第六話 真白先生と支配人さんの秘密の時間
「真白さんのコレって、私が今まで見たことある中で一番太いかもしれないです」
「そんなにたくさん見てるんですか?」
「たくさんではないと思いますけど、それなりには見てると思いますよ。私も結構いい年なんで」
「そうは見えないですけどね。楓さんは支配人というよりも、アイドルなんじゃないかなって思ったくらいですし」
「真白さんはお上手ですね。でも、私はもうアイドルにはなれないと思いますよ。本当だったらもう少し長くやっていたかったなって思うんですけど、うちの事務所って人気のないアイドルは二十五歳で定年になっちゃうんです。他の事務所に移籍出来ればアイドルを続けることも出来たんでしょうけど、私にはアイドル活動よりも裏方の方があってるんじゃないかなって思ったりもしたんです」
「楓さんもあのステージで歌ったり踊ったりしてたんですか?」
「ここのステージはうちの社長が買い取る前に何回か立ったことありますけど、今みたいに幽霊を見たとか感じるってのは聞いたことも無かったですよ」
「じゃあ、この後少しだけ一緒にステージに立ってみますか。舞台に立つことで何かわかることがあるかもしれないですからね」
「そうですね。あの噂通り真白さんの精液を飲んだら今までと違うものが見えるようになるかもしれないですもんね」
「そういう意味じゃなくて、もう一度アイドルとしてステージに立ってみたらどうかなって」
「それはもう無理ですよ。アイドルをやるには私にはもう若さが足りないですからね」
真白先生は支配人さんの頬を優しく撫でながらそう言うと、二人は少しだけ見つめ合ったまま時が止まったかのように動かなかった。
「こうして触ってるだけでも真白さんの熱さが伝わってきますよ。では失礼しますね」