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4. 女の戦い


「そういうわけで、俺と桐原さんはまあまあ長い付き合いなんだ。」


桐原さんは、当時高校2年生というなかなかの若さだったが、当時の俺は2年も年上の桐原さんに大人の雰囲気を感じていた。


本来、4年も付き合っていれば呼び方も変わるのだろうが、あいにく桐原さんは俺の先生なので、敬語さん付けが抜けない。


「そ、そうなんだ〜。ふーん。」

「にしても、まさか雪乃の言ってた人物が春馬くんだったなんてね。」


本当に偶然だ。全然予想していなかった。


「それはさておき春馬!今からUtafan本社に行くわよ!」

「は?」


雪乃は、俺と桐原さんが知り合いということに呆然としていたが、ふと我に返ると俺にそう言い放ってきた。


「なんでだよ。」

「ふふん。春馬はね..........なんと、あのUtafanのマネージャーとして私のサポートをすることになるのよ!」

「は?」


本日2度目の「は?」いただきましたぁ!...............じゃなくて。

え?俺があのUtafanのマネージャーになるの?

てかなれるの?

そもそも俺知らなかったんだけど?


「私が説明します。」


そう言って、桐原さんは話し始める。


それから十分ほど話を聞いた。

話を要約するとこうだ。



雪乃が候補生として評価され、正式デビューを勧められる。


      ↓


雪乃があるマネージャーじゃないと嫌と言い張る。


      ↓


仕方なく社長に直談判しにいく。


      ↓


社長は優しいし、雪乃は人気アイドルになると思っているので許可。


      ↓


数日かけて俺のことを入念に調べる。


      ↓


Utafan加入決定!!!




うん。ドユコト?

そもそも俺は立候補してないし、社長も社長で業界に入ったこともないやつを面接なしに入れていいんですかね?


たくさんの疑問は浮かんだが、いちいち聞いてもきりがないと思い、無理やり納得することにした。


「わかった。経緯はわかった。で、今から本社に行くということは..........」

「そう!春馬は今日から私のマネージャーだよ♡」


すごい。本人の意志と確認なしで会社に入れてしまった。


正直困惑はしているが、雪乃をアイドルにするという夢がある俺にとって、これは願っても見ない提案だ。提案かどうかは怪しいが..........


こうなったら、ながれるままよ。

雪乃のためになれるのは間違いないんだから。


◆ ◆ ◆


車の中にて。

ちなみに春馬は道を覚えたいということで、自分の車で後ろからついてきている。

なので、今この車には私と雫さんのふたりきり。


「それにしてもまさか雫さんが春馬と知り合いだったなんて......」


本当に驚きである。

でも、それと同時に嬉しかった。


私はこれまでアイドルになるためにたくさん頑張ってきたけれど........

春馬が同じ気持ちであるという保証はなかった。

だから、春馬が私のために色々してくれていて..........

とても幸せな気持ちになった。


「本当に驚き。まあ、こんな近くに幼馴染をアイドルにしたい子と、幼馴染にアイドルにされたい子がいて、気づかなかった自分にも驚いたけど。」


まあ、幼馴染とアイドルにする約束なんてしてる人なかなかいないと思うからね。


「それはそうと、雪乃。」


突然雫さんが私の名前を呼ぶ。

その出来事だけで場の空気が引き締まった気がした。

雫さんの顔はさっきとは違い、真剣なものになっている。


「私、あなたに負けるつもり無いから。とくに、春馬くんの事は。」


息が詰まった。


心臓が萎縮してドクドクと言っているのが聞こえてくる。


手足もしびれて思うように動かない。


なんで?


どうしてこんな.........


いや、原因はわかっている。


春馬の家に行ってから薄々感じていたんだ。


春馬と話しているときの........


桐原さんの違和感に。


普通の人ならわからないかもしれないけど.......


私にはわかる。


だって私も同じだから。


だからこそ............


「私も負けるつもりはありませんよ。」


春馬は私の運命の人だ。


だから


誰にも渡さない。








春馬のことに夢中になっていた私は、もう一つの大事なことに気づいていなかった。

フクセンムズイ。

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