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レクイエム  作者: 猫の祭り
第1章
17/25

 いつから素直に帰ると勘違いしていた?

視点変更

 リベルクローツ魔導学園。

 世界最大規模の魔法学園とも言える。特徴としては、入学するためのお金が不要ということだろう。その代わり、試験を受け合格しなければ、入ることは許されないという実力主義。卒業しても帰国して騎士団や衛兵に所属するか、冒険者として生きるかのどちらかになる。そのための実力主義。


 規模が世界最大と言ったが、どれ程なのか?それは中心にリベルクローツ魔導学園があり、それを囲むように街が広がっているため、実際に1つの国として認識されている。それほどの規模だ。

 だから正確にリベルクローツ魔導学園を説明するなら、魔法や剣術、その他の戦闘技術、パーティでの戦闘を学ぶ為の学園ではなく国と言った方が良い。

 これを実現するのに学費もなしではまず不可能だ。けど、それを可能にしている。それは、20ヶ国以上の国が提携して造り上げたから。勿論、その中にも敵国同士の国もある。

 その為か、リベルクローツは中立の立場を貫き通している。中立の立場を貫き通しているということは、何が起きても一切責任をとらないということでもある。


 さらに万が一の為、警備や警備班も配置されている。

 警備には自立型の魔導兵器が配置されているが、それよりも恐ろしいのは警備班の方だ。

 警備班には何個かの部隊がありその部隊長は皆、戦場の前線で一人でタメを張れるほどの強さを誇る。

 そんな人が何人もいるのだから1国も落とせるだろう。

 それに加え自立型の魔導兵器の軍団、軍用の飼い慣らされた魔物、人工的に産み出されたモンスター。そんな理由のもとまずリベルクローツに喧嘩を売らないし、売っても勝てない。


 ある組織を除いて。

 

 その組織は世界を統一することを目的として実力行使で動いている。

 何を理由にそんなことをしているのかは知らないけど、リベルクローツと張り合えるほどの実力を有しているという噂は絶えない。


 けど、噂は噂。そんな根も葉もない話を信じるのは愚かしい。そういう人も少なからずいる。


 なぜそこまで曖昧なのか?

 新聞にも毎日載るほどのことをしでかしてはいるものの、目撃証言が少なく拠点もわからない。組織の名前もわからない。

 少ない目撃証言によると白い服装をしており、神聖なものを感じたそうだ。自国が襲われているのに呑気なことだ。

 それはそうと、そんな服装だからか古代プファルツ語でオラクル・クレアシオンなんて呼ばれている。


 まぁそんな意味不明な組織に抗う国、傍観する国、媚を売る国。そんな国によって戦争は激化し、貧富の差が酷くなる。場所によっちゃ、貧困の地に治安が悪いときた。


 「全く嫌な世の中だ。」


 ふぅと、そんな息を吐ながら新聞を置いて外出の準備をする。

 すると、声がした。


 「ん?もう行くのか?ご主人様よ」

 「ご主人様言うな」

 

 声のした方を振り向くと漆黒のローブを身に纏い、生気を感じさせない白く綺麗な肌、可愛らしいというよりか大人びた印象を受ける顔。燃える炎のように紅く澄んだ瞳。

 いつ出てきたのか知らないが一緒に出掛ける気満々なようで、フードを被らず足元まで伸びた黒髪を一つに束ねる。

 足元まで髪が伸びていようが、束ねようが地面には付かないからな。お前の髪。

 ふわふわ浮いてたらそりゃそうだろ。

 

 「で?どこ行くの?デート?」


 はぁ、元気そうだな……楽しそうだな……。と、それよりも


 「帰れよ。勝手に出てくるな!勝手に出てくる召喚獣なんて聞いたことないが!?」

 「良いじゃない。そんな迷惑かけてるわけじゃないんだしさ~っね?」


 可愛らしく首をちょこんと傾ける。

 そして、付け足す。


 「それに人前ではちゃんと」


 ん?帰るのか?こいつが自分からそういうのは珍しいな。

 

 「歩くからさ」


 そこは帰れよ…


 「酷くない!?」


 人の心を読むな……。

 はぁ……知らないんだろうな、お前は。お前と一緒に居ると、周りから白い目で見られることを……。俺だけがそういう目で見られてること……気づいてないんだろうな……気づけ!!


 「いやいや、それは無理な相談だよ、ご主人様!?だって、リンクしているんだもの。そうだね、一心同体ってやつ?」


 一心同体、ね。まっ、こいつとは召喚獣みたく契約という感じになるのだが、契約する時にリンクという方法をとったから、一心同体とも言えるな。

 リンクする。口にせずとも意思の共有ができるということ。思考の共有ができるということ。魔力の共有ができるということ。究極的には、命の共有もできるということ。


 「それだけじゃないけどね。特に私とご主人様との関係は」

 

 そうだな。召喚獣と契約するときにいろいろと制限できる。

 召喚獣の召喚時間や共有量といった具合に。


 ロビーに着くと鍵を返すためフロントに行く。


 「あっ!今日お帰りなんですね。また来てくださいね。歓迎しますから」

 「長く世話になったな」

 「いえいえ。私も楽しかったですし」

 

 と笑顔で言われた。


 「なにより、命を救われた身ですからねっ」


 と付け加えて。

 彼女は森で木の実を採取いているときウルフに襲われていた。助ける義理はないが夢見が悪くなるので助けた。


 「あの、旅人ですか?」


 聞かなくともわかると思うのだが?

 無言で頷く。


 「なら、泊まる宿がないなら是非うちに泊まりませんか!!損はさせませんよ!!」


 これから宿探しはめんどくさいと思っていたから調度良い。


 「では決まりです!」


 期を逃さずに商売とは、見た目のわりにしっかりしている。

 

 「はい、10歳です。こっちこそ驚きました。同い年なのに旅をしているなんて」


 宿に着くとフロントに着くと受付をしだす。ほんとにしっかりした子だ。


理由は、


 「この宿人気あるけど人手が足りず、私をいれるとなんとか現状を回せるんですよ。でも其れが楽しいというか」


 そう言っていた。それから4、5年いろいろ宿の手伝いをしながら泊まっていた。勿論、宿代も払って。


 この宿は飽きることはない。

 毎朝忙しく畑に行き新鮮な野菜を採って料理し。それを朝の日替わり定食としてだす。そのため、


 「朝はいつも4時に起きてますよ」

 なんて返事が返ってくる。俺よりも1時間起きるのが早い。

 昼は各国で食べられている料理をメニューから選び、注文することができる。これが人気の理由だろう。

 この街の領主も泊まりに来るらしいからな。自分の街なのに。


 そんなことがあったからか、少し名残惜しい。


 また来ることを伝え、宿を後にする。そういえばロビーに着いてからあいつの姿が見えないな。まぁ、帰ってくれた方があいつの負担も少なくてすむ。

 

 「出発ね。リベルクローツに!」


 どこからともなく現れる召喚獣。

 そのまま帰ってくれてたらよかったのに…

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