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ミッションコンプリート?

来ていただいてありがとうございます!



「それで、ベルナールとはどうやって仲良くなったのよ?あの子結構フラフラしてる感じでずっと心配だったのよ?」

「え?ああ、まあ、それは……」

リンジー様は言葉を濁してたけど、そこは私もとても気になってるんだけど!


何とかアマーリエ王女殿下が聞き出したことには、もうずっと以前からベルナール殿下はリンジー様の気持ちを待ってたみたい。でも他国のお姫様との縁談話が来てしまって、焦ったベルナール殿下がリンジー様に返事を急いでもらったそう。リンジー様は王室に入る自信が無かったんだけど、ベルナール殿下を取られたくないって強く思ったそう。


うー!恋愛話、いいよねぇ。メイベルさんはちょっと困ってたけど。

「私なんかがこのようなお話をお聞きしてもいいんでしょうか……」

って。

「そんな風に思わないで。貴女もルミリエも我が王国にとっては貴重な人材だもの。まあ、よそで吹聴されては困るけれど、貴女方はそんなことはなさらないでしょう?」

「はい。もちろんです」

「もったいないお言葉ありがとうございます」


アマーリエ王女殿下はメイベルさんと私を信じてくれてるみたい。それにメイベルさんはすごい治癒魔術師だから一応オスカー王子殿下の顔を立てて交渉を許してるけど、本当なら他国へ行ってほしくはないんだろうな。

「そうそう!ルミリエのデザインしてくれたドレス!評判がいいのよ!」

アマーリエ王女殿下に褒めてもらえた。

「また頼みたいわ!それに他にもルミリエにドレスのデザインを頼みたいって方がいらっしゃるのよ。今度紹介するわね」

リンジー様にはお仕事を持ってきてもらえた。

「ありがとうございます。お二人とも。とても光栄です!」

もしかして私お金を稼ぐことが出来るようになるかも?ちょっと嬉しい!


それから夕食までお茶を飲んでお菓子を食べながら主にリンジー様とアマーリエ様のお話を聞いたり、スケッチブックにドレスのデザインを描き起こしたり、楽しい時間を過ごした。……私はさっき元気がなかったノエル君のことが気になっていたんだけど、さすがに中座することはできなかった。




お城(もうお城でいいよね)での夕食、ううん、晩餐は凄く豪華だった。けど凄く緊張して味をほとんど覚えてない……。ああ、勿体ない……。だって使用人の人達がずらーっと並んでて、ずっと監視されてるみたいだったんだもん。前世の記憶が強い私は小市民だから、ちょっと気疲れしちゃったよ。後でちょっと話したらメイベルさんも同じだったって。


その点ノエル君はさすが公爵家令息って感じで堂々としてた。けどやっぱりいつもより元気が無くて、心配だった。食後はこれまた豪華で広い談話室でみんなで歓談になった。ノエル君と話そうとしたんだけど、メイベルさんとオスカー王子がずっと一緒にいたから、なかなか二人だけで話せなかった。


「サフィーリエ様とルミリエ様のことをお聞きしたいです!お二人はどこで出会われたのですか?」


メイベルさんはノエル君に積極的に話しかけてた。オスカー王子もメイベルさんと会話しようと頑張るんだけど、どうもメイベルさんはオスカー王子よりノエル君と話たいみたい。メイベルさんってもしかしてノエル君の事好きだったりするのかな。


「特段に話せることは無いですね。僕達は普通に出会いましたから……」

うーん、あの出会いは普通じゃないと思うんだけど、それを話す訳にもいかないし信じてもらえるとも思わない。ちょっともやもやしたり、ノエル君の相変わらずの塩対応に安心してしまったりと私の感情は忙しかった。結局ノエル君とはゆっくりお話しできずにその場は解散になってしまった。






深夜。


「やっぱり、ノエル君のこと気になる……」

「眠れないの?人間はきちんと寝ないとお肌に悪いんじゃないの?」

「ローズちゃんはどこでそんな知識を仕入れてくるのかな?」

用意された豪華なお部屋の広いベッドの上で私はローズちゃんと小声で会話してた。


「まあ色々よ。それにしても確かにノエルは元気が無かったわね」

「やっぱりローズちゃんもそう思う?」

「ルミリエとイチャイチャできなくて辛いのかもね」

「……それは違うと思うよ?でも病気とかだったらどうしよう……」

思わずふかふかの枕をぎゅっと抱きしめた。


「そんなに心配なら会いに行けばいいわよ」

「ええ?こんな夜中に?さすがにまずいよ」

「誰にも見られなければ大丈夫でしょ。ルミリエの幻影の魔法なら姿を隠せるんじゃない?」

「できるかな?」

ちょっと練習してみたけど、良く分からない。ドレスや服を自分に着せるのは何とかできるんだけど、透明になるのはできなかった……。うーん、なんでもできる訳ではないのかな。


「よく考えたらノエル君の部屋がどこか知らないや」

「真下よ」

「え?そうなの?何で知ってるの?」

「あ、ちょっと散歩してきたから……?」

「?何で疑問形?まあいいや。それなら、ベランダからちょっと様子を見るくらいはできそう」

間取りは多分一緒だよね?

「え?ベランダから行くの?」

「うん。そうと決まれば!今夜は月明かりがあって良かった」


ベランダの手すりにぶら下がって、重さを軽くするイメージで魔法をかけて真下のベランダに静かに着地した。ローズちゃんには周りを見張ってもらってた。

「じゃあ、頑張ってねルミリエ」

そういうとローズちゃんは飛んで行ってしまった。


「誰だ?」

険しい声がして、部屋に続くガラス戸が開いた。

「ノエル君、こんばんは」

私は敵意無しの意味を込めて両手を上げて振ってみた。たぶん月明りの逆光で見えないよね。

「……っルミリエ?」

ちなみにここまで全て小声。


「どうして、いや、どうやって?」

ノエル君は周囲を見回して私を部屋の中に入れてくれた。

「ちょっと上の部屋から魔法で来てみたんだ。ローズちゃんがノエル君のお部屋が真下だって教えてくれたの」

「……ローズ」

ノエル君が額を押えてる。呆れられてしまった……。


「あの、ごめんねこんな夜遅くに。今日、ノエル君元気が無かったみたいで心配で……」

「…………」

「だからちょっと様子を見たら帰ろうと思ってて、すぐ帰るから」

そう言って戻ろうとした私は後ろから抱きしめられた。

「ノエル君?」

「…………はあ、ずっと我慢してたのに。さすがに、ここじゃって。すぐにうちに連れて帰りたかった……。姉様とリンジーに取られて悔しくてさ……」

「ノ、ノエル君……?」

なんか肩の所で呟いてる。やっぱりノエル君疲れてる?




『膝枕でもしてあげたら?』


ローズちゃんの言葉が脳裏に浮かぶ。



私は意を決してノエル君の両手を握った。そのままベッドに連れて行って二人で座った。

「ルッ、ルミリエ?」

ノエル君が凄く戸惑ってるのが分かる。声が裏返ってる。そうでしょうとも!私もかなり恥ずかしいんだ。

「あ、あの、ノエル君ここへどうぞ!」

「?」

私は隣に座ったノエル君の肩を掴んで私の膝にノエル君の頭をのせた。うわあ、恥ずかしい。

「ル、ミリエ……?」

「あの、ノエル君凄く疲れてるみたいだから……。ちょっと横になった方がいいかなって。それで、あの……」

「…………」

「い、嫌だったら……」

「嫌じゃない……」

「え?」

ノエル君の体から力が抜けた。と思ったら寝息をたてはじめた。



「ノエル君?……寝ちゃった?ノエル君の髪、綺麗……」


私はそっと頭を撫でた。ミッションコンプリート?かな。





ここまでお読みいただいてありがとうございます!

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