第4話
ギルドに到着すると受付へ向かった。受付には昨日依頼を探してもらった受付の女性が座っていた。他の人のところへ行く必要もなかったため、昨日の女性の方へと向かい、話しかけた。
「昨日ぶりです。依頼の報告と、彼女のハンターギルドへの登録をしたいのですが」
「はーい 依頼の報告と新規のご登録ですねー」
そう言いながら受付の女性はリリィを確認した。
「もしかして天人ですか!?始めて見ました!!」
「はい、天人のティアナ=リリィと申します。やはり地上界では天人は珍しいのでしょうか」
「珍しいですね!魔人はハンターとして働いている人をちょくちょく見かけるのですが天人の方は始めて見ました!城のある大きな町にいるって話しを聞いた事があるくらいです!」
「っ!その方について知りたいのですが他に何か知っている情報はありませんか!?」
他の天人の情報を知るや否やリリィは身を乗り出して受付の女性へ問いかけた。予想外の反応に驚きながら受付の女性は返答する。
「えぇ!あっ!申し訳有りません!話しを聞いただけなので町の名前やその天人さんの名前とかは知らないです!」
テンパって返した受付の女性の返答に、リリィは明らかに落ち込んだ様子になった。同じ天人で、地上界に住んでいるのならば何か天界へと戻る手段に心当たりが有るかもしれないという希望があったからだろう。
「ハンターになって他の町へ行き来すればそのうち情報も集まるだろう。とりあえず登録を行わないか?」
突然の情報で場が混乱していたので本来の目的へ話しを戻した。これ以上引き出せる情報がない以上ここで落ち込んだり、問いつめても何も進展がない。
「すいません!話しをそらしてしまって・・・ では登録を行いますのでこちらの紙に必要事項の記入をお願いします」
そういって手渡された紙の記入欄はこうだった。
・氏名
・年齢
・前職
・現在の使用武器
・命を落とした場合ギルドは責任を負わないことへの同意
上記の計5つの記入欄である。ハンターには基本だれでもなれるが、ハンターランクを上げる事が難しく、死ぬ危険性が非常に高い。なので、基本的に来る者拒まず去る者追わずの精神で行っている。
紙を受け取ったリリィは受付の鉛筆を使い記入を進めた。記入途中、一カ所で詰まっているようだったので声をかけた。
「どこか分からないところが・・・あぁ、使用武器か・・・」
「うん・・・いつもならリボルバーを使っているのだけど今は手元にないし、地上界の武器は何があるのか知らないわ」
2人で悩んでいると、受付の女性からすぐに声がかかった。
「使用武器は空欄でかまいませんよー 隠したがるハンターの方達もいるので・・・」
助言をもとに、使用武器の欄を空欄にし、申請用紙を書き終え、申請用紙を受付の女性へ手渡すと、次は水晶のようなモノを取り出した。
「ここに手をあててください 現在のステータスが分かるギルドカードを発行します」
言われるがままリリィが水晶に手をあてた。すると、水晶が青白く光り下に取り付けられている機械からカードが出てきた。
「それがあなたのギルドカードになります 再発行にはお金がかかりますので無くさないよう気をつけて下さいねー」
受付の女性からギルドカードを受け取り、内容を確認した。
・ティアナ=リリィ
・ランク【 F 】
・【 】
3行目の空欄は主な使用武器が記載される場所である。カード自体に記載されている情報は少なく、一緒にパーティーを組む仲間が知りたいであろう、最低限の情報のみが表示されるようになっている。
「カードの下、中央のくぼみに指をあててみて下さい 現在の詳しいステータスが浮かび上がりますよ」
リリィは指示通りにギルドカードに指を押当てた。するとカードからステータスが浮かび上がった。
【筋力】 30
【魔力】 5
【俊敏】 70
保有スキル:【命中強化:大】【俊敏強化:中】【索敵強化:中】
【スニーク】【転移者の加護】
「現在、能力値の最大が100ですのでティアナ=リリィさんは俊敏が非常に高いですね!スキルも5つお持ちでかなりレアケースです!!」
地人の平均能力値は、筋力:50〜60、魔力:0〜5、俊敏:30〜40、保有スキル数:0〜2、であるため、地人の常識からすれば、俊敏がかなり高い。
保有スキルも転移者に付くのであろう【転移者の加護】を除いても4つあるため、受付の女性は驚いたのだ。
「これならすぐにハンターランクも上がりますよ!1年間はFランクから上がれませんが、その間に経験を積んで、高ランクの依頼に当たったときに死なないように頑張って下さいね!」
いろいろあったがリリィのハンター登録が終わり、ギルドを出た。今すぐに依頼を行う必要も無いしまだ地上界に来て1日目、新しいことばかりで疲れもあるだろうと思い、グレンはリリィと共に宿へと戻るのだった。