第8話
後日、グレンはリリィと共にギルドへ向かった。前日の弓の腕を見て、もう簡単な依頼なら軽くこなせるだろうと考えたからだった。
「今日から2人で依頼を受けようと思う。自衛経験を積む為に主にモンスター討伐を受ける」
「分かったわ」
掲示板に貼られている依頼書を数枚持ち受付へ持って行った。
「『討伐依頼:コボルト 5体以上(討伐数で報酬増加)』と『討伐依頼:ゴブリン 5体以上(討伐数で報酬増加)』の2つをお願いします」
「かしこまりましたー 依頼はお2人で行われますか?」
「はい」
「依頼報酬の方はそちらで分配をお願いしますねー それでは、いってらっしゃい!」
「分かりました いってきます」
以来手続きを済ませ、依頼をこなすべくリリィを助けた山へと2人は向かった。
山に到着し、周囲を警戒する。
「リリィ索敵はできるか?」
「大丈夫よ ・・・まだ周囲にモンスターみたいな気配はないわね」
「よし、じゃあ先に進もう」
グレンはなるべく自分で索敵などを行わずリリィに索敵などを任せた。弓の腕以外のリリィの能力を知ることが目的だった。
リリィは【索敵強化:中】と【スニーク】の使用を怠らず常に周囲を警戒する姿勢が見受けられ、戦闘に至までの能力に問題は無かった。
リリィが突然足を止めた。
「モンスターよ」
「数は分かるか?」
「1、2、3・・・3体ね」
「よし、周囲の警戒を怠らず接近しよう」
グレンとリリィは慎重にモンスターに気づかれないように接近した。
「見えた ゴブリンだな」
視認したゴブリンは投石ゴブリンが1体、通常のこん棒を持ったゴブリンが2体であり、グレン達と同じ方向へ向かって歩いていた。
「射程に入ったら投石ゴブリンを狙ってくれ 命中確認後、残ったゴブリンは俺が始末する」
リリィは無言で頷き射程まで接近した。
リリィの射程まで到着し、投石ゴブリンに向けて矢を放った。接近から矢を撃つまでがスムーズでとても始めての狩りとは思えない動きを見て、先日の練習場以上に驚いたがすぐに自分の獲物へと目線を移し、接近した。
矢は見事に投石ゴブリンの頭部へ命中し、一瞬で投石ゴブリンを絶命へと追いやった。
仲間のゴブリンが突然死んだことでパニックになったゴブリンにグレンが急速に接近し、大剣の一振りで2体のゴブリンの胴体を切り付け、残り2体のゴブリンも絶命した。
「練習同様に初弾命中、しかもヘッドショット!すごいな!」
「スキルのおかげよ それに構えや動作はかなり違うけどやる事自体は銃と同じだったから」
「何にせよすごい事には変わりない!」
「あ、ありがとう」
リリィはテレながらお礼を言った。
その後も順調に狩りを行っていった。リリィの索敵で的を探知し、リリィの弓による不意打ちからのグレンの急襲で危なげなく目的のモンスターを狩り、昼になる頃には予定の討伐数に達していた。
狩りから戻り、ギルドへの報告を済ませたグレンとリリィは宿へと戻り、今日の反省や、今後の方針などを話し合い、この2人パーティーに確かな手応えを感じながら時間は過ぎていった。