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異空のレクスオール  作者: 天野ハザマ
本編

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提案の検討2

あらすじを変えてみました。

「私としては、そんな試しの儀だとかいうのに乗らなくてもいいとは思うけど……まあ、カナメがそう決めたんならいいと思うよ」


 アリサは、そう言って肩をすくめる。アリサとしては、下手に出て他人を試そうという輩は気に喰わない。慎重さの現われといえばそれまでだし、蟲人の歴史を思えばそうなるのも理解できるので、口には出さないが。


「問題は、誰が行くかなんだけど……まあ、俺は決定だけどさ」


 カナメが行かなければ意味はないのだから、それは確定だ。

 だが、同行するメンバーをどうするかが問題だ。

 普通に考えるならアリサ、エリーゼ、イリス。彼女達を順番にカナメは見て……まず最初に、アリサが頷く。


「新しい剣も慣れてきたしね。私も行くよ」

「勿論私も行きますわ。連合なら……問題ないでしょうし。ですわよね、ハイン」

「ええ。遺憾な事に私はこちらでお嬢様からの頼まれごとを処理しなければなりませんが」

「問題ありませんわ」


 エリーゼもどうやら同行は大丈夫なようだが……残るイリスは、難しそうな顔をする。


「……うん、まあ、ええ。大丈夫でしょう」

「えっと、無理ならいいんですけど」

「いえ、行きます。兄さんにどの程度押し付けていいか考えていただけですので」


 そう、タカロの失脚により空いたレクスオール神殿の副神官長の席には彼女の兄であるシュルトがついている。

 元からそちら向きであるらしいシュルトだが、凄まじい激務らしく就任してからほとんど姿を見ていない。


「んじゃ、俺は今回いらねーな。アリサちゃんとイリスさんで前衛二人。レヴェルちゃんも同行するなら三人。ルウネちゃんで四人。それ以上前衛入れても過剰だしな」

「そんなことないんじゃないか?」

「いや、いらねーよ。たぶんそのフェドリスって奴も同行するんだろうしな。それなら中衛できる奴か、罠士あたりを入れた方が効率的だ」

「罠士なんか仲間にいないだろ……」


 鍵開けや罠の探知、解除が得意な罠士は冒険には必須らしいが、残念ながらカナメの知り合いには居ない。


「じゃあ、このメンバーで決定ってことでいいか」

「長期の探索となると、食糧類の準備も必須ですな。準備しておきましょう」


 そう言ってダルキンは部屋の外に出ていくが……この話の間、ずっと無言のレヴェルにカナメは視線を向ける。


「えーと……レヴェル?」

「何かしら」

「気になることがあるなら言ってくれると嬉しいんだけど……どうかしたのか?」


 どちらかというとお喋りなレヴェルがずっと黙っているのは非常に珍しい。

 だからこそ、何かあったのかと思いカナメは声をかけたのだが……レヴェルは、そんなカナメを見上げ、やはり無言。


「んー……」


 困ったように頬を掻いた後、カナメはレヴェルの頬を軽く突く。

 女性陣によくやられるソレを真似したのだが、実行した瞬間にカナメは脇を強めに抓られる。


「い……だっ!?」

「似合わないわ、カナメ。似合わないというのは重要かつ致命的よ。早急にやめることをおすすめするわ」

「いだだ……いたっ!? まず手を離……いてっ!」

「ちょ、ちょっと! カナメ様が痛がってるじゃありませんの!」

「私が悩んでいるのは、あの蟲人とその隠れ里についてよ」


 エリーゼの抗議を受けてというわけではないだろうが、カナメからパッと手を放してレヴェルはそう語る。


「どの程度までか分からないけど、彼等は古の知識を喪失していると考えていいと思うわ。あのフェドリスの話で、それは充分理解できたもの」

「それって、どういうことだ?」

「簡単よ。フェドリスは同族の外骨格を鎧として纏っていて、私の「どういうつもりか」という問いに「外骨格を持たぬ事で、実力が他の者よりも一段低いものとなる」と答えた。これが全ての理由よ」

「えっと……それが何か?」


 実際、蟲のような外見を持ち外骨格が鎧の如き性能を誇る種族であればそれはある種の必然にもカナメには思える。

 だが、レヴェルはそれに溜息で答える。


「アレは先祖返りよ。ゼルフェクトが世界に現れるよりも、更に昔。蟲人と呼ばれる前の時代の彼等の姿なの」

「え……」


 蟲人とは、蟲の如き外見を持った種族だ。

 その外骨格を外せば人の顔があるというわけではなく、むしろ取り外しのできるものではない。

 そういう風な生き物であるからだ。

 ……だが、彼等は元々そういうモノではなかったのだとレヴェルは語る。


「そういう風に進化したというだけで、あの外骨格は元々は彼等の能力。神器には至らぬまでも、彼等の本質を示す彼等の武器であり鎧であり……魔法だったのよ。貴方の弓や、私の鎌のようにね」

「それって……」

「もっと言えば、そういう普人から見れば異形のものと化すことこそが戦人の魔法「だった」もの。ゼルフェクトと戦う為、そういう生き物として自らを最適化させた、守り人の種族。それこそが戦人の真実であり、彼等の身体に刻まれた誇り」


 それが失われたのは悲しい事ね、とレヴェルは小さく呟く。


「……なら、教えてあげればよかったんじゃないか?」

「意味がないわ。あの子自身、普人に似た姿に自分の意味を見出している。言葉で何と言ったところで、それに大した効果はない。自分で「それ」を引きずり出そうと望まなければ……決して、出来はしないわ」

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