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魔術大会 二年生 ②

来ていただいてありがとうございます!




「オスカー王子殿下?」


どうしているの?混乱していたらノエル君が来てそっと耳打ちしてくれた。


「また視察だって。突然決まったんだ。学園内を見て回るって言ってたけど真っ先にここへ来るなんて」

ノエル君がちらりとオスカー王子殿下を睨んだ。

「一緒に挨拶に行こう」

ノエル君に促されてみんなでご挨拶に行った。お父様とお母様も緊張気味でご挨拶してる。


王子様って暇なの?そんなに何度も視察する意味あるのかな。あ、それともまたメイベルさんに会いに来たとか?それなら仕方ないのかな。


「緊張しますね」

ジョゼちゃんの顔がこわばってる。私も緊張してきてる。でも一応私が発案者でリーダーだから気合いをれないと!

「そうですね。でも最後ですから頑張りましょう!大丈夫です。午前中もちゃんとできましたし、練習通りにやれば」

頷くジョゼちゃん。メイベルさんはというと、

「はあ、大勢引き連れて……」

邪魔だと言わんばかりにとてもしらけた目で見てる。メイベルさんって結構大物?


実際オスカー王子殿下にはたくさん女子生徒がついて来ていて、全員は教室に入れなかった。入れなかった生徒達からは不満がもれた。だけど元々私達の発表を見に来てくれたわけじゃなかったから、オスカー王子がにっこり笑って

「ちょっと待っててね」

って言ったらすぐに教室から全員出て行ってくれた。なんだかなぁ。


最初からいてくれたノエル君とうちの両親と数人の生徒達、そしてオスカー王子殿下とその従者の人達で小さな教室はいっぱい。元々そんなに人が集まる想定はしてなかったから、ちょっとびっくり……。

「ちょっとやりずらい……」

「ルミリエ、大丈夫?」

ノエル君はまたちらっとオスカー王子殿下を睨んだ。

「うん。これで発表は終わりだし、もう少し頑張るね」





「では、始めます」

ジョゼちゃんの声掛けの後に明かりが消され、メイベルさんが魔力を流した魔術道具から綺麗な音楽が流れ始めた。中央に向くように円形に並べられた椅子。その中心に座った私がイメージを上方空間に映し出す。人間投影機だね。



始めは青空に小さな家。小人の姿は敢えて映さずに小さな小鳥と一緒に出発。

「ある日小人は旅にでました」

メイベルさんのナレーションと音楽とともにお話が進む。


「ほう」

誰かの感嘆の声が聞こえる。嬉しいけど、集中しなきゃ。頑張れ私!


様々な国を旅する小人の物語。


「あ、これって」

「うん、あの絵本の……」

っていう声が聞こえた。分かってもらえたみたい。やっぱり絵本を題材にして良かった。



船が嵐に遭う場面では、ちょっとした悲鳴が起こった。海の上での嵐は前世も今も経験が無い。でも前世で台風とかのニュース映像を見たことや今世で色々空想して楽しんできた経験が合わさって、迫力のある映像ができたと思う。


鳥の国の演出では無数の鳥の羽が舞っただけじゃなくて、今度は大きな火の鳥が飛び回った!歓声が上がって私も思わず見惚れちゃった。危うく映像を途切れさせてしまうところだったよ。危なかった……。それにしてもジョゼちゃんの進化が凄い。練習の時にはこんな演出無かったんだ。


また星空の下の我が家に戻って来たところで、部屋の中が全て宇宙空間みたいになり、ジョゼちゃんの流星が流れて上映はおしまい。


「小人は旅を終えて無事に懐かしい我が家へ帰ってきました」

メイベルさんのナレーションの後、部屋の明かりがついて無事に二回目の発表が終わった。


「素晴らしかったよ」

オスカー王子殿下の声がかかり、小さな拍手が起こった。私達は顔を見合わせて笑い合った。ノエル君は私の肩を叩いて労ってくれた。

「頑張ったね。リハーサルの時より良くなってた」

実はノエル君にはリハーサルを見てもらって、注意点とかをアドバイスしてもらったんだ。結局助けて貰っちゃった。一人で何かをやるのは難しいなぁ。


「ルミリエ、素晴らしかったわ!」

お母様が声をかけてくれた。お父様も後ろにいる。

「お母様、ありがとうございます」

「お父様からの最初のプレゼントの絵本が題材なのね」

「え?あれってお父様からのプレゼントだったんですか?知らないうちに枕元に置いてあったのでてっきりお母様からだと……」

「まあ、お父様は何も仰らなかったのね、もう!もしかして今までも枕元にプレセントを置くだけでしたの?」

そう言ってお父様を睨むお母様。え?じゃあ今まで置いてあったのって全部お父様のくれたもの?何で無言で?ずっとサンタクロース状態だったの?


「お父様、今更ですがありがとうございました。私、子供の頃あの絵本が一番好きだったんですよ」

「…………そうか」

「まあ、それだけですの?嬉しいくせに。もっと笑うなりなさればよろしいのに」

「仕事があるから、これで失礼するよ」

コホンと咳払いした後、お父様は少しだけ笑って部屋を出て行った。お母様も後を追って行った。

「お父様ってもしかして照れ屋さん?」

「そうかもしれないね」

ノエル君が隣でくすっと笑った。




「やっと終わりましたね」

ホッとしたようなジョゼちゃんの顔。

「ええ。ジョゼさんの火の鳥すごかったです!ありがとうございました」

メイベルさんはオスカー王子に捕まってる。顔には出してないけど早く離れたそうな雰囲気が伝わってくる。私とジョゼちゃんは片付けを始めた。ノエル君も手伝ってくれたからすぐに終わせることができた。


これで明日からは他の人の発表を見たり、明後日の最終日の魔術戦闘大会でノエル君を応援したりするだけ。やったー。楽しみにしてたんだよね。











ここまでお読みいただいてありがとうございます!

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