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買取カウンターのタンゲさん


「レティちゃんは……遊び人(真)ね。遊び人も突っ込みたいけど………………(真)ってなに?」


レティの職業欄には、『遊び人』というほとんど誰も選ばない職業が書いてあった。

冒険者ギルドの職員として、職業差別をするつもりは無い。

無いが、微妙な表情を浮かべているアルとフレッドは、恐らく私と同じ気持ちだろう。

『遊び人』は、攻守ともに中途半端で、どちらかというと支援系の色の強い職業である。

積極的に攻撃に参加するタイプの職業ではないから、二人ともある意味自分の力量というものをわかっているのかもしれない。

しかしさらに疑問なのは、『遊び人』の後についている(真)である。

それなりに長い間、冒険者ギルドの受付に座っているレイラもみたことがない。

いくばくかの沈黙の後、何とか声を発したレイラに、レティも同じく首を傾げていた。


「……さあ?」

「さあって」

「あー、もういいじゃない! プリュドが待ってるのよ。早くしないとまたへそを曲げるわ!」

「あ、あらごめんなさい。それじゃあ、これが二人の冒険者カードよ」


焦れたように急かすアイシャに、レイラは疑問を胸にしまって急いで処理を進める。

確かにずいぶん時間をとらせてしまっていたからだ。


「冒険者ランクはGから始まって、最高はSまで。二人はGランクよ。ランクアップは依頼によって決められたポイントで溜まっていくわ。ギルドのロビーに冒険者の手引きが置いてあるから、良かったら読んでみてね」

「はーい!」

「木のプレートなのね。金とかキラキラのプレートがよかったわ」

「ランクが上がればプレートの材質も良くなっていくわ。頑張ってね」

「「はーい!」」

「素材の買取カウンターは右奥にあるわ。あと、本来はこのカウンターはBランク以上の冒険者用だから、次からは下位ランク用のカウンターでお願いね」

「「はーい!」」


大変良いお返事に、レイラとアル、フレッドはぷっと噴き出した。

成人はしているようだけれど、レイラたちに比べればまだまだ子供である。

買取カウンターの方へと向かう二人の少女を見送りながら、三人は少女たちの今後に幸多からんことを祈るのだった。



買取カウンターにいたのは、片目に黒い眼帯をした、こわもてのおっちゃんだった。

誰かに似ている…と思ったら、某ボクシングの漫画に出てくる「立て、立つんだ!」と叫ぶセコンドのおっちゃんとクリソツである。

おっちゃんの迫力にビビり、アイシャは顔がこわばっている。


「よう、お嬢ちゃんたち。見ない顔だな。買取か?」

「はい! レティと言います。よろしくお願いします!」

「……アイシャです」

「ワシはタンゲだ。買取の責任者をしている。さて、買い取ってほしい素材を出してくれ」

「タ、タンゲ……さん……」


何故だ、何故そんなピンポイントでついてくるんだ。

ま、まさか、某セコンドのおっちゃんの生まれ変わり⁉

衝撃に身をすくませていると、何を勘違いしたのかおっちゃんが照れだした。


「お、その反応は、もしかしてワシの現役時代の勇姿を知っているのか⁉ いや~、ワシも捨てたもんじゃねえな! こんな若いお嬢ちゃんたちが知っているなんて!」

「い、いや……あし、ジョー……もごもご」

「ジョーと組んでたことも知ってるのか⁉ はっは、ワシのファンにこんなところで会えるなんてなあ!」

「ふぁん……」


おっちゃんは強面をにへらとくずし、くねくねと照れている。

ジョーまでいたのか。

ていうかファンじゃないし。

だめだ、もはや何を言っても無駄な気がする。

おっちゃんの強面にびびっていたらしいアイシャも、くねくねしだしたことに緊張がほどけたみたい。

訝し気に私の服をツンツンと引っ張ってきた。


「ねえ、知ってる人?」

「……知らない。なんか疲れたから早く済まそう」


適当な魔物の素材を木のカウンターの上にどさっとのせる。

前にシュバルツが狩ってきてくれた魔物の素材だ。

もちろん、ドラゴンとかベヒーモスとか、騒ぎになりそうなものは出していない。

出していないのだが……


「な、なんだこりゃ⁉ すげえ量にもびっくりだが、ブラッディカウにアイスバードに火トカゲだって⁉ お嬢ちゃん、凄腕のAランクかなんかか⁉」

「い、いや……Gランクになったとこ、です」

「なんっで、Gランクがこんな魔物とってくるんだよ! アイスバードなんかエスト山脈の山頂あたりにしかいねえだろうが!」

「いやあのその」

「この魔物は全部Bランク以上推奨だぞ! ていうか今どっから出した⁉ こんなにどうやって持ってきた⁉」

「あうう……」


その後、タンゲさんを落ち着かせるのに随分かかった……


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