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秋 お友達の家訪問②

来ていただいてありがとうございます。




「これはいかがでしょう?」

「いいわね!」

「ではこんな感じは?」

「まあ、素敵!」


はあ、楽しい!リンジー様はスタイルが良いからドレスをイメージするのが楽しいです!


私とノエル君はメイリリー学園のお休みの日にリンジー様シモン様のお屋敷、マルク―ル侯爵家の王都のお屋敷に招待された。お茶とお菓子をいただいた後、リンジー様に頼まれて私の光の魔術をお見せした。


「リンジーは美しいから何を着ても似合うね!」

うんうんと何やら感じ入ったように頷いているのはリンジー様の双子の兄のシモン様だ。シモン様はシスコン……じゃなかったリンジー(いもうと)様が大好きなのね。


「しかし、ルミリエ嬢の魔術は素晴らしい!女性のドレスの試着は時間がかかるものだけど、ルミリエ嬢の魔術ならあっという間じゃないか!本当に素晴らしい!!」

「ありがとうございます」

「うちのルミリエを便利道具みたいに言わないでくれる?」

シモン様の言葉にノエル君が釘を刺した。



「それにしてもルミリエの映すドレスのデザインは少し変わっているわね。とても素敵だけど」

えへへ、それはちょっと私の趣味が入っているから。私は現代日本からの転生者だから、この世界のドレスのデザインにちょっとだけコスプレ衣装のテイストが入ってしまう。実は私には転生前に妹がいた。名前は真綾。真綾はコスプレが大好きで結構人気があったと思う。私はそんな真綾の衣装作りを手伝ったり、衣装のデザインをするのが大好きだった。



「ルミリエ、大丈夫?疲れていない?」

マルク―ル家の応接室のソファに座ってノエル君が心配そうに私を見てる。

「大丈夫ですよ、ノエル様。まだまだいけます!楽しいです!」

「まったく……仕方がないな」

ノエル君は苦笑いした。


「ほんっとうにノエル様は過保護ねー」

「過保護じゃない、慎重なだけだ」

「いや、十分過保護だよ……」

前から思ってたんだけど、ノエル君とシモン様、そしてリンジー様はとても仲が良い。ノエル君はあまり人前で表情を崩さないけれど、このお二人の前では気を許しているのか、普通に怒ったり笑ったりしてる。親友とか幼馴染って感じ。何だかいいな。


「ねえ!ルミリエ」

一休みしてまたお茶を飲みながらリンジー様が目を輝かせてる。

「はい、何でしょう?リンジー様」

「私達一緒に魔術大会に出ない?」

「え?リンジー様とご一緒に?」

「ええ、私達なら一緒に何か楽しいことが出来ると思うわ!」

「でも、私が一緒では足手まといになってしまうのでは……?」

私は魔術初心者だし、体力にもまだ自信が無いし。

「ん、もう!何を言ってるのよ!そんな事ある訳ないでしょ?いいわよね?ノエル様!」

「別に僕の許可なんて要らないよ。ルミリエが望むようにすればいい」

「ノエル様……」

「但し!くれぐれも無理はしないようにね」

ノエル君が私をじっと見つめた。

「はい!」

「決まりね!」

リンジー様と私は顔を見合わせて笑った。正直、原則全員参加の魔術大会はどうしようって思ってたから、とても嬉しかった。

「ほら、やっぱり過保護だ……」

シモン様がそっと呟いた。


その後も魔術でファッションショーをしたり、色々なお話をしたりしてリンジー様と楽しく過ごさせていただいた。ノエル君とシモン様もお二人で楽しそうに話していらした。あっという間に夕暮れ時になってしまって、ノエル君と私はマルクール侯爵邸をお暇した。見送って下さったリンジー様が

「是非またいらしてね」

と手を振って下さったのがとても嬉しかった。




「ルミリエが楽しそうで良かった」

帰りの馬車の中で隣のノエル君が嬉しそうに笑った。

「はい!リンジー様は良い方です!ノエル君、今日は付き合って下さってありがとうございます!」

「ルミリエは、ドレスが好きなの?」

「うーん、ドレスっていうか、服のデザインを考えたり作ったりするのが好きです!そして可愛い人に来てもらえたら最高です……!」

私はノエル君の魔法少女姿を思い出してうっとりしてしまった。

「…………なんか変なこと考えてない?」

わわっ、ノエル君鋭い!

「イエ、ソンナコトアリマセンヨ?」

「こら、何で片言なの?」

ノエル君が眉を潜めたので、私は笑ってごまかした。


「まあ、いいか。服を作ってたっていうのは()()()のことだよね?」

「はい。前は色々衣装を作ったりしてたので」

「魔法少女の服も?」

「うーん、作ってたのは主に妹の好みの服だったので、そっち方面はあまり……」

真綾はカッコいい系が好きだったから。私としては可愛い系も、もっと着て欲しかったな。


「ましろは?作った服は着たりしなかったの?」

「私は……作る方が好きですね。私の好きな可愛い服は私には似合わないと思うので」

「は?そんなことは無いよ!!」

「え?」

「どちらかと言えば僕なんかよりルミリエの方がそういうのは似合うと思うよ」

「そ、そうでしょうか……?」

それは無いと思うんだけどな、だってノエル君は私が知ってる人の中で一番綺麗な人だもの!


「うん、わかった。今度僕がデザインしたドレスを贈らせてもらうよ」

「え?ノエル君がデザインを?すごいです!ノエル君は何でもできるんですね!」

「楽しみにしてて」

「はい!」

「っていうか、この場合楽しみなのは僕だね。ルミリエを思いっきり着飾らせることが出来るし」

何だか、ノエル君の笑顔が怪しい感じに……。

「絶対着てよね」

「はい」

私はどんなドレスになるのか若干不安になった。でもノエル君だから大丈夫かなとも思い直した。



馬車の窓の外ではもうすぐ日が沈もうとしていた。

「日が落ちるのが早くなりましたね……」

「ルミリエ?」

私はノエル君の腕に抱きついた。夕暮れ時は少しだけ苦手なんだ。前世では夜遅くまで帰ってこないお母さんを妹と二人で待ってた寂しい記憶がある。そして今世では、明日の朝がまた来てくれるのかなって不安がいつもあったから。


色々な感情が入り混じって胸がざわざわする。でも……、ノエル君のそばにいると安心できる。ノエル君はあったかくて優しくて、小さいころのお気に入りの毛布みたいに包み込んでくれる。


「私、ノエル君のそばにいられて本当に幸せです」

「……それ、僕のセリフだから。ましろが、ルミリエが帰って来てくれて、本当に嬉しかったんだよ」


ノエル君は私を抱き寄せて顔を上げさせた。そして優しく微笑んで口付けた。ノエル君はその後馬車が屋敷に到着するまでずっと離さずにいてくれた。










ここまでお読みいただいてありがとうございます。



※今朝の投稿時にミスがあり手直しのため、この時間の再投稿になってしまいました。大変申し訳ありませんでした。

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