表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異空のレクスオール  作者: 天野ハザマ
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

374/521

オウカの研究

 魔操巨人(エグゾード)。それは伝説にのみ登場する兵器の名前だ。

 オウカの言うように究極の魔法装具(マギノギア)であるとも、魔動人形(ゴーレム)の一つだとも言われている。

 ……また、その両方であるとも。

 その真実は不明だが、分かっているのは……恐ろしく巨大なものであったらしいということ。


魔操巨人(エグゾード)……ね。また随分と懐かしい名前を聞いたわ」

「知ってるのか?」


 そう聞くカナメに、レヴェルは軽い溜息をつきながら答える。


「当然でしょ。あれは魔人がゼルフェクトに対抗して造ったものだもの。まあ……色んな問題があって、早いうちに生産終了したのだけれど」

「貴女、知ってるの!?」

「ちょっと、懐くんじゃないわよ」


 自分に駆け寄ってこようとしたオウカを、レヴェルは最小限の動きでひらりと回避する。


「その死の神の仮装……そうか、貴女も古代の文明に明るいのね。ねえ、何か知ってるなら」

「知らないし、知ってても教えないわよ。あれは魔人の秘儀の一つよ? 知りたければ魔人に聞きなさい」

「そ、そんなあ!」


 崩れ落ちるオウカに、カナメは恐る恐るといった風に声をかける。


「あのー……一つ聞きたいんだけど」

「……なに?」

「聞く限り、かなりヤバい兵器のような気がするんだけど。それって、必要なものなのかな?」


 今までの話を総合する限り、カナメの頭には巨大ロボットしか思い浮かばない。

 そんなものを復活させたところで、精々ドラゴンと殴り合いをするくらいしかないだろう。

 ダンジョンにも潜れないだろうし、悪用される危険性を考えれば眠らせておいた方がいい気すらする。


魔操巨人(エグゾード)そのものが必要かと聞かれたら、私は否と答えるわよ」


 だが、オウカはカナメの予想に反してそんな答えを返してくる。


「え?」

「だって、そうでしょ? 魔操巨人(エグゾード)は確かに究極の魔法装具(マギノギア)ではあるだろうけど、そんな巨人を運用する必要性がないじゃない。ゼルフェクトはもう、倒したのだし」

「まあ……そうだな。でも、それならますます理由が分からないんだけど」


 もし単なる好奇心で魔操巨人(エグゾード)とかいう兵器を復活させたいというのであれば、それはむしろカナメとしては止めた方がいい部類に入る。

 だが、オウカの答えはそうではない。


「……魔操巨人(エグゾード)を、人間サイズにする。そう言ったら分かってくれる?」

「人間、サイズ」

「そう。魔操巨人(エグゾード)は究極の魔法装具(マギノギア)。それが単なる「でっかい魔動人形(ゴーレム)」なはずはないわ。ならば、それを人間サイズで再現すれば……それは人類の大きな力になる」

「それは、確かに」

「まあ、そこまでは無理なんだけど」


 そんなオチをつけてくるオウカに、カナメは思わず気が抜けそうになる。

 失望の色が出ていたのだろうか、オウカは慌てたようにバタバタと手を振る。


「だ、だってそうでしょ? 普通の魔法装具(マギノギア)ですら再現が中々できないのよ? 完全な実物とか設計図があるならともかく……」

「まあ、そうだけど」

「それに、望みがないわけじゃないし! その為には」


 少し興奮したように身を乗り出したオウカと、ちょっと引いたカナメの肩を抱くように……アリサが、ポンと二人の肩に手を置く。


「その辺の話は後にしよっか。イリスがそろそろ決着つけろって目で見てるし」

「え」

「あ」


 先程から殺気に近い威圧を撒き散らしっぱなしのイリスがチラチラと視線を向けてきているのに気付き、カナメとオウカは顔を見合わせて。そんなオウカに、アリサはニヤリと笑う。


「……それにどうやら、うちのリーダーが無害だって分かったみたいだし」

「そ、そんなこと!」


 慌てたように離れようとして、しかしオウカはアリサに肩を掴まれ動けない。

 そんなオウカに、アリサは耳元で囁く。


「……まあ、なんとなく男嫌いになる事情は推察できるよ。でも、それをカナメに押し付けてほしくないかな。そのくらいは分かってんでしょ?」

「……でも」

「うん、分かってるならいいよ。割り切れって言ったって無理な話だし。で、カナメはどうする? このめんどくさい子の護衛するの?」


 顔を俯かせたオウカを見ながら、カナメは頬を掻く。

 ラファエラは何処かに行ってしまったし、ここで断って放置するというのも……どうなのか。

 考えた末に、カナメは一つの結論を出す。


「……正直、難しいと思う。俺達はもう、フェドリスさんの依頼を受けてるようなものだろ? なら十五階層に行くのが最優先だ。でも、此処でオウカを見捨てるのが正しいとも思えないんだ。だから……」


 そう言って、カナメはオウカに手を差し出す。


「俺は、君の嫌いな男だけど。それを我慢して十五階層までついてきてくれるなら……その間に、君の目的も果たせるかもしれない、と思う」

「十五、階層。え……本気?」

「ああ。勿論、俺から話を持ち出した以上は君の事も本気で守る。それを信じてくれるなら、ていう条件もつくかな」


 言いながら、カナメは苦笑する。

 結構な無茶を言っていると知っているからだ。

 だが、その程度出来ずして……どうして、世界を守れるのか。


「……」

「ダメ、かな」


 無言でじっと見つめてくるオウカを見つめ返しながら、カナメは手を引っ込めようとして。

 その手に、オウカの指が軽く触れる。


「……本当に、守ってくれるのよね?」

「守られてくれるなら」


 迷いなく答えるカナメに、オウカは小さく頷く。


「……なら。それなら、お願い。私も貴方の事を信じるようにするから。私を、守って」

「全力で頑張るよ」


 そう言って、カナメは笑う。

 たぶんだが、オウカにはまだ話していない何かがある。

 そんな確信を得ながら……それでもカナメは、オウカへと微笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ