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BuF  作者: KKLK
第1部
4/26

第3話


 数時間ほど待っていると、ベッドの方から声が聞こえた。


「う・・・ん・・・」


『お、目を覚ましたみたいだな』

 グレンは、目を覚ました女性の方を見た。彼女はグレンの姿を見ると同時に起き上がり、グレンと対峙するように身構えた。


「っ!誰だお前は!!皇女様はどこだ!?」

「待て!落ち着け!俺は倒れていたお前を介抱して宿に運んだだけだ!」

「嘘をつけ!サルヴァトの手の者だろう!!皇女様をどこへやった!?」

「そんな奴らは知らないし関わったこともない!!いいから落ち着いて話しを聞いてくれ!!」

「くっ・・・信用はしないが応戦する様子もないし話しは聞いてやる。ただ今以上は近づくな!」


 話しを聞くように説得はできたが、かなり疑り深い性格らしい。目覚めたばかりで混乱しているのか周りの状況を把握できていなようだ。


「とりあえず自己紹介しておく 俺は地人のグレン=ファースだ。ギルドの依頼進行中に君を見つけ、保護してここへ連れてきた。君に危害を加えようとは思っていない。」

「地人!?ということは、ここは地上界・・・?」

「そうだ。何があったかは知らないが君は今地上界にいる。」

「そうか・・・成功したのね」

「成功?」

「いえ、こちらの話しです。取り乱して無礼を働いてしまい申し訳有りません。私はティアナ=リリィと申します。」


『冷静になったら急に礼儀正しくなって口調も女性らしくなったな・・・それと成功って言ってたし、自発的にこっちにきたのか?』

 グレンは突然ティアナ=リリィの突然の性格の変化にあっけをとられたが、それよりも発した言葉が気になった。「皇女様」「サルヴァト」「成功」グレンは何かとんでもない厄介事に巻き込まれたのではないかと興味半分面倒半分でティアナ=リリィに質問した。


「状況を確認するためにもいくつか質問してもいいか?」

「かまいませんよ。命の恩人ですし、さきほど働いた無礼にも報いたいですし・・・」

「そのことは忘れてくれてかまわない、突然の状況の変化で戸惑ったら誰だってああなるだろうし では改めて」


 グレンはコホンと咳払いをし、本題へ移った。


「ティアナ=リリィさん、あなたは天人で間違いないですか?」

「はい、天人です。あ、フルネームは長いのでリリィとお呼びください。」

「じゃあ俺もグレンと呼んでくれ。あと敬語は使わなくてもいいぞ、歳も離れてなさそうだし。」

「わかったわ、グレン。」

「じゃあ質問を続けるぞ。起きた時に言っていた皇女様とは誰なんだ?」

「皇女エルザ様、私が仕えていた天界を納める皇女様です。私は皇女様の護衛副隊長をまかされていて・・・」

「そうか・・・立て続けですまないが後3つほど質問してもいいか?」

「うん・・・大丈夫・・・」


『皇女様の話しをしたら暗くなったな。何かあったみたいだな・・・』


「サルヴァトと言っていたが、組織か何かなのか?」

「サルヴァトは皇帝の反勢力の名前で、皇女様は奴らに・・・ごめんなさい、詳しくはまだ・・・」

「無理に話さなくて大丈夫 まだ続けてもいいか?一旦休憩を挟んだほうがいいか?」

「大丈夫・・・質問をつづけて・・・」

「じゃあ最後に、地上界にはどうやって来たんだ?」

「・・・、海に飛び込んで・・・海底に沈んでいって・・・ごめんなさい、こっちにくる道中の記憶は曖昧でうまく説明できない・・・」

「ありがとう 軽くだが状況が掴めたよ。」

 心身共に疲れきっているようなのでここで質問を切り上げた。


『皇女様の護衛で、起きた時のあの状態・・・反勢力のサルヴァトに攻められるかして皇女様が連れ去られたのだろう。それから何かしらの経緯で海へ飛び込み、地上界へやってきた。目的は逃亡か助力を求めに・・・かな』

 グレンは一連の会話からリリィの現状を予測したが、まだ憶測でしかないため自分の考えたことをリリィには話さず、本人から確実な経緯を聞くまで頭の片隅においておく事にした。


『とりあえずの現状確認は済んだし、これからのことを考えるかぁ・・・成り行きとはいえ助けちゃったし最低限面倒はみないとなぁ・・・』と、グレンが長考している間にリリィが話しかけてきた。


「あの、天界へ戻りたいのだけど、この世界から天界へ帰る方法は・・・」

「いまのところはないね」

 リリィの質問にグレンはすぐに返答した。この質問をしてくることは大体予想ができていたからだ。


「ただ、どこかの技術者が天界へ行く手段を開発してるって話しは聞いたことがあるな・・・」

「ほんとう!?」

「あぁ、でも噂を聞いた程度だから実際の所は分からないけど・・・」

「それでも希望があるだけありがたいわ!ありがとう。」


 一通り話し終わったため、今後のことについてグレンが話しを切り出した。


「天界に行く手段を探すためにもハンターにならないか?町を回ることが多いから情報も多く手に入ると思うし」

「ハンター?」

「そう、モンスターを狩ったりしてお金を稼ぐ職業だ。護衛だったのなら戦闘はできるだろう」

「えぇ でも、対人での実践はあるけどモンスターとの戦闘経験はないわ」

「天界にモンスターはいないのか?」

「いるにはいるけど数が少ないの、それよりも天界では反勢力との戦争が多かったから・・・」

「そうなのか・・・地上界での対人は基本的に盗賊とだけだけど役に立つとは思うよ とりあえずハンターギルドへ向かおうか」


 暗い話しになりそうだったのでグレンは話しを切り上げると、リリィと共にハンターギルドへと向かうため部屋を出た。


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