。今日も俺は仕事を終え帰宅してる最中だ。いつもと変わらない電車にいつもと変わらない人混みが嫌という程に瞼の裏に焼き付く。
「はぁ〜...」
大きな溜息を吐いた俺は閉じていた目をゆっくりと開ける。
今日もいつもと変わらない日常が繰り返されている。俺の勤めている会社は大手企業の子会社でそれなりのところだ。別にブラックでも何でもない寧ろホワイトすぎるといっても過言じゃない。だが、そんな会社でも無能は存在する いや、してしまうのだ。
「あのクソカスがマジで...」
ボソッと愚痴を零してしまう。愚痴と言うよりただの暴言なのだが笑それでも思い出すだけでイライラする気持ちが抑えられない。その上司というのは課長なのだが、コイツがとんでもないポンコツ無能。自分が責任を負いたく無いが為にアドバイス等は一切せず他の社員に丸投げ。それだけに留まらず自分のミスは人のせいにするし他の社員のミスはこれでもかというぐらいに突っつきたおす。そんな奴のせいで今日は会議が予定より2時間も長引いたのだ。正直終わりもんってやつだ。
そうこうしているうちに電車が来たようだ。電車がくる音楽は鳴って無かったように思えたが考える事に集中していたらしい。今日の夜ご飯は何を食べようかと考えていた
そんな矢先
ドンッ!
「え?」
気付いたその時には身体が黄色い線の内側を超え線路に向かって身体が宙に浮いていた。時間が丸で止まったかのようにスローになった。ゆっくりと電車が俺の体に向かってくる。覚悟をキメなければならいないようだ。
「まだまだやりたいこといっぱいあるんだけどなぁ〜。
それに今日1日も吸ってないからせめて最後に一服くらい吸 わせてくれよマジで」
などと口走る。待て、おかしいよな。流石に考えて心で思うならともかく声に出したのにこんなにゆっくりてどういうこと?死ぬ前って皆こんなもんなの?流石にちょっと怖なってきたんだが。絶対痛いやろうな電車やもんな!てか、誰かに俺押されたよな?普通に誰やねんヤバすぎやんか?俺そんな恨み買ってたんかな?
そうこう考えてるうちに視界が明るい光のようなもので埋め尽くされ目を瞑っていても関係ない程に目の前を照らした。
チュンチュンチュン
「何がどうなってんだか」
と眩い光の直視を避けるかのように微かに瞼を開けた。そして俺は驚きのあまりガッと瞼を上げて目を見開いた。
「お、おい、マジかよこれ...」
そこには見た事のない平原が広がっていた。そう俺は多分
「異世界に来た?」
俺の物語は終わりではなくここからが始まりなのだと俺は確信したのだった。