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ステラ・フレーム  作者: あまみん


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8/10

八話 セーフティ

一サルベルス帝国 指定外戦域一


『指定外戦域』

ルーラーが戦域として指定しておらず、企業や国家間の対立を禁じているエリア。

その土地にドレイク社の兵器群が陣を生していた。


「諸君、これは戦争ではない、粛清だ」

齢は50を超えるだろうか。

赤のステラフレームのコアにいる古傷の目立つ偉丈夫がよく通る声で話す。


「目標はテログループ。これだけの兵力を見せ降伏を促したが奴らは沈黙している、いざ戦闘になれば激しい抵抗を見せるだろう。諸君、心してかかれ。烏合の衆と言えどその兵器には目を見張るものがある……刻限だ、1500。テロリストの殲滅を開始する!」


号令を発し、コアのハッチが閉まる。

赤い機体の双眸は緑色に光り、青白い炎を噴き出して先頭を飛翔する。


古傷の偉丈夫

ベルガーとそのステラフレーム、『シグルド』

赤いカラーリングの目立つ機体だ。

重厚な装甲は並大抵の火力ではダメージを与えられない堅牢さで、装甲の重さの割には機動力が高い。


ミサイルポッドを両肩、両膝に装着。

そして目立つ武器が右手に持つ大型のアサルトブレード


大型のブレードとライフルが一体化した武器で『剛将』の名に相応しい圧を感じさせる兵装だ。


「さて、気合を入れていこうか」

【システム、オールグリーン。行きましょう】


テロリスト殲滅作戦。

先を行くドレイクの部隊を見送り後発でアッシュのデイブレイクを含むステラ・フレームが飛翔する。


《我々デルタチームは遊撃だ!戦況を見極めつつ適宜連携を取れ!》


隊長が通信で遊撃の指示を告げる。

個人傭兵が主な戦力のデルタ部隊だが、その面々はCランク以上。

Cランクを超えた傭兵は一人前と言われており、こうした集団戦闘でも隊を乱さずに戦闘することは問題なくできる。


「アッシュ君とこうして肩を並べるのはいつぶりかな?」

「この間も向かい合ってたしな。相手するのは地味に嫌だから横に居るのが嬉しいよ」

「同じ意見だ、僕たちは気が合うね」


今回の依頼を紹介してきたフィッシャーと、アッシュは通信を取りながらデイブレイクを前進させる。


前々回の戦場でアッシュが戦った男、フィッシャー。彼はBランクの傭兵の中でも長く活躍しているベテランの傭兵だ。


傭兵はBランクから高位傭兵と呼ばれるようになる。今回のデルタ隊は16人居るが、その中でBランクはアッシュを含めて3人。


個人傭兵のみの部隊で3人、他部隊にも相応にBランクは存在し、十分な戦力があるように見える…が

万が一『デッドフェイス』がこの場に来たとしたら、これでも懸念が残る。それがアッシュの見立てだ。


(ベルガー、桜花のミコトを抑えた実績があるが、単体ではなく部隊での話。もし1体1の戦いになればミコトに分がある内容だった)


嫌な予感がする。

もしデッドフェイスがこの戦場に現れた際に、ベルガーは対処しきれるか。

デッドフェイスを強く警戒するアッシュは不安を覚えた。


「フィッシャー、突然高エネルギー反応が出たら全力で防御を取れよ」

「あの黒い機体の攻撃か。了解した、アッシュくん」


並走するアッシュとフィッシャーに向け、テロリストの乗るステラ・フレー厶がアサルトライフルを構えていた。


「ルーラーの犬どもめ!!死ねええええ!!!!」


叫び声と共に銃声が響く。

乱射された弾丸は地面にも当たり、激しい土埃を上げる。


「ははははははは!!!!やった!これで犬が2匹死んだァ!!!」


テロリストは歓喜を顕にし、充血した目を開きながら笑う。


「ははははははははは!!!!!!……えっ?」


ドンッ、と銃声が響いた瞬間。

テロリストの目は見開かれたままだが、笑い声は途絶えた。


「その程度で僕達は死なないよ、ねえ?アッシュ君」

「期待させて悪かった、って言えばいいか?」


「な、なんで…それに、どうしてコアが…?」

「君が笑っている間に僕が撃ち抜いた。この戦場で僕たちは君たちに容赦しないよ」


君たちも、それを望んだのだろう?

フィッシャーは静かに絶望を告げた。


コアパーツ、ステラ・フレームの中枢を担うパーツで、従来の兵器で言うところの操縦席に当たる。乗り手はコア内部で機体と同化し、直感的に機体を操作できるようになるのだ。


コアと言うだけありこのパーツは機体の心臓。わかりやすく言えば

━━『壊れたら死ぬパーツ』だ。


無論、機体の構造としてパイロットを守るために壊れにくいように作られている。

企業に雇われている傭兵やそれなりに力のある傭兵であれば、壊される瞬間に発動するセーフティの離脱魔法がある。

しかし、今回の敵はテロリスト。

彼らにそのようなセーフティがある事は考え難く、実際に今コアを破壊された機体にはセーフティは搭載されていない。


テロリストの声は一転、絶望に染った。


「俺、こんな、こんなはずじゃ…!!」

「死ぬ覚悟も無い奴は、戦場に立つ資格は無いんだ。冥土の土産に覚えていくといい」


フィッシャーの言葉の後。

テロリストのステラ・フレームはコアが完全に破壊された為エーテルが暴走し機体は爆発した。


「あんた、セーフティの無い相手でも容赦しないのな」

「それなりに修羅場は通っているからね」


テロリストが望んだ『真の戦争』。

セーフティも無く、ルールのない争いを望んでいる彼らに大した練度は感じられない。


「結社絡みとは言え、表に出てるのは煽動されたバカばかりみたいだねえ」

「…ああ、そうらしい」


大層な事を言う割に力が伴わない彼らを見て、アッシュはどこか苛立ちを覚えていた。


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