十話 結社製の量産機
-サルベルス帝国 指定外戦域-
デッドフェイスと共に結社製の量産機が多数現れ、一方的な戦況は反転していた。
「つ、強い!!」
「なんて硬さだ…!攻撃がほとんど通らない!」
圧倒的な防御力。
《ぬあああああああ!!!》
《なにぃ…!?》
《堕ちるッ!!!》
圧倒的な火力。
《ボスが言ってた、結社のプレゼント…!!》
《これなら俺たちは勝てる!》
壊滅的だったテロリスト側も状況が好転して士気が上がっていた。
「デッドフェイスだけじゃなく、こんな奴らまで出てくるとはな」
【どこの企業にも無いパーツで構成されていますね、結社製の量産機ですか…恐ろしい性能です】
「これは大変だ、僕の攻撃もあまり通らない!BSVなら辛うじて通じる気はするけど、そうポンポン使えないしね、どうしようか」
アッシュとフィッシャーも降ってきた量産機に苦戦していた。
並大抵の火力ではダメージは通らず、反撃を食らえば即撃墜。そして地獄の様相は加速する。
《なあ、助けてくれ!誰でもいい!離脱魔法が使えない!!足がやられて動けねえってのに!!!》
離脱魔法の使用不可を叫ぶ男に、結社製の灰色の巨人は銃口をコアに向ける。
《なんでだよ!!!!!防御魔法も使えねえ!!!なあ!!魔法が全部…っ!つかえねえ!!!!》
絶望を叫んだ男に向けられた銃口から火が放たれた。ガギンッ、と音が轟いた後に男のステラ・フレームの胸には穴が空いていた。
「…死んだね、彼」
「……」
【CJ兵器。国際規定で禁止されていたはずですが…結社には詮無いことでしたか】
CJ兵器。
キャストジャミング、魔法の発動阻害を目的とした兵器。相手の魔法を封じるという極めて単純な効果だが国際条約で禁止されている。ステラ・フレームが出来るより前から世界中で禁じられていた力が、秘密結社により使用されたのである。
「…結社が絡むとろくな事がないな」
「ああ全くだ。噂には聞いていたが、結社がここまでイカレているとはね」
「フェル、あの量産機を撃破できそうな装備は何個ある?」
【解析した限りでは2つ。前回、桜花重工より頂いた『三式刀剣 旭』の大太刀形態にバズーカのSN弾ですね】
「了解。フィッシャー、サポートを頼んだ!」
「オーケイ!」
一見すると絶望的な状況だが、アッシュとフィッシャーは打開する為に前進する。
【CJ兵器は肩部ユニットに装備されているビット兵器のようです。注意して下さい】
フェルの注意喚起があって程なく、高速で飛来するビット。無線で空間を飛び回るオールレンジ兵器がデイブレイクとオーシャンを囲む。
「面倒な蝿は僕が払おう!」
「任せた!」
オーシャンが、展開されたビットの対処に回る。ライフルの正確な射撃とミサイルを駆使して、瞬く間に取り付いたビットを全て撃墜。デイブレイクは加速し、納刀状態のブレード『旭』の柄を両手で持ち上段に構える。
納刀されたブレードにロックがかかり、鞘から抜けなくなると同時に鞘が変形しエーテルを放出し大きなブレードの形を作る。
「断ち切る!」
デイブレイクら構えたブレードが振り下ろし、結社製の量産機を一刀両断した
「ヒュウ♪流石だねアッシュ君!」
「フィッシャーも、ビットを全部堕としてくれて助かったよ」
「それにしても、僕たちだけならこの調子で何とかなりそうだけど…」
「ああ、他は危ないな」
アッシュたちが戦場に目を向けると、量産機に苦戦している状況に変わりはなかった。
「デッドフェイスはベルガーが抑えているけど、このままだと他が危ういか」
「んー、まずいね。アッシュ君、何か手立てはあるかい?」
「…ある。俺がデッドフェイスを引き付けてベルガーに全体指揮を執ってもらう。フィッシャー、他の味方の援護に当たってくれるか?」
「へぇ…分かった。アッシュ君、無理はしないようにね」
「ああ、フィッシャーもな」
アッシュは自機から離れるフィッシャーを見送った。
「さてと…フェル、ここからは全力で行くぞ」
【アッシュ、よろしいのですか?】
「どの道、いつかこうなることは分かっていたからな」
【…分かりました、私も力を尽くしましょう】
アッシュは覚悟を決めた。
「俺がデッドフェイスを…倒す」
そう宣言した瞬間、デイブレイクのバイザーが強く光った。
デイブレイクのエーテル出力がみるみる上昇し、機体が澄んだ青色のオーラを纏い始める。
(これ以上、逃げてられないよな)
アッシュは決意を胸に、最も激しい戦場へとデイブレイクを飛翔させた。




