第二十二話 新しい朝
真白先生が頼まれていたのは楓さんとエッチをして楓さんの能力を目覚めさせるという事ではなく、あの劇場で起こっている心霊現象を解決する事なのだ。
楓さんはここ数時間のうちに真白先生の精液をその身に浴びて霊能力が開花したようなのだが、それはあくまで結果論であって真白先生の精液を飲んだからと言って誰でも幽霊が見えるようになると言ったものではないと思う。
むしろ、なんでそんな事で霊能力が開花してしまったのかという事の方が謎だと思うのだ。本当にそんな事で能力が開花するのだとしたら、今まで真白先生がエッチな事をしてきた人達全員が霊感に目覚めて幽霊が見えるようになっていないとおかしいのだ。もしも、本当に真白先生の精液にそんな力があるのだとしたら、私はもっと多くの人に認知されて噂になっているべきだと思う。有名になりたいとかそう言うことではなくて、私が見える人と会話を楽しみたい。ただそう思っているだけなのだ。
今も私の目の前で真白先生と楓さんは今日何回目かわからない回数のエッチをしているのだ。楓さんは真白先生の上にのってみたり、真白先生を背後に立たせて後ろから挿入されたりしているのだ。もう二人は私が見ている事なんて関係ないと言わんばかりに二人の世界へと没頭してしまっているのだ。
私としてはそれでもいいと思うのだけれど、私の手を掴んでいる楓さんの力が最初よりも強くなっている事と、楓さんが私の手を離そうとしないので真白先生に突かれるたびに私にもその動きが伝わってくるというのが気になるところなのである。
真白先生は精も根も尽き果てたといった感じで横になっているのだけれど、楓さんは真白先生よりは体力が残っているようだ。さっきまでとは違ってゆったりとした時間が流れているようなのだが、相変わらず楓さんは私の腕を掴んだまま離そうとはしなかった。
「ヒナミちゃんって、自分が幽霊だから他の幽霊も普通に見えたりするの?」
『そうですよ。でも、見えないように隠れている幽霊さんは見えないことが多いですね。見えないように隠れている幽霊は恥ずかしがり屋か悪いことを考えている幽霊だったりしますね。真白先生には見えてないみたいなんで気にはしてないんですけど、真白先生に悪意を向けてくる幽霊がいたら報告はしてますね』
「悪意を向けてくる幽霊って、劇場にもいたりした?」
『あそこに集まってるのは単純に皆さんが歌って踊っているところを見たいって幽霊さん達ばかりだと思いますよ。好奇心って言うよりも、光に集まる虫みたいな感じで楽しそうなところに惹かれる習性みたいなもんですね』
「じゃあ、劇場にいる幽霊に関しては害が無いって事でいいのかな?」
『そうとも言い切れないんですよね。無害とはいえ幽霊さんが多く一定の場所に集まってしまうと、その空間が人間よりも幽霊とって過ごしやすい空間になってしまうんですよ。ほら、楓さんのところもだんだんとお客さんが減ってきたって言ってたと思いますし、アイドルの子の中にもあの場所に不安を覚える人もいたと思うんですよね』
楓さんは私の話を熱心に聞いてくれている。無害な幽霊であれば多少客が減ったとしても気にしないでおこうと思ってそうなのだが、それは人間の世界にとって良くない事の始まりになってしまう可能性があるのだ。
「劇場にいる幽霊が無害だったらそのままにしてても大丈夫そうだけど、何か良くない事でも起きたりするのかな?」
『今すぐってわけじゃないと思うんですけど、幽霊さん達が会の場所にとどまり続けるとあの場所自体があっちの世界に近くなってしまうんですよ。そうなると良くないことがいくつか起こるんですが、一番最悪なのが近くにいる悪霊を呼び寄せてしまう事なんです。そうなってしまうと真白先生の手には負えなくなってしまうんですよ』
「それってマズいよね。で、あとどれくらいの猶予があるのかな?」
『正確にはわからないですけど、劇場にいた女の幽霊の存在がそこまで時間的な猶予が無いという事を表していると思いますよ。来週とか来月とか直近の話ではなく、一年以内に何かが起こるといった感じだと思うんです』
「それってマズい状況に違いないね。でも、なんでその女の幽霊が悪霊と繋がるの?」
『あの女の幽霊が直接悪霊を呼ぶという事ではなく、少しずつ自我を持った幽霊を集めていって、最終的に悪霊を何体も呼び寄せるって事になるんだって聞いてますよ』
「でもさ、私が直接説得なりしてみるのが一番だったのかもしれないね。それが上手くいけば悩むことも無くなるんじゃないかな」
『そう簡単にはモノゴトも前に進まないと思いますよ。今はゆっくり知識と真白先生から与えられたその力を十分に発揮することが出来るようにするのが先決だね。ちゃんと思い通りに行くように努力するって事かな』
「それって、もっと真白先生とエッチをしろってことを言いたいのかな。真白先生のオチンチンって凄く気持ち良くて私も簡単にイかされちゃうんだけど、今日みたいなペースで毎日エッチしてたら真白先生が死んじゃうかもしれないよ。さすがにそれは本末転倒だと思うけど」
『そう言うことじゃないんですけどね。あ、大切な事を教えておきますので忘れないでくださいね。これからしばらくの間は楓さんにも幽霊が見えるようになると思うんですけど、自分から積極的にコミュニケーションを取ろうなんて考えたらダメですからね』
「ええ、せっかく見えるようになったんだったら話しかけた方が面白そうなのに。どうして私から話しかけたらダメなのかな?」
『どうしてって、間違って気にいられちゃったりしたら呪われちゃいますよ。楓さんは幽霊さん達にも好かれそうですし、真白先生の力もあるので多くの幽霊を引きつけそうですからね。そうなると面倒なことになっちゃうと思うので、見えるからとってなんでもちょっかいかけたりしたらダメですよ』
「あんまり積極的の行動していたら、劇場じゃなくて私自身がたまり場になっちゃうって事なのかな。それはちょっと嫌かも」
私の言ってることがちゃんと伝わっているといいなと思いながらも、私は真白先生のモノを手のひらでいじっている楓さんの事を見つめていたのだった。




