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ローズの提案

来ていただいてありがとうございます!




初夏の舞踏会以来ノエル君が落ち込んでる。たぶん他の人にはそう見えないと思うんだけど。



でも正直に言っちゃうと、ノエル君は心配しすぎてる気がするんだ。


前のお茶会の時の私への態度を見るに、オスカー王子殿下は私に恋愛的な(そういう)興味は無いと思う(断言)。どう見てもオスカー王子殿下はメイベルさんに興味津々だったし、そもそも私がそんなにモテる訳が無い!自分で言ってて悲しいけど。


それに、こちらの世界での肌感覚でも婚約者のいる隣国の貴族令嬢に横恋慕とかってあり得ないと思うんだ。ノエル君は王家とも関係が良好な公爵家の令息だし、下手をすれば外交問題になるようなことを一国の王子様がするとは思えない。


「だから、そういう心配は要らないと思うんだよね。うん。だから気にするとすればもう一つの方!」

「さっきから、一人でなにブツブツ言ってるの?ルミリエ」

「あ、ローズちゃんお帰りなさい!もうすぐ夕食だね。今夜はお父様とお母さまは観劇の予定だから、一緒にお部屋で食べようね」


開かれた窓から私の部屋へ戻って来たローズちゃん。少し暗くなってきた空を背景にふんわりしたローズちゃんの薄紅色の光が綺麗。そういえばいつもどこを空中散歩してるんだろう?


「今日は何処へ行ってたの?ローズちゃん」

「今日は仲間のいる公園を見つけたの。ちょっと話をして来たわ」

「へえ!そうなんだ!私も会ってみたいな」

やっぱりこの世界には他にも精霊がいるんだ!どんなコなんだろう?

「うーん、そのコは人間嫌いみたいだから難しいかも」

腕を組んで難しい顔のローズちゃん。精霊にも色々なコがいるんだね。

「そうなんだ、それは残念……」


「……それよりさっきはなに一人で呟いてたの?課題は良いの?」

「ちゃんとやってるよ。……実はこの前の舞踏会の時の……」

私は自室の机の上に広げた本を閉じた。本当を言うとちょっと手に着かなかったんだ。

「ああ、オスカーって人間のこと?」

ローズちゃんが魔法道具のランプの上に腰かけた。私も座って机に頬杖をついた。

「そうなの。ノエル君がすごく心配してて」

「どうせやきもちでしょ。ルミリエの気持ちが変わらないのなら心配は要らないわよ」

「やきもち……。そっちは心配要らないと思うんだ。王子様は私にはそういう興味は無いと思うから」

「そうなの?」

「うん。だって他にも綺麗なご令嬢はたくさんいる訳だし、特に私を選ぶことは無いと思うんだよね」

「…………」


「問題なのは、私の魔術っていうか、魔法の方かなって思ってるんだ。ローズちゃんの事も見えてたし、なんか見える感じの人なのかなって」

「みえる?」

「うん。魔力とか?」

「ああ、そういうこと」

「私の魔法ってなんか特殊みたいだし、灰の王国でも魔物の出現があるって仰ってたし、()()かなって思ったんだ」

「あれ?」

「えっと、スカウト?人材確保?みたいな?」

「ああ、ルミリエの能力が欲しいってことね」

「そうそう!そっち方面かなって思ったんだ」


「そうね……ルミリエの魔力は深いからねぇ」

「深い、の?」

「うん。それに心地いいかな」

「そう、なの?」

「うん。害が無さそうっていうか、澄んだ波動を感じるわ。だから私は目覚めてみようかなって思ったのよね」

そうだったんだ。これって褒められてるよね?なんか照れちゃうな。



お部屋に夕食を運んでもらって、ローズちゃんと一緒にテーブルを囲んだ。ノエル君からもらった小さな食器のセットを出してローズちゃんように少し取り分けて楽しい夕食が始まった。


「私とローズちゃんは友達だよね?」

「……急にどうしたの?」

「オスカー王子が言ってたの。私が精霊を従えてるって。ノエル君が違うって言ったら、驚いてた。精霊って従えるものじゃないよね?」

冷製のポタージュスープはほのかに野菜の甘みがして美味しい。作るのはちょっと大変だけど私はポタージュスープが大好き。


「契約ね」

「契約?」

「ええ。魔力のある人間は私達精霊と契約を結べば、より強い魔法を使うことができるのよ」

「あ、シモン様が前に言ってた気がする。精霊魔法だっけ?」

「そう。まあ、契約を結ぶにはまず私達が見えないと始まらないけど」

「誰にでもできる訳じゃない?」

「そういうことね。どこにでもより大きな力を求める人間はいるわ。それを悪いことに使いたがる人間も。私達の力を欲しがる人間もいるでしょうね」

小さく切った香ばしいパンをさらに小さくちぎってから、ローズちゃんはそれを口に運んだ。


「大きな力で出来ること……。世界征服とかかな?うわぁ全然興味無いや……。面倒そう」

「ふふふふ……」

「どうしたの?ローズちゃん。何かおかしかった?」

「ううん。なんでもないわ。そんなことより、ノエルが落ち込んでるんでしょう?思いっきり甘やかして慰めてあげたら?」

「甘やかす……。慰める……」

食後のデザートの小さなチョコのケーキを見ながら考え込んでしまう。


「疲れてるみたいだったし、膝枕でもして寝かせてあげたら?」

「…………ええええぇっっ!そ、それはハードルが高いんですがっ?」

この精霊さん、今サラッと凄いこと言った!なんでそんな、膝枕なんて言葉知ってるの?!

「恋人で婚約者でしょ?それくらいはいいじゃない。みんなやってるわよ?」

「どこのどの辺りで?!私見たこと無いんだけど?」

ローズちゃんはよく街へ行くけど、街でなの?ほんとにみんなそんなことしてるの?!



ひざまくら……。自分から?どうしよう、できるかな?










ここまでお読みいただいてありがとうございます!

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