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除霊の代金は体で支払ってもらうので気にしないでください  作者: 釧路太郎
離島編

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第十五話 エッチの前に真白先生がしたいこと

 風も無く天気もいいこんな日は絶好の仕事日和ってやつなんでしょうね。伝八さんをはじめとする男性の皆さんはもちろん、島にいる女性の皆さんもほとんどが加工場へと行ってしまいました。

 いま私たちがいる亀島に残っているのは数名のご高齢の方とその看護をしている方を除けば真白先生と忍さんくらいしかいないことになるんです。

 昨日の晩にあれだけの量のお酒を飲んでいたというのに、誰も二日酔いになっておらず意気揚々と船に乗り込んでいく姿を見て私は驚いてしまったのですが、忍さんに言わせるとあれくらいの量だったら飲んだうちに入らないと言われているそうです。

 朝ご飯を食べ終えて忍さんが掃除や洗濯をしている時間帯に真白先生はなぜか島内を散歩してくると言って忍さんの家を出て行きました。

 それほど大きくない島で自然も多い場所であるため、普通の人間であれば歩いて行ける範囲なんて限られているのであっという間に散策も終わってしまうのですが、真白先生は何かを確かめるかのように辺りを見回しながら歩いていたのでした。

「どうだ、ヒナミは誰かに見られているような感じはしたか?」

『そう言うのは感じなかったですけど。もしかして、真白先生は覗きとか警戒してるって事ですか?』

 昨日から忍さんにエッチをしようと誘われているから真白先生は誰かに見られたりしないように警戒してるって事ですかね。いつもは堂々と私に見せてくるって言うのに、知らない人に見られるのってやっぱり嫌なもんなんですね。世の中には人に見せるのが好きな人もいるみたいですけど、真白先生がそう言った感じじゃなくて良かったと思います。私がいつかお相手をする時に他の人に見られるなんて嫌ですからね。

「覗きとは違うんだけど、この島もあっちの島も静かすぎるんだよな。何か隠してるんじゃないかって思うくらいに静かなんだよ」

『この島は車も無いみたいですからね。港にとまってるトラックもほとんど使ってないみたいですよ』

「そう言うことじゃなくてさ、これだけの人が生活をしていて幽霊が一人もいないってのは変だと思わないか?」

『そう言われてみたらそうですね。あっちの島にいた水神様を除けばみんな生きてる人だけでしたもんね。お墓もお寺も無いって場所は今までも見たことありましたけど』

「竹下さんの家には祭壇があったんだけどさ、どの家にも仏壇ってなかったと思うんだよ。宗教的な理由で仏壇を置かないって事もあるかもしれないけどさ、これだけ老人の多いところだと何か不自然な気がするんだよな。それに、飾ってある遺影の写真がどれも最近のモノのように感じちゃうんだよ。ヒナミはそれを見て何か感じたりしなかった?」

『私は特に何も感じなかったですね。仏壇とか写真とかそう言ったものがあるかないかも気付かなかったですし、私以外に幽霊がいないってのも言われるまで気にしてなかったですよ。私は自分からあんまり話しかけたりするタイプじゃないんで他に幽霊さんがいてもいなくても気にしてないんですよね』

「その割には今まで危ない時には色々と助けてもらったりもしてたと思うけど」

『それはそうですよ。だって、悪意を向けてくる相手に気付かないとかないですよ。私は真白先生の力になるために一緒にいるんですからね。だから、あんまり変な事をしてる姿を私に見せたりしないでくださいね』

「変な姿って。俺は一人でしてるところをヒナミに見せた事ないと思うけどな」

『もう、そう言うことじゃないですって』

 真白先生は意識的にやっている事ではないと思うけど、私に見せつけるようにエッチをしていると思えるところがある。ちゃんと見ていない私にもわかるように言葉で説明することもあるのだけれど、そんな事をしなくても音だけで何となく想像できるようになっているんでハッキリと認識できるような事は言わないでもらいたいというのが私の本音なのだ。

 今から忍さんの家に帰ってお昼ご飯を食べるんだと思うけど、その後にダラダラと過ごして時間が過ぎて伝八さん達が帰ってくれば真白先生と忍さんのエッチを見なくて済むのになとか考えていたのだ。私は別に真白先生が誰かとエッチをする事に否定的なわけではないのだけれど、私に見せつけるようにするのはどうかと思うだけなのだ。


「おかえりなさい。鵜崎先生は何か面白いものでも見つけられましたか?」

「特にこれと言って何も見つからなかったかな。それにしても、この島は静かなところだよね」

「そうなんですよね。夜に宴会をしてる時くらいしか騒々しい時ってないんですよ。夏でもあまり虫の声が聞こえない位に静かなんで、たまに他の場所に言ってみると色々な音がしてビックリしますもん。この島は不便なところも多いって思いますけど、逆にそう言うところがいいところなのかもなって思いますよ」

「そうだね。この島は何も無いってのがいいところなのかもね。でも、不思議なことに幽霊も全然いないんだよね」

「それって、昼間だから隠れてるとかじゃないんですか?」

「そう言うわけでもないんだよね。昼間だと普通の人は認識しづらいってだけで、ちゃんと見たらその辺にもいるみたいだよ。ほら、ヒナミは幽霊なのに日中でも普通に見えてるでしょ?」

「本当ですね。僕は幽霊って夜にしか見えないもんだと思ってましたよ。でも、ヒナミさんは幽霊なのにこんなにハッキリと見えるんですね」

 忍さんは私に向かって笑顔を見せながら小さく手を振ってくれていた。私もそれに答えるように手を振り返しただけれど、忍さんはそのまま真白先生の方に顔を向けたのだ。少しだけ視線を外して照れている感じで真白先生の方を向いているのだけれど、何となくこの感じはよくなことが起きる前兆のように思えていた。

「あの、お掃除と洗濯をしていたらちょっと汗をかいちゃいまして、僕はお風呂に入っちゃったんですけど、鵜崎先生もお散歩をして汗をかいたと思うんで、お風呂に入りますか?」

「……そうだね。ちょっと汗もかいたからお風呂に入ろうかな」

 やっぱり、良くない予感って外れることの方が少ないんですよね。

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