第2話
下山途中、ゴブリン4匹・コボルト2匹と遭遇したが、特に問題もなく討伐、報酬用の部位採取を行い、無事に下山することができた。
町の門までたどり着き、門番の前を通り過ぎようとした時、門番に声をかけられた。
「止まれ、町を出る時一人だったようだが、その背負っている女はどうした?」
「山で倒れていたので救助したんですよ。どうやら天人のようで・・・」
「どれ・・・」
門番が背負っている女性の顔を覗き込んみ、すぐに理解したようで話しを再開した。
「確かに天人のようだな。通っていいが、面倒事を起こさせないようにしてくれよ?」
「それは俺が願いたいですよ」
苦笑しながら門をくぐり、宿へと向かった。
「おやじさん!いますか!?」
「おーちょっと待ってな!」
宿に到着するとおやじさんを呼ぶことにした。今朝泊まっていた部屋は独り部屋であったため2人部屋を確保しなくてはならない。
「どうした・・・って背中の嬢ちゃんどうしたんだ?まさか・・・」
「依頼中に助けたんですよ まだ意識はもどってなくて」
「救助か!俺はてっきり誘拐してきたんだとおもったぜー はっはっは」
冗談を言うおやじさんに少しイラッっとしながら話しを続けた。
「そんなことするわけないだろ!冗談はいいから2人部屋を至急お願いします。重傷ではないですけど怪我を負っているので、はやく治療してあげたいので」
「おぉ、すまねぇ、部屋なら2階の1番手前の部屋を使いな」
「ありがとうございます!」
おやじさんと話し終えるとすぐに2階へ向かった。
改めて傷を確認し、今ある薬や薬草で処置を始めた。
『骨折もないし頭に傷もなし。後は意識を取り戻してからだな。』
素早く治療を終え、椅子に腰をおろす。いつ女性が目をさましてもいいように状況を整理しておこくことにした。
『山中でゴブリンに襲われていて、それを俺が助けて、俺が泊まっていた宿に運び込んで今にいたるっと・・・。それで彼女は天人で、女性で・・・あ、武器持ってたら危ないしこっち側の机においておくか。』
状況を整理している所で武器のことを思い立った。いくらハンターといえども未だ経験した事の無い天人の攻撃を無傷でしのぎきる自身はない。
『失礼しまーす・・・』
罪悪感はあるが、自分の身を守るためにも彼女の装備を探った。天人の主な武器は銃であるため腰のあたりを探るが、予想と反し、銃やナイフなどは見当たらなかった。
『武器がない?服装は見た感じだと動きやすい戦闘向きの恰好なのに・・・盗賊に持ち去られるのならそのまま人ごと攫うはず・・・面倒事に巻き込まれてる可能性高いなー』
女性の服装は動きやすく耐久もある革の装備で、局部を鉄ガードしている明らかに戦闘向きな恰好だった。そのため、武器が見当たらないことが不自然で、逆に不安が高まった。ないものは仕方ないのでいらぬ誤解を招かないように彼女から離れ、再び椅子に腰掛けた。
今日の用事は依頼の進行だけであったため、他に用事が無く暇を持て余すこともあり、装備や武器の手入れをしつつ、彼女が目を覚ますのを部屋で待つことにした。