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除霊の代金は体で支払ってもらうので気にしないでください  作者: 釧路太郎
離島編

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第四話 鳥島を見てみる

 忍さんと伝八さんと一緒に二階にあるベランダから鳥島を見ることにしたのだけれど、さすがにこの距離からだと誰かがいるのかなんてわかるはずも無かった。真白先生たちは双眼鏡を使って見ているようなのだけれど、私にはそう言ったものを使うことが出来ないので見える景色は何も変わらなかった。

 真白先生がベランダの柵に双眼鏡を固定しておいてくれていたのでそこから覗いてみたのだけれど、私に見えるのは青く澄んだ空間だけであって、双眼鏡が向いている方向にある鳥島の様子を見ることは出来なかった。

『双眼鏡を覗いてみたんですけど、私には何も見えないみたいです。伝八さん以外に幽霊を目撃してる人っているんですかね?』

「伝八さん達以外に鳥島にいる幽霊を目撃した人っているんですか?」

 私の代わりに真白先生が質問をしてくれたのだけれど、その質問を聞いて忍さんと伝八さんは顔を見合わせていた。困っている様子ではないのだけれど、その表情は今さら何を言っているんだという感じにも見えていた。

「僕はまだ見た事ないけど、この島の人はみんな鳥島にいる幽霊を目撃しているんですよ。じいちゃんが見る前に島のほとんどの人が漁の帰りに目撃してるんです。じいちゃんは昔からわき見とかしないで真っすぐに帰って来てたんで見てなかっただけだと思うんですけどね」

「船を動かしている時に脇見なんてするわけないだろ。それによ、他のやつらは幽霊の姿を見たって言っても正面からハッキリと見たわけじゃなくて、横目で何かいるのが見えたから二度見したのに何も見えなかったってパターンだろ」

「じいちゃんがもっと早く気付いていれば鵜崎先生を呼ぶのももう少し早くなってたかもしれないのにね」

「鵜崎先生に来てもらったことでばあさんや美穂子が家に帰ってこれるかもしれないもんな」

「家に帰ってくるって、どういう意味ですか?」

「どういう意味って、もうすぐお盆になるんだから帰ってくるもんだろ。それとも何かい、本当はお盆になっても帰ってくることは無いって事なのかい?」

「いや、そう言うわけじゃないですけど、お盆に帰ってくるのとあの島で目撃されているのって関係ないと思うんですよね。例えばですけど、近くにずっといる状態からこの家に帰ってくるのとあっちの世界からこの家に帰ってくるのって何も変わらないんですよ。幽霊にとって今いる場所とかそんなに関係ないみたいですからね。極端な話、地獄にさえいなければ何の気兼ねも無くお盆に帰ってくることも出来ると思いますよ」

「それならいいんだけど、なんでばあさんや美穂子は鳥島に居るんだろ?」

 そこは私も気になっている。私は真白先生の側から離れることが出来なくて同じ空間にいないといけないという決まりがあるのだけれど、その時に余程の因縁でもない限りは幽霊であればある程度自由に行動することも出来るはずなのだ。この島ではないけど、海の上をスーッと進んでいく幽霊さんを見たこともあるし、私みたいに制約のない幽霊さんだったら近くを通りかかった船に乗ることだってできると思う。それをしないという事は、あの島に居なくてはいけない理由か離れられない理由があるのだろう。

 私はどうしてあの島にいる幽霊さん達が外へ出ようとしていないのか気になっていたのだった。

『幽霊さんがお二人の家族の方なのかははっきりとわかりませんが、どうしてあの島から出ないのか気になっちゃいます。真白先生はあの島に行くんですか?』

「ちなみになんですが、私があの島に渡る方法ってあったりしますか?」

「鵜崎先生を鳥島に送る方法ならありますけど、鵜崎先生は手扱きボートを動かしたことってありますか?」

「高校生の時に一回か二回くらいなら乗った経験ありますよ。それがどうかしたんですか?」

「鳥島に渡るためには船で直接渡るのが一番早いんですけど、今はまだその時期ではないんですよね。水位が低いので漁船で向かおうとすると岩礁地帯なんで船底を岩に擦ったりしてしまうんですよ。そうなると、他の方法でって事になるんですが、泳いでいくにはあまりにも危険すぎるし、飛行機やヘリで向かうにしても着陸できる場所なんてないんです。そこで役に立つのが、避難用に確保している手扱きボートを使って上陸するってのがこの時期のやり方なんですよ。そんなわけで、忍が鵜崎先生を連れて行ってあげなさい」

 真白先生がボートに乗っているところなんて想像もつかないのだけれど、あの島に行くために一番手っ取り早くて安全な方法がボートを漕いで直接向かって事なんだって。でも、真白先生と忍さんが二人でボートに乗るのって危険じゃないかな。何かが起きるはずなんて無いのは知っているけど、サメがうようよいる海域を手扱きのボートで進んでいくというのは中々に狂っていると思えるのだ。

「それって、僕もあの島に言っていいって事なのかな?」

「別に今までだってダメだったわけじゃないからな。じいちゃんも忍くらいの時は鳥島で釣りとかしてたもんだからな。サメだって昔はあんなにたくさんいなかったからな。それが無ければもっと気軽に鳥島まで行けそうな気がするんだよな。そう言うことですので、鵜崎先生は忍の事もよろしくお願いしますよ」

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