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除霊の代金は体で支払ってもらうので気にしないでください  作者: 釧路太郎
アイドル編

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第二十七話 紗雪さんがいれば何も問題なんてないんです

 鵜崎家の力の本質を見た。三体いるという悪の親玉みたいな幽霊たちは紗雪さんに触れられただけで成仏していったのだ。それにつられる形で何体かの幽霊さん達も天に召されて言ったのだが、あまりにも自然すぎる動きを取る紗雪さんが何をしていたのかさっぱり理解する事は出来なかったのだ。

「じゃあ、ここの問題はもう片付いたし、帰ろうか」

「え、もう解決したんですか?」

「うん、霊感がある子がいるんなら聞いて欲しいんだけど、この部屋というか建物から変な感じは出てないかな?」

 明里さんは仲間だけではなく見に来てくれているファンの人達にもここの雰囲気が少し変化したのではないかという事を聞いて回っていた。思っているよりも霊感のある人が何人もいるわけではないのだろうけれど,何となく前よりは空気が軽くなったような気がすると言っていたのだ。

 明里さんはそのままここを離れてスタッフさん達にも聞きに行っていたみたいなのだけれど、明里さんが期待していたような答えは返ってきてないようである。

「意外なんですけど、私が質問をする前にここの空気が明るく澄んでいるように感じたって言ってもらえたんだよ。力が強い人はそう言うところも敏感に感じ取っちゃうって事なのかな」

「無意識のうちに感じ取ってるって可能性もあるかもね。あたしも小さい時は感じているのか感じさせられているのかわからなかったけど、今はその違いも関係無いってくらいバシバシ見えてるからね。ほっといても何とも無さそうな感じではあったけどさ、あの幽霊たちのせいで開催できなくなっても困るもんね」

「そうなんですよ。今もこうして熱心に通ってくれる人たちがいるからいいんですけど、本音を言えばもう少し新規の方にも見てもらいたいなって思いますよ」

「それならもう大丈夫だよ。あたしがちゃんと解決しといたからね。お兄ちゃんが迷惑かけたったお詫びって事で許してね。じゃあ、あたしはこれで帰るね。お兄ちゃんも行くよ」

 紗雪さんはみんなに向かって律儀に頭を下げていたのだけれど、真白先生もそれに合わせるかのように頭を下げて回っていた。明里さん以外にも私達が呼ばれた理由を知っている子もいるのだろうけど、真白先生と紗雪さんが帰り支度をしている事に気付いた子は問題が解決したんだという事を一瞬で理解したようだ。

「そうそう、今回はお代金頂かないので社長さんが戻られたらお伝えください。支配人さんの方が戻るの早ければそちらでも構いませんので」


 何事も無かったかのように紗雪さんは真白先生の家に上がり込んだのだが、部屋の惨状を見た紗雪さんは心の底から軽蔑しているようなまなざしを真白先生に向けて送っていた。

「ここはお兄ちゃん住んでいる部屋だからあたしは文句を言う義理も無いんだけどさ、さすがにこの状態のまま出て行くのはどうかと思うよ。ほら、空気も澱んじゃってるし、何よりもその辺に無造作に捨てられているティッシュのゴミが汚すぎる。この状況をママが見たらお兄ちゃんの事を指導しちゃうかもしれないよ」

「今日はちょっと朝からバタついてからね。ほら、楓さんも体調悪そうだったみたいだし」

「お兄ちゃん。お兄ちゃんは支配人さんが体調悪いなんて気付いていなかったでしょ。嘘は良くないと思うな。あと、ヒナミちゃんもこんな部屋で一緒にいたくないってちゃんと言った方が良いよ。窓は開けれないんで仕方ないと思うけど、空気を循環させるなり感染を回すなりはしておこうよ。あたしはお兄ちゃんがこの部屋でとんでもない幽霊を呼び寄せるんじゃないかって心配してるからね」

「さすがにそんな事にはならないと思うけど」

「物の例えだよ。でも、そんなお兄ちゃんに嬉しい報せと悲しい報せが有ります。どっちから聞きたいかな?」

「えっと、その二つなら悲しい方かな」

「じゃーん、お兄ちゃんは明日からヒナミちゃんと二人で離島に行ってもらいます。離島って言っても無人島じゃないんで安心してね。人口は三百人くらいって言ってたけど、島で働いている人のほとんどは船に乗って外に出てるから実際に住んでるのはそんなに多くないかもしれないよ」

「なんで急にそんな事になってるの?」

「なんでって、お兄ちゃんが失敗しちゃったからでしょ。もう一日遅かったら支配人さんが大変なことになってたかもしれないんだよ。今は叔母さん達が支配人さんの事を見ててくれてるから大丈夫だけど、あんまりヒナミちゃんにも迷惑かけちゃダメだからね」

 私に触れることで支配人さんの元気を奪っていたという事は知らなかった。そもそも、私に触れることが出来る人がいてもそんな風にはなっていなかった。私に触れていた人達がみんな鵜崎家の人だったという事もやはりあるのだろうが、私に触れるという事はそれだけで大変な事なのだと認識させられた。

「じゃあ、嬉しい報せの方も発表しちゃいます。なんと、お兄ちゃんたちがこれから向かう島には若い女性は一人もいません。若い女性はみんな外に働きに出てるので誰もいません。いるのはおばあちゃんと子供だけです。良かったねお兄ちゃん」

 紗雪さんは嬉しそうにそう言うと、私の方を向いてウインクをしてくれていた。体の小さな紗雪さんがそんな事をしてくれるなんて可愛らしすぎて抱きしめたいって思ってしまったけど、私が触れてしまうと大変なことになりそうだったので諦めることにした。

 それにしても、次の行き先は離島なのか。離島がどんなところかわからないけど、真白先生と一緒に外に行けるのは素直に嬉しかった。私は幽霊なので手ぶらで大丈夫なのだけれど、今から真白先生と一緒に真白先生の荷物をまとめるのは楽しみであった。

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