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異空のレクスオール  作者: 天野ハザマ
本編

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220/521

二階層

 二階層への階段は、それからしばらくすると見つかった。

 

「……なんか明るいな」

「ああ。こりゃランタンいらねえパターンだ」


 カナメからランタンを受け取ったエルは荷物袋に火を消したランタンを入れると、二階層へと続く階段を見る。

 漏れ出てくる光はどうやら階段全体が薄く輝く事で発生しているようで、しかしどういう理屈でそうなっているのかはサッパリ分からない。


「うし、降りるか」

「ああ」


 頷きあうと、まずはエルが先頭に……そしてカナメが続く。

 然程長いわけでもない階段を降りていくと、同じように明るい場所へと辿り着く。

 やはり壁が発光しているのか、ここでも照明は不要なようだった。


「壁が光ってる、んだよな」

「そうみたいだな。この壁削ればランタンの油いらねえんじゃねえかって話もあったみたいだけど、結局何やっても傷一つつかなかったらしいぜ」


 言いながらエルは壁を軽く叩く。

 確かに光る壁なんてものがあるならば、その欠片があれば……と思うのは当然の流れだ。

 

「傷、か」


 まともに傷がつかないのなら……何をやっても傷がつかなかったというのであれば、きっとそういうものなのだろう。

 挑戦してみたい気持ちが無いわけでもないが、出来てしまったらそれはそれでひと騒ぎだ。

 少なくとも今やってみるべき事とはカナメには思えない。


「まあ、どちらにせよランタンいらないなら便利だな」

「そうでもねーぜ。向こうからも見えてるんだからな」


 明りが無くてもマッピング出来るのは楽だけどな、と言いながらエルはサラサラとマッピングを再開し……その後を歩きながらカナメは、エルへと声をかける。


「なあ、エル。マッピングって、やり方さえ分かれば俺でもできるかな?」

「ん? 出来ないとは言わねえけど、言ってすぐ出来るもんでもねえよ。お前のその矢、結構すげえのは分かったし……このくらいは俺に任せとけ」


 言いながらもエルの手は動き、しかし目線は歩く先を慎重に見定めている。

 ……つまり、視線が手元の地図にほとんどいっていないのだ。

 

「一応教えとくと、どういう基準で線を引くかは世界基準があるんだよ。ほら、勝手なマッピングをすると、後々困るだろ?」


 それはカナメにも理解できる。

 たとえば縮尺。同じ地図上でそれが違えば、何処に何があるかがぼんやりしてしまうし……それは、とても危険なことだ。

 それでも、こうしているのは楽をしているようで少々そわそわしてしまう。

 帰ったらアリサにマッピングも習おうとカナメは決意し……そこで、ハッとしたように弓を構える。


「エル!」

「敵か!?」


 エルもすぐに地図を放り出し大剣を構えるが、しばらくキョロキョロと辺りを見回し……疑問符を浮かべる。


「何もいねえぞ……?」

「……いや。何かいる」


 油断せず矢を……とりあえずの意味で持ってきた普通の矢を弓に番えながら、カナメは周囲を慎重に見回す。

 カナメの目にも、何も居ないように見える。見える、が……何か違うものを感じるのだ。

 視線のような、そうでないような……とにかく、何か不快な感覚。

 それはエルの前方から強く感じて……カナメは弓を強く引き絞る。


「エル、ちょっと横にどいてくれるか?」

「あ? おう」


 よく分からんという顔をしながらもエルがどいたのを確認すると、カナメは矢を放つ。

 放たれた矢は、そのまま奥へと飛んでいき……やがて壁に当たったような音をたてる。


「透明な何かがいるわけじゃない、か」

「おいおい……そんなもんがこの階層で出るわけねえだろ」


 エルはそう言って笑うが、カナメの警戒心は解けないままだ。

 透明の敵はいない。だが、何かがいる。

 何がいるのか。

 普通の矢が当たらない敵? それとも、何か別の……。


「んー……」


 そんなカナメの様子にエルは頬を掻くと天井、壁、床……と視線を移していく。


「何か罠があるってわけでもなさそーだが……って……ん?」


 言いながら、エルは床をじっと見る。

 エルとカナメの、その先。カナメに言われなければ通る予定だった場所。

 そこが、何か微妙に変なような……そんな気がしたのだ。


「なんだ……? 床が何か……」


 そのエルの言葉と同時に、カナメが動く。


矢作成(クレスタ)! 豪風の矢(ボレアスアロー)!」


 手の中に生まれた矢は床に向けて放たれ、着弾と同時に発生した暴風が床から透明の何かを引き剥がし後方へと吹き飛ばす。

 べりべりという不快な音を立てながら無理矢理引き剥がされ飛んでいくそれは、どうやら液状の何かのようで……エルはそれを見て「げっ」という声をあげる。


「あれって……ジェリーか!? 二階層で出てくるようなモンスターじゃねえぞ!?」

「倒し方は!? どっかにコアか何か……!」

「そんなもんねえよ! あれは焼くか魔法で一気に吹っ飛ばすしかねえ! カナメ、お前火の魔法は……!」

「普通のは知らない! 火があればたぶん火の矢は作れる!」

「火があればって……くそっ、居るって知ってりゃランタン消さなかったのによ!」


 言いながらエルはランタンと火打石を取り出し……カナメは風を掴む。

 とにかく、時間を稼ぐか……あれを風で吹き飛ばすしかない。

 ならば、正しい矢はどれか。

 焦りの中、カナメは矢作成(クレスタ)と唱えた。

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