side アイシャ
SIDE アイシャ
「プリュド、さっきはああ言ったけど、手加減してね。大怪我させないで」
アイシャだって、レティに怪我をしてほしいわけではないのだ。
実際に戦ったところを見たことはないけれど、レティがそれなりの実力があるんだろうとは思っているし、どの程度なのか見てみたいのは本当だ。でもケガをしてほしいかというと別の話なのだ。
期待と不安がないまぜになった表情でプリュドにそういうと、プリュドは馬鹿にするように鼻で笑った。
「ハン! レティは大丈夫ですの」
「そりゃあ、プリュドならなんでも治せるかもしれないけど……!」
「違いますの。プリュド程度の魔法では、レティをどうにかすることはできませんの」
「えっ⁉」
「いきますの!」
言葉とともにプリュドが放った魔法は、普段アイシャが受けている魔法よりもはるかに強い魔力がこもっていた。
大きさこそ一抱えほどだが、高密度の魔力が内包され、発射速度も恐ろしく高速。
「レティッ!」
思わず声をあげた私は、目の前で繰り広げられたありえない光景に、案山子のように棒立ちになった。
「ちぇすとおーー!」
レティは木の枝を振りぬくと、炎弾を打ち返したのだ。
打ち返された炎弾は、私たちの頭上を越えて、遠く彼方まで吹っ飛んでいった。
プリュドが打ち返したときよりも、さらに早い速度で。
「な、な、な……」
「どんどんいきますの!」
「プ、プリュド⁉ いまあの子、木の枝で打ち返さなかった?」
「うるさいですの。レティなら当り前ですわ」
鬱陶しそうに私に答えながら、プリュドはどんどん炎弾を打ち出していく。
そしてレティはもはや人間とは思えない速さでそれらを弾き飛ばしていた。
「なんで⁉ ていうか、なんで木の枝燃えないの⁉」
「あれがレティの強みですの。自分の魔力を通すことで、そこらの木の枝でもオリハルコンのこん棒並みの強度になりますの。」
「魔力でどうにかなる問題なの⁉ ていうか、魔力を通せばいいなら素手で殴ったほうが強そうなんだけど」
「その通り。アイシャにしては鋭いですの」
「「アイシャにしては」は余計よ!」
ホントに口が悪いわね……とぶつぶつ言っていた隙に、状況はさらにとんでもないことになっていた。
「なにあれ……」
「魔物にあてだしましたの。なめたことしやがりますの」
「余裕綽々ね……」
レティの打った球は、近くにいる魔物から遠く米粒ほどの大きさにしか見えない魔物までクリーンヒットしている。
一撃で倒された魔物であたりは死屍累々である。
その攻撃範囲は上空にまでおよびだし、打ち上げたかと思ったら、数瞬後に空からでかい魔物や鳥が落ちてくる。
「超・危・険!」
「アイシャ、避けなさい! 当たりますの!」
「「あ」」
空からきりもみ回転して落ちてきたのは……シュバルツだった。
「「シュバルツ!」」
プリュドと二人、顔を見合わせると、私たちは急いでレティのもとへと走ったのだった。
短くてすみません^^;




